日本電信電話株式会社(NTT)とKDDI株式会社(KDDI)は17日、光伝送技術やモバイルネットワーク技術ならびにその運用管理技術など、両社が共に強みを生かせる光ネットワーク分野の標準化に向け基本合意書を締結した。
両社は光ネットワークの研究開発を牽引してきた国内外での実績があり、オールフォトニクス・ネットワーク(APN:通信ネットワークの全区間で光波長を専有するネットワーク)を中心とした革新的通信技術を広めるため、オープン・イノベーションを推進し、標準化を目指すという。
情報化の加速により求められる、情報通信システムの伝送能力の拡大や処理能力の高速化、カーボンニュートラルに向けた低消費電力化、といった課題の解決のためにも、世界中のパートナーとのオープン・イノベーションを活用し、光ネットワークに関わる最新技術の研究・開発を迅速に進めるとともに、標準化による普及を進めることが必要だとしている。
合意書の概要は、次の3点。
1.高速化と品質維持を両立するAPNの伝送方式の標準化。
APNは低消費電力かつ低遅延が特長だが、サービスごとに有限の光波長を効率的に割り当てる手法や、光ファイバー中や光増幅器での伝送品質劣化の抑制が課題となっている。これらを解決してのAPNの実現と、拡張、キャリア間の相互接続に向けた標準化活動を推進する。
2.モバイル通信におけるAPNの標準化
Beyond 5G/6G時代には、より多くの基地局の構築など、モバイルインフラの高度化が求められる。モバイルネットワークにAPNを適用するための技術の標準化活動を進め、オンデマンドにコアネットワークを構成し消費電力の削減にも寄与できる、大容量かつ超低遅延でゆらぎのない高品質・高信頼な革新的なコミュニケーションインフラの実現を目指す。
3.オーケストレーション技術の標準化
Beyond 5G/6G時代には、社会におけるICTリソースはこれまで以上に飛躍的に増大し、高い信頼性のある強靭なネットワークが求められる。複数の光ネットワークを協調して監視・制御するオーケストレーション技術を両社で検討し、標準化。強靭なネットワークの実現を推進する。
今後、標準化活動を進めるにあたっては、オープン・イノベーションの推進の場として、Innovative Optical and Wireless Network Global Forumなどの活用の方法なども検討するとともに、将来的にはITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)などでの技術の標準化を目指すとしている。