冷徹に工業的に安価に我々に商品を提供してくれることで有名なイオンのプライベートブランド、トップバリュ。
最近、ソイミルク、アーモンドミルク、オーツミルク、ていねいにも3種のミルクのチョコレートをシリーズで打ち出してきた。
商品にバリエーションがあるのは豊でありがたいことだ。しかしなんでだろう感じてしまうこの、「選べないものを選ばせてくる」圧は……。
食べて知って解放されたい。
3種類もいる? と思ってしまった
ある日、近所のまいばすけっとに急に各種ミルクを使ったチョコレート3品がずらと並んだ。
このまいばすけっとは狭い。
かつては個人経営の八百屋だった場所だ。八百屋が店をよして、何になるかと思ったらまさか まいばすけっとだったから、近隣住民は一様に、あそこにそんなスペースあんの? とざわついたものだ。
八百屋は間口に品を並べて商売していた。お客は奥まで入ることがなかった。
まいばすけっとになったときに、案外奥に広かったんだなあとは思った。とはいえ、一般的なコンビニよりはひとまわりくらい小さい敷地しかない。
狭い敷地にまいばすけっとの一式がぎゅっと詰まっているわけだ。
ほかの店より品揃えは少ないはずで、厳選したと思われる精鋭の品が並ぶ。
そこへだ。急にチョコレートコーナーの一角が「〇〇ミルク」でふさがったのである。注目せざるを得ないというわけだ。
なんかいいことがあるらしいさまざまな乳、その具体を知る
かつて乳といえば牛乳か豆乳であった。
そこへ新興勢力として乗り込んできたアーモンドミルクや、オーツミルク。そういえば以前から健康に良いらしい噂は聞く。
豆乳、ソイミルクについては、大豆由来のタンパク質やイソフラボンを多く含むこと、私でも知っている。
ではアーモンドとオーツはどうか。
アーモンドミルクはビタミンEを、オーツミルクは水溶性、不要性の両方の食物繊維が含まれているのが売りのようだ。
ビタミンEに食物繊維か……良いやんけ……。
そりゃ人気も出ようというもので、トップバリュも目をつけるというものだ。
「選べないものを選ばせてくる」と圧を感じてしまった理由は、各種の見分けがついていなかった、低解像度状態、すべてがおなじに見えたから、だ。
ほんの少し調べるだけで、「ま、まあ、効能が違えば、どれも必要だわな……」と納得させられるというものである。
知れば恐れも消えるのだと、トップバリュのチョコレートのラインナップにも教えががある。
アーモンドミルク味が元気にアーモンド味
味は、当然だが相応に違った。
いちばん個性的なのはアーモンドミルクだ。がっつんと、アーモンドの味がちゃんとする。
後味にココナッツのようなナッツ独特の脂肪のかおりが残る。
ソイミルクとオーツミルクはどちらもチョコレート自体の味のほうが際立ち、そこに風味がある。
ソイミルクの方が全体がまろやかで味のパンチが弱い。
オーツミルクのチョコレートはオーツの風味がカカオをひきたてるのか、キレのあるビターな味わいだ。
どんなものかと飲んだオーツミルクティも、美味しいし不思議だった。
ふつうの紅茶にオーツミルクを加えてミルクティにしているわけだが、ほうじ茶ミルクのような、茶葉のほうを何か別のお茶に変えた味わいがある。
どれも同じに見えたうすぼんやりした大地に、いま個々の輪郭が立ち上がって私には見える。
May the Topvalu be with you. こちらからは以上です。