100均評論家としての顔も持つ私は、よく雑誌やテレビなどから「ベスト3を教えて」みたいな依頼が来る。ロケットニュース24内でもベスト的な記事を何度か書いたが、決まってランクイン、あるいは1位に選出しているのが……
ナカヤの『ふっくらパック』である。
要は “冷凍ごはん用の保存容器” なのだが、詳しくは過去記事「ザルつきの冷凍ご飯レンチン容器『ふっくらパック』が予想に反して圧倒的最高」を参照のこと。これを超える100円グッズは無いと思う。本気でそう思っている。
そんな私が愛してやまないメイドインジャパンの100均グッズ『ふっくらパック』を、あの中国アパレルEC『SHEIN(シーイン)』が思い切り堂々とパクって販売していたので、一切の遠慮なく徹底的に比較検証してみた。
まず商品名は『1個 収納 ミニマリスト ホワイト フード フレッシュキープにとって 台所 収納ボックス』である。もっとマシな商品名をつけろと言いたい。んでもって販売価格は1つ302円と非常に割高。それなのに……
なんかやたらと評価が高い! しかも日本からのレビューは5点満点中4.91とほぼ満点。
さらに「ちょうどいいサイズ」や「炊き立てご飯のようになります!」との力強いレビューもある。案外、実力者だったりするのか……?
あとは「3つ買って正解でした」や「3個購入」と、なぜか「3つ買い」のレビューが目立つ。私も3つ買っておけばよかったのか……?
ともあれ比較。
大前提として、ナカヤの『ふっくらパック』はメイドインジャパンの日本製。対してシーインで買った、通称『シーインパック』はメイドインチャイナの中国製であることを頭に入れておいていただきたい。
上から見た時点では、もうほとんど “ホンモノ” であるナカヤの『ふっくらパック』と差はないが、横から見ると……
かなり違う。めちゃんこ深型となっており、ナカヤの『ふっくらパック』がピッタシごはん1膳ぶん(0.5合)だとしたら、こちらのシーインパックは……
1膳ぶん(0.5合)を入れてこのくらいなので、
2膳ぶん(1合)は入らないにしても、1.6〜1.7膳ぶんくらいは入る容量。大盛り以上の爆盛りだ。
これ、ちょっとビックリしたのが、ななな、なんと……
先日紹介した「迷惑LINEの石川さん式チャーハン」のご飯の分量とほぼ同じなのである! 某国でのごはん1膳は、このくらいの量になるのか……?
それはさておき、大きさ以外にも違いはある。たとえばプラスチックの質。ナカヤの『ふっくらパック』が、しっかりとした厚みと強度をもった実にクオリティの高いプラスチックなのに対し、シーインパックは、
ペラッペラである。さらに “建て付け” が悪いというか、ざると容器の間に隙間がほぼなく、キッツキツに設計されてしまっているため、ざるを「スルッ」っと持ち上げることができない。「グギギギギ……(スポッ)」ってな感じ。
さらにさらに、
フタも最悪である。ナカヤの『ふっくらパック』の愛用者であれば、同品のプラスチックの品質がどれほど高いのかお分かりだと思うが、こちらのシーインパックのフタは「悲しいほど薄い」うえ、角ばっているため、取り外しもカタい。
こんな低品質な商品となると、プラスチック自体から「毒々しい石油のニオイ」みたいな変な香りがしてくるのでは? とお思いの人もいるだろうが、実際に嗅いでみると……
無臭。悔しいかな、この商品に関しては、ニオイに敏感な私の鼻でのジャッジをしても「無臭(セーフ)」であった。
ちなみに余談だが、過去に購入した韓国製の「冷凍ごはん容器」は石油臭くて使えたものではなかった。冷凍ごはん容器で「くさい」というのは致命的すぎるほど致命的。しかしシーインパックは、そこをクリアしてきたので……
ごはんを入れ、
冷凍……
〜翌日〜
カチコチ!
レンジでチン!
……で、もう少しで温まるかなというタイミングで、突如として「ボンッ!」という爆発音がした。その直後にチーンと鳴り、レンジのドアを開けてみると……
フタが開いていた。おそらく建て付けが悪く、キッツキツに閉まっていたため、膨張した空気が「ボンッ」っと爆発してフタが開いたのかと思われる。こんな状態になるのも、ナカヤの『ふっくらパック』では絶対にありえないことだ。
んで……
茶碗に移すべく、ざるを……
ざるを……
キッツキツで取れねええええええええええ!
両手を使って、なんとか容器を歪曲させて取り出したけど、プラスチックがたわむし、うまく持てねえ!
まあ、しっかりと水滴が容器に落ちているので、ざるの効果は一応果たしていると思われるが、心なしか、水が少ない気もする。
で、茶碗によそったごはんを食べてみたところ……
……
……
「パサついている」
……
……
「ベチャベチャなところもある」
そう、パサパサに乾いているところがある一方、水分でベチャベチャなところもある、それすなわち「均一に水分が落ちていない」、つまるところ「ムラだらけのマズいメシ」になっていたのだ!
温度も均一でない印象があったので、おそらく「ごはんの量が多すぎるうえ、容器とざるのクオリティが低すぎるため、熱の通り具合も、水分の抜け具合もマチマチになり、美味しくないごはんに仕上がってしまった」のであろう。
たった1度使っただけだが、私はこのクソみたいな容器を早々に捨てる決意を固めていた。もう二度と使いたくない。これは冷凍ごはん保存容器なんかではなく、「うまい白米を、クソまずいメシにするための器具」である。
今回ばかりは、声を大にして言いたい。このシーインパックは絶対に買わない方が良い。いや、むしろ、これを一度でも使ってみたら、ナカヤの100円『ふっくらパック』が、どれほど高性能なのか涙が出るほど痛感するはず。
形ばかり真似しても、ナカヤが誇る技術力や、良い商品を作ろうとする “信念” まではパクりきれなかったシーインパック。
ホンモノよりも高い上に性能もクオリティもクソすぎるという、救いようのないゴミであった。買うの、1つだけにしておいて正解だった。
【SHEIN検証、次回へ続く】
参考リンク:ナカヤ化学産業株式会社「ふっくらパックA」、SHEIN「1個 収納 ミニマリスト ホワイト フード フレッシュキープ にとって 台所 収納ボックス」
執筆:100均評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24
screenshot:SHEIN