横須賀市浦賀にある千代ケ崎砲台跡(ちよがさきほうだいあと)をご存じだろうか。
2021年10月から公開をはじめた、まだまだマイナーな明治時代の砲台跡だ。
東京湾を防衛するために築かれた砲台としては、横須賀沖にある無人島・猿島が一番有名だろう。ラピュタっぽいと話題になったやつだ。
実は、2015年にその猿島とセットで国の史跡に指定されたのが千代ケ崎砲台跡。
これが、超そのまま残っていて、ある意味猿島よりもすごいんです。
ペリーの来航地、浦賀から千代ヶ崎を目指す
最寄りの浦賀駅から千代ケ崎砲台へは約3km。
景色がきれいなので徒歩で行きたい。
浦賀といえば、1853年にペリーの黒船が最初に来航した場所。
今は小さな港町だけど、東京湾のくびれ部分の入り口に位置し、海防上たいへん重要な場所なのだ。
実際には、歩いて行く人はほとんどいないと思う。
千代ケ崎砲台は海へ突き出した山上にある。ただの3kmではなくて、どんどん上り坂になっていくのだ。
ほどよく距離がある分、気持ちも徐々に高まってくる。
到着!
ついこないだまで明治だったかのような、整いまくりの砲台跡
早速、明治へタイムスリップしてみたい。
柵門と呼ばれる、唯一の入口を通り中へと進む。
戦争遺跡なので、あまりカッコいいと言うのもどうかな…と思うも、初っ端から重厚な石積みがカッコいい。
ここからは、ガイドの方の話を聞きながら巡ることになる。
これが無料とは思えない充実ぶりで、予備知識ゼロでも楽しめるうえ、参加者の興味に合わせてマニアックな話までしてくれる。
あっという間の楽しい時間だった。
びっくりしたのがこの、そのまんまな雰囲気。
なんでこんな綺麗に残っているんだろう。
日清戦争へ向かう明治10~20年代、東京湾沿岸部には20以上の要塞がつくられた。
この千代ケ崎、猿島、観音崎、当サイトでも紹介された第二海堡などがその代表だ。
なので砲台跡は意外と珍しいものではないのだが…どれも戦前・戦後に役割を失い、緑に包まれたものが多い。
それに対し、千代ケ崎砲台は戦後いったん民間に払い下げられた後、1960年〜2013年まで自衛隊の通信基地として使用された。
そのため、荒れることなく建設当初の姿を良好にとどめているそうだ。
さらに2021年から公開されたまだぴかぴかの史跡だし。
それぞれの施設内部もがらんとしていて、余計なものがない分、往時を想像しやすい。
つい最近引っ越しで大家に明け渡した自分の部屋を思い出した。