奈良で食べた「かすうどん」が忘れられない

デイリーポータルZ

もう一回食べたい。

この前、取材で奈良に行った時に何の気なしに食べた「かすうどん」が忘れられないんです。

かすうどんを知っているか

「かすうどん」は関西でたまに見かけるな、くらいの印象で、実は食べたことがなかった。

ちょうど泊まったホテルの向かいがかすうどんのお店だったのだ。

この日は仕事を終えて夜に奈良に着いたこともあり、ホテルに入ってからまたご飯を食べに行くのが面倒だなと思っていた。

そしたらなんと道を挟んだ向かいの建物に「かすうどん」の垂れ幕がかかっているではないか。

入ったらおしゃれなかすうどん屋さんでした。

ふらふらっと入ってみたらものすごいおしゃれなお店だった。

少し落とした照明の中で、壁に映像が投影されている。「かすうどん」なんて垂れ幕を出しているお店には見えないぞ。

でもかすうどんです。

なにしろ初めてだったので基本のかすうどんに、愛知出身者の性として海老のてんぷらをトッピングしてもらった。

遅い時間だったからか、僕がうどんを待つ間に、先に食べていたお兄ちゃんがカウンターでひとことふたこと話をして帰って行ったのと(このしぐさがかっこよかった)、大学生くらいのカップルが仲良さそうに口喧嘩しながら入ってきただけだった。

知らないお店で知らない人たちとすれ違っていると、いま自分が奈良にいることをすっかり忘れてしまう。

そんな旅情に浸っているうちにいい匂いが近づいてきた。

かすうどん!(海老のてんぷら付き)

関西の澄んだ出汁(おだし、と言った方がいいのだろうか)に牛のホルモンを揚げた「かす」、とろろ昆布、そして海老。

大丈夫だろうか。活躍するかどうかわからない外国人選手を評判だけでひっぱってきた感じだ。

でも食べてみて確信した、これは優勝できる。

「かす」はしっかりとした歯ごたえで噛むたびに美味い。これを支える薄味のおだしにしっかりとこしのあるうどんが完全にハモっている。

ハモっているとか今言わないのか。だったらなんて言ったらいいのか、代わりにかすうどんの美味しい写真を余分に載せておくので教えてください。

牛のホルモンをじっくり揚げたという「かす」は、歯ごたえの次にうま味が押し寄せてくる完全食材でした。
とろろ。枕カバーにプリントしてこの上で寝たい。
かすとうどんととろろ。ぜんぶひらがなである。

最初はお店のおしゃれさに少し気後れしていたが、かすうどんを食べ終えた後にはもう常連さんのようにカウンターで店員さんに「美味しかったです!」と神奈川なまりで話しかけていた。

あの時奈良で食べたかすうどんが、今でも忘れられない。

 

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