真夜中の干潟遊び。
海の満ち引き(満潮と干潮)は一日に普通二回あって、一日の中に潮がよく引く(水位が下がる)干潮と、そんなに引かない干潮がある。春夏は昼間によく引き、秋冬は夜に大きく引く。
そのため、この時期は昼間に干潟へいっても潮が引いていないので全然いっていなかったのだが、「昼に潮が引かないのなら、夜にいけばいいじゃない!」というマリー・アントワネットみたいな考え方の人達による「三番瀬夜間散策会」というのが開かれるというので、ちょっと船橋までいってきた。
※2007年12月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
主催は三番瀬フォーラム
このマニアックな会を主催するのは、「三番瀬フォーラム」という三番瀬の保全・再生と海と街をつなぎ直す活動をしている会で、年に数回散策会を主催している。
元々は春・夏におこなわれる昼間の散策会に参加させてもらう予定だったのだが、運悪く開催日に台風が続いてしまい、初回の参加が夜の散策会となってしまったのだ。
ちなみに三番瀬とは、東京湾最奥の江戸川放水路河口から市川市・船橋市の南に広がる浅海干潟域のことをいう。
さあ、海を歩こう
取材日は11/24の大潮で、下の潮汐カレンダーを見ていただくとわかるが、この日は干潮が真夜中になるため、集合時間は夜の8時半。
集合場所となる船橋海浜公園に約20人程の干潟好きの人達が、ヘッドライトや懐中電灯、そして網やバケツなどを持って集まってきた。
私ももちろん張り切って対干潟用の重装備だ。これが一人だと密入国者か密猟者かという大変あやしい格好なのだが、今日は大多数がこういう格好なので、これが正しい気がするので大変助かる。
船橋海浜公園には初めて来たのだが、公園の裏手がすぐ干潟になっており、春の間は有料潮干狩り場になっているらしい。
今日はここをスタートして、干潟の生き物達を観察しながらずんずんと歩いていき、だいたい3キロ程先にある「海苔ひび」という海苔を育てる網までいく予定となっている。
ということは、長靴でいけるレベルの干潟が3キロ以上続いているということか。アナジャコ釣りにいった有明海の干潟も広かったが、ここ三番瀬の干潟も広いんだね。
まずは海藻チェック
真っ暗な海へ向かって歩いていき、まず最初に出逢ったのが海藻達だ。何も考えずに踏みつけて歩いていたのだが、これらは食べようとすれば食べられる海藻なのだという。
今までに食べたことのある海藻達が、この船橋の海にモリモリと生えているのがなんとなく心強い。もし食糧難になってもこの海にくればなんとかなる気がしてきた。いや、どうだろう。
生き物を捕まえながら沖へと進む
海藻もいいけれど、せっかく来たからにはやっぱり動く生き物達が見たい。今日集まった老若男女が真っ暗な干潟で網でザブザブやったりスコップでホジホジしたりして魚やエビカニを追いかけ回す。
とはいっても、冬の夜の干潟はそれほど生き物がたくさんいる訳ではないので、誰かがエビを捕まえるとオー、ハゼを捕まえてオー、という感じ。誰かがなにかを捕まえるたびにみせてみせてと人が集まってくるちょっとした宝探しだ。
ちなみに今日の参加者の約半数は三番瀬フォーラムの関係者なのだが、彼らはゴカイとかエビを見て、「ああ、これは○○ゴカイですね。」とか「これはヒゲナガ○○エビですね。」とか、すぐに名前がでてきてカッコイイ。
みんなで捕まえた生き物達はこちら。
ハゼにギンポ、普段の釣りだったら別にどうってことのない魚なのだが、今日は捕まえた人が心底うらやましい。
昼間みてもどうってことのない小さな生き物達が、夜の干潟で見るとプライスレスな宝物のように見えてくる。うなぎパイが「夜のお菓子」と名乗ることで独特の価値を持ったように、「夜の干潟」で採れる生き物達は特別なようだ。
大人になって夜に遊ぶことが当たり前になってしまったが、こういう夜のアウトドア遊びをやると、子供の頃に感じた「家にいないといけない時間に外にいる、ちょっと悪いことをしている感じ」が蘇ってきてとてもワクワクする。今が夏だったらこのまま勢いに乗ってカブトムシでも捕りにいきたいところだ。