同じ「フレッツ光」でも、実際の通信速度やサービス内容はさまざまです
一人暮らしをする物件について、インターネット回線について「『フレッツ光』が使える」という説明を受けることがあるかもしれません。フレッツ光はNTT東日本・西日本が提供する光回線のサービスです。
それなら、高速な固定回線でインターネットが使える! 安心だ! と思うかもしれませんが、実は「フレッツ光」と名前の付く回線でも、実際の通信速度やサービス内容はさまざまで、速ければ最大10Gbps、遅ければ最大100Mbpsと、かなりの差があります。もう少し詳細に確認しておくことをおすすめします。
はじめに、大事なキーワードをかいつまんで紹介します。
フレッツ光は、戸建て向けの「ファミリータイプ」と集合住宅向けの「マンションタイプ」で提供形態や料金が異なります。アパートやマンションで一人暮らしを始めるなら、利用できるのはマンションタイプです。
回線の最大通信速度の違いにより、最大10Gbpsの「フレッツ 光クロス」と最大1Gbpsの「フレッツ 光ネクスト」の2種類があります。
そして、集合住宅によって、全戸でフレッツ光によるインターネット接続サービスを契約済み(これを「全戸加入型」といいます)で、入居したらすぐに使えるようになっている場合と、回線が部屋まで通っているだけで、入居者が個別にインターネット接続サービスを契約する必要がある場合があります。
全戸加入型の場合は、物件のセールスポイントとして最初に詳しく説明される可能性が高く、多くの場合は、フレッツ 光ネクストで、回線が通っているだけでしょう。以降は、フレッツ 光クロス/ネクストで、回線が通っているだけの状態の物件を想定します。
重要なポイントは建物内の「配線方針」
もう1つ、利用可能な通信速度を決める重要なポイントに、建物内の配線があります。フレッツ光は、その名のとおり外部から集合住宅までは必ず光ファイバーでつながっていますが、建物内の各部屋までの配線は、光ファイバーでない可能性があります。この「配線方式」の違いは、内見時に部屋にどのような設備があるかを確認しておくことでも、ある程度推測できます。
配線方式 | 速度 | 接続の方法 | 自室内まで光ファイバー配線 |
光配線 | ~10Gbps | 光コンセント | ○ |
VDSL | 100Mbps以下 | 電話線 | × |
LAN配線 | 100Mbps~1Gbps | LANケーブル | × |
最大10Gbpsの通信も可能になる光配線
部屋まで光ファイバーが通っている「光配線」の場合、光配線タイプの集合住宅の場合、部屋には「光コンセント」と呼ばれる設備が設置されているはずです。フレッツ 光クロスの回線が通っていれば最大10Gbps、フレッツ 光ネクストでは最大1Gbpsの通信が可能です。
築年数の浅い、新しい物件ほど光配線方式が期待できますが、最近では、別の配線方式から光配線に変更する集合住宅も増えていて、意外と古めの物件が光配線方式になっていることも少なくありません。
「VDSL方式」「LAN配線方式」は最大100Mbpsの通信速度
一般的な固定電話(加入電話)のモジュラージャックしかない部屋は、「VDSL方式」の可能性が高いです。これは、建物内を旧来の電話線で配線し、固定電話とインターネット接続の両方をまかなうものです。
VDSLは、古い設備をそのまま使えるため一時期広く普及していて、古い物件ではVDSL方式のことが多いでしょう。VDSL方式の場合、フレッツ 光ネクストの回線でも部屋で使える通信速度は最大100Mbps、実質的には数十Mbpsとなります。また、光ファイバーよりも回線の物理的な状態の影響を受けやすく、速度が低下したり、まれにノイズの影響を受けて接続が途切れるなど、不安定になる事例もあります。
数十Mbpsの通信速度があれば、動画視聴やWeb会議といった一般的な利用には十分ですが、悪条件が重なった場合などには、通信速度がかなり低下するなど不安定になる可能性もあることは知っておいた方がいいでしょう。
このほかに、部屋に有線LANポートが備えられた「LAN配線方式」があります。各部屋までを有線LANケーブルで配線するもので、こちらも最大の通信速度は100Mbpsとされます。ただし、設備によってはより高速な通信が可能な場合もあるようです。
フレッツ光公式サイトで情報を確認できる
このように、一口に「フレッツ光が利用できるマンション/アパート」と言っても、提供されている光回線や配線方式により、期待できる通信速度は大きく変わります。
物件で利用できるフレッツ光について、まずは、NTT東西のフレッツ光の公式サイトで、住所を入力して調べてみましょう。フレッツ 光クロス/ネクストの別や、全戸加入型かどうかなどを確認できます。
公式サイトでは詳細が調べられない場合もあります。配線方式に関しては、不動産店や物件のオーナー(大家さん)に問い合わせたり、内見時に設備を確認したりするようにしましょう。
なお、以上によって確認できるのは、期待できる最大の速度に過ぎず、実質的な通信速度には、そのほかのさまざまな条件も影響します。
マンションタイプのフレッツ光は、同じ集合住宅内のほかのユーザーの通信量が多いと、その影響により速度が遅くなる可能性があります。また、建物までのインターネット回線が遅い場合に、実質の速度が低下してしまう可能性もあります。
ただ、それでも、VDSLやLAN配線よりは光配線の方が速度を低下させる要素が減るため速度は上がり、快適に使えるでしょう。できるだけ速い通信が期待できる物件を選ぶに越したことはありません。