2023年秋のファッショントレンドとして注目されているのが、イブニングウェアを発表するブランドが増加していること。
ロンドン・ファッションウィークでは、リキソー(Rixo)とジュリアン・マクドナルド(Julien McDonald)がイブニングウェアのアイテムを拡大し、その数日前に開催されたニューヨーク・ファッションウィークでは、メンズウェアデザイナーのウィリー・チャバリア氏が初のイブニングウェアコレクションを発表した。これらのブランドによると、ホリデーシーズンのパーティルックで定番のブランドになることが主要な推進力となっている。
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オケージョンウェアの売上は昨年のホリデー・シーズンで回復したが、2023年秋のキャットウォークでは全般的にデザイナーがいまやこのカテゴリーを優先している。マッキンゼー(McKinsey)のステイト・オブ・ファッション・レポート(State of Fashion report)が調査した業界エグゼクティブらによると、オケージョンウェアは2023年に売上を牽引するファッションカテゴリーのトップ3になると予想されている。ブランドはイブニングウェア専用の新たなラインを発表したり、サテンやスパンコール、ベルベットを特色とするドレスアップスタイルに再び注力するなど、その主張を裏付けている。
秋のコレクションで見られたドレスのコレクション
ニューヨークでは創業7年のブランド、ウィリー・チャバリアが、2月15日のショーでジェンダーニュートラルなイブニングウェアのラインを発表している。そのコレクションの目玉は、サテンやベルベットを使ったフロア丈のドレスだった。またロンドンでは、ジュリアン・マクドナルド、エス・エス・デイリー(S.S. Daley)、シックスティーン・アーリントン(16 Arlington)がロングドレスとスパンコールを使ったイブニングウェアのコレクションを展開した。
ロンドン・ファッションウィークのバイヤーは、イブニングウェアを今シーズンのトップトレンドと定義し、シックスティーン・アーリントン、エス・エス・デイリー、チェット・ロー(Chet Lo)など、このカテゴリーへの注力を拡大しているブランドについて言及している。
「ニューヨークでは、キャロライナ・ヘレラ(Carolina Herrera)の一貫して力強くエレガントなイブニングアイテム、クックレリ・シャヒーン(Cuculleli Shaheen)のエッジの効いたパンクでグラムな雰囲気の繊細な刺繍、ロダルテ(Rodarte)のゴシックロマンス、そしてラカン・スミス(LaQuan Smith)の魅惑的な自信に興奮した」とモーダ・オペランディ(Moda Operandi)のプレタポルテ購買ディレクター、マーク・ロフスキー氏は述べた。「ロンドンのショーでは、アーデム(Erdem)のドラマチックでムーディな豪華さ、シックスティーン・アーリントンの典型的にクールな姿勢、そしてネンシ・ドジョカ(Nensi Dojaka)のひと目でそれとわかる特徴に感銘を受けた。今シーズンは、表面的に見た目を派手にするというよりも、製作自体が非常に凝ったものになっている。イブニングコート、タキシード、『ル・スモーキング(イヴ・サンローランによる60年代の女性のためのタキシードスタイル)』にインスパイアされたルック、イブニング・セパレーツ、ケープ、ケープドレスなど、新しいキーアイテムを目にしている。シルエットは、ロングでほっそりした体型のスリップドレスか、ミディ丈のエレガントなベルラインだ」。
オケージョンアイテムはレンタルやリセール事業でも重要な牽引役に
中間からハイエンドの消費者をターゲットにロンドンで創業して8年になるリキソーにとって、ドレスは2023年秋のもっとも重要な商品カテゴリーだ。2022年11月に10種類のドレスのスタイルを発売した同ブランドは、このカテゴリーの売上が大きく伸びたことを受け、9月には24種類のドレスを提供する予定である。現在の総売上高のうちオケージョンウェアが占める割合について同ブランドは言及を避けた。
リキソーの共同創業者ヘンリエッタ・リックス氏は「昨年は、ホリデーシーズンに多くのオケージョンウェアを提供した」と語る。「そこで秋のコレクションでは、より本格的なオケージョンスタイルへと拡大することに焦点を絞った。当ブランドの顧客は特別な瞬間や大きなイベントでリキソーを着たいと思っている。そして全体的な秋のコレクションも以前にくらべてさらに洗練されたものになっている」。
ヴィンテージやブライダルアイテムを含むオケージョンウェアは、4月にロンドンにオープンするリキソーの旗艦店で大きな存在感を示すだろう。オケージョンウェアは、リキソーのレンタルやリセール事業でも重要な牽引アイテムとなっている。リキソーは英国のレンタルサイトのハー(Hurr)を通じて、2500点以上のアイテムをレンタルしており、その大半はパーティウェアだ。
オケージョンウェアブランドのリフォーメーション(Reformation)のオペレーション・バイスプレジデント、キャスリーン・タルボット氏は、昨年のホリデーシーズンにはパーティウェアの需要の高まりが顕著だったと話す。「世界が再び開かれたことで、人々はドレスアップを受け入れている」と同氏は述べている。
[原文:Brands are upping their focus on occasion wear for fall 2023]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)