覚えてますか、この姿を
駅で使われていた吸い殻入れが大量に発見されたと連絡をもらった。
懐かしいけどなぜか新品、そんなオーパーツのようなものがそこにはあった。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)
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東急線で使われていたものが発見された
東急の通販サイト TOKYU STYLEの佐々木さんから灰皿が見つかったという連絡をもらったのだ。TOKYU STYLE は以前、ヤクルト高津監督のタオルについて記事にさせてもらったことがある。
高津監督のタオルのほか、電車の切れ端も売っていてラインナップの幅が広いのか狭いのかわからない通販サイトである。
そんな佐々木さんが見せてくれたのがこれだ。
どういうものか、実際に使われていた時の写真を見ていただこう。
これ1枚で30分語れる切なさだ。駅の柱に吸殻入れがついていた時代、柱の多さ、広告費の安さ。どこの駅だろう。こういう駅から学校に行っていたっけ。前の席は野崎だった。
この吸殻入れが未使用で140個発見されたというのだ。出てきたのは交通広告を扱う老舗広告代理店、博広社の倉庫。
吸殻入れは東急が設置していたのではなく、広告会社が広告の周りに人が集まるために設置してたものだったのだ。デイリーポータルZのバナー広告と同じである。広告のまわりに面白いものを置く。
なかに水が入っていたり、吸い殻のフィルターが燃えて煙が出ていたこともあった。想像するだけでフィルターが燃える匂いが蘇る。
さてこの灰皿、TOKYU STYLEで販売予定である(売るのか!)
販売に先立って使い道をTwitterで聞いたところ大いに盛り上がっていた。
花瓶、ペン立て…。メタリックな質感が山崎実業や無印良品のようなおしゃれアイテムになるに違いない。
なぜ、なるに違いないと断言できるのか。
撮ったからである。
おしゃれアイテムとして転生しました
吸い殻入れを実際におしゃれアイテムとして撮ったのだ。
ちょっとした異世界転生ものである。吸殻入れの混乱が伝わるようだ。
大人がいらんことに本気を出す会となった。撮影は編集部安藤、アートディレクションはべつやくさんに頼んだ。
私はスタジオの予約をした。
白井社長に広告が本物みたいですね!と言われてとても嬉しい。白井社長いわく、この吸い殻入れは静岡にあるメーカーで作られていて、国鉄などにも納品していたとのこと。JRじゃなくて国鉄である。
そしてまた吸殻入れは令和に戻る。
駅の吸い殻入れという昭和にしか存在しなかったものが、これほど令和にフィットするとは思わなかった。
使えちゃったりして?というレベルではない。もう最初からこうしていたかのような佇まいだ。
(ペン、ストロー、料理道具を立てるときは高さを調整するために吸い殻入れのなかにタオルを詰めてます)
2月27日10時発売予定です
この吸い殻入れ、TOKYU STYLEで2月27日10時から発売予定である。
手に入れると、おしゃれアイテムとして使える上に来客に「実はこれ、駅にあったあれなんだよ…」とうんちくを語ることもできる。
来る人来る人に説明してうざがられて欲しい。