日焼け止めは生活必需品、少しでも環境や健康によいものを使いたいですよね。
次世代の日焼け止め成分の研究が、中国の清華大学で行なわれています。
今回論文発表された内容では、新しく研究されている日焼け止め成分は、マウス実験において既存の日焼け止め製品よりも、紫外線からの保護効果が高く、しかも皮膚に吸収されず、サンゴ礁にとっても無害であることが示されました。
高分子UVフィルターの探索の初期段階
この新成分の開発は、まず、「ビギネリ反応」という化学反応を利用し、従来の日焼け止め製品の成分として一般的に利用されているアボベンゾンに似たリング状の分子を構成。
次に別の手法でこの分子同士を水溶性の異なる配列に結びつけ、ポリマーという大きな分子を構成。この中から、日焼けと皮膚がんの原因となる紫外線の吸収効果の高いものを選び出しました。
そして、マウスを使った実験において、アボベンゾン、オキシベンゾンと比べて、紫外線による皮膚やけどを防ぐ効果が高いことが判明、マウスの皮膚がポリマーを吸収することもなかったそうです。
さらに、浮遊している藻類やサンゴにポリマーを付着させてみても、影響はありませんでした。
ちなみに、オキシベンゾンに付着させたサンゴは、白化現象(サンゴに生息する藻類を排出し、死滅させることもある現象)が起こることがあります。
「この研究はシンプルな多成分反応による、生物にもサンゴにも優しい高分子UVフィルターの探索の初期段階」と、Cell Reports Physical Scienceに掲載された論文に著者らは書いています。
従来の焼け止め製品の環境への影響は議論中
昨今、日焼け止めに利用されるオキシベンゾン同様の化学物質がサンゴを白化させ、海洋生物を傷つける可能性があることは、今回のようないくつかの研究で指摘されていて、どのくらい実害があるかどうかは現在も科学的な議論が続いています。
少なくてもハワイを含むいくつかの世界各国の地域では、オキシベンゾンを含む日焼け止めを禁止されています。
また最近の研究では、ある種類の日焼け止め成分は皮膚から血流に吸収されやすいことが示唆されています。
ベンゼンという発ガン性物質が推奨値より多く含まれているとして、リコールされた日焼け止め製品もあります。
ただし、日焼け止めが皮膚に吸収されたからといって健康リスクとの関連性が明確に示されているわけではありません。
つまり、日焼け止めによる環境と健康への影響は、明確にされておらず、推測の域をでていません。
少なくても直接紫外線を浴びることが明確に健康リスクがあることは明らかです。環境や健康に影響があるかどうかよくわからないからといって、今の日焼け止めの利用をやめる必要はないですよ。