台湾の嘉義には、1920年代の刑務所の面影を残す「獄政博物館」があります。
網走刑務所のように放射状に広がる廊下は見ものですし、大きなヤシの木や榕樹、面会室の水玉と花柄の鉄格子に台湾らしさが光ります。しかも、収容者が古い手錠や足枷を用いて作ったパンクすぎるアートも。
はじめての台湾の監獄、ドキドキしっぱなしです。
台湾一周を企て
去年コロナのせいで台湾に留学できませんでした。
その悲しみを晴らすため、今年2月に台湾一周旅行、通称「環島(フアンタオ)」を実行しました。
嘉義は阿里山鉄道や、かつて甲子園に出場した嘉義農林高校などが有名です。町の雰囲気は関西に近いものがありました。(台湾ってどの町も多かれ少なかれ関西に似ているのですが)
マップを何気なく見ていると、「獄政博物館」というスポットを発見。なんと嘉義には日本統治時代の刑務所建築を残した博物館があるとのこと。これは行ってみねばなりません。
南国のおもむき
日本で昔の刑務所というと、「網走刑務所」が有名ですよね。極寒の厳しい環境というイメージがありますが、嘉義の刑務所はどうなんでしょうか。
すでに異国の味わい・・・
この建物は日本が台湾を統治していた1922年に完成。嘉義はヒノキの有名な産地で、檜材をふんだんに使って作られたためか頑丈な作りだそう。戦後は台湾の人たちが引き続き刑務所として使いつづけました。
当時の構造をほぼまるごと残す刑務所として、国定の遺跡に指定された貴重な場所です。中には台湾の刑務所の歩みが学べる解説がいっぱいです。台湾では有名なようで、私が行った時もたくさんの台湾の観光客の方がいてかなりの大賑わいでした。
放射状に広がる廊下を中央で一括で監視するため、居室の出入りが丸見えなわけです。日本の網走刑務所や奈良旧監獄などと同じ、アメリカのペンシルベニアの刑務所を参考にした構造と言われています。めちゃくちゃ近代監獄って感じです。
戦後も刑務所として使われてたことがよくわかります。そして監視台のうしろには、
日本統治時代に迎えられた天照大神が鎮座しています。収容者は毎日中央台で点呼・検査、そして神棚にお参りしなくてはいけなかったそうです。こういうものまで壊さず残しているとは驚きです・・・。