どうしてこんなに偽善者が多いのか
以前にもVoicyでも話しましたが、成田先生の「高齢者社会をなんとかするには、高齢者の方の集団自決くらいしかない」という発言を鬼の首をとったように批判する皆さま。常識的に考えれば、高齢者は自決しろといっているわけではなく、
まさか高齢者に集団自決しろというわけにもいかないのであるから、高齢者社会をなんとかしろというのは無理筋
というのを皮肉のたとえ話として言っているに過ぎない。ここで批判している方に言いたいのだが、あなたたちは
「ではあなたはどうすればいいと思うのか」
という対案を一切言わない。これは明確な偽善である。
少子高齢化で社会保障費は国の税収を超えた。このままでは社会制度は崩壊するというよりすでに崩壊している。厚労省のサイトにある図表。
ただし今から20年も前の試算で、いまはこれよりずっと悪化した。厚労省も怖いからか正式な最新の試算を発表しない。コロナでさらに子どもが産まれず少子化は加速している。それでも1935年生まれ、つまりいま88歳の人は、厚生年金を680万円納めただけで4400万円の受給を受けている。実に6.4倍である。
しかし2005年生まれ、現在18歳の新成人は
8000万円も給付させられて2.3倍しか戻らない
あれ、1億8300万円も戻ってくるの? と思うかもしれないが、生涯賃金は男性で約2.7億円、女性で約2.2億円であるから、新成人は生涯賃金の30〜40%も上の世代に召し上げられることになる。これだけ給料から引かれれば生活なんてできるわけもないから、実質的にはもう破綻していると言っても良い。極論を言うと、現役世代が増え続ける社会保険料に耐えきれなくなって自殺がバタバタ出だした瞬間に年金システムは終わるのである。そしてそれはすぐ目の前に来ている。
高齢者の時代はもっと給与が少なかったって?? 馬鹿言ってはいけない。生涯賃金は上がるどころか下がっているのだ。
少なくとも1990年に60歳の人、つまりいま83歳の人と、いま64歳の人だと後者の方が生涯賃金は少ないのだ。つまりいまの高齢者の社会保障料負担は生涯賃金に対してずっと小さかった。これは間違いない。
しかもこれは退職金を含めない。昔は退職金はもらえて当たり前だったが、現在では大手企業が中心で零細には退職金制度はないのが当たり前である。
いったいどうやってこの歪んだ社会を乗り切るのか偽善者は言わない
成田先生を罵倒するなら、代案をもって「こうしたら高齢化社会でもやっていける」という主張をして頂かないと、たんに偽善者が本音を言った人を非難する図式にしかならない。代案はあるのか。
どう考えてもこのいびつで破綻寸前の年金や医療のシステムは、
年金支給額を大きく減額して医療負担を増やして貰う
以外に解決策はない。ほかにあるのならぜひ主張して貰いたい。社会保険料の負担を消費税に換算するとすでに100%に達しているそうなので、社会保険料の天引きを止めて消費税を100%にしますか? 防衛費を削れ? いやいや年金の次元はそんなレベルじゃないのだ。
公共事業をすべて止めて荒れるままにして、自衛隊は廃止して侵略されるままにし、地方への交付金はなくして地方の予算を半分にして地方には崩壊して貰う。これで社会保障費とトントンである。どこかを削って捻出できる規模じゃないんですよ。年金を払いすぎているのだ。高齢者の医療負担が低すぎるのだ。偽善者たちは絶対にこれを認めない。
子どもと寝たきりの高齢者の命が同じ価値という偽善者
子供と高齢者の命は同じではない。80年生きた寝たきりの高齢者と生まれたばかりの子供は比較にならないほど子供が優先されるべきというと、ワラワラと偽善者が沸いてくる。
お前の親に言えるのかって?そう言ってたし本人もわかってた。自分も常々そう言ってる。
— Isseki Nagae/永江一石 YouTube始めました! (@Isseki3) February 21, 2023
そもそも平等というのは人生において公平であるということである。
努力次第でなにでもなれる。自分の人生を自分で選択できる公平な社会が平等な世の中だ。その意味ではシングルマザーの家庭に育ったが大学を出て国会議員になってる立憲の中谷さんとか共産の山崎さんがいる日本は平等な社会といえるだろう。
人生の選択をやり終えて寝たきりの高齢者と、まだまったく人生の選択もしていない子どもを同等に扱うのでは、明確に不公平である。偽善者の皆さんは「命は高齢者でも子どもでも同じ」と主張されるが、私は命の平等、公平という視点から私は子どもの命を優先するべきと考える。
ところが支配するのに都合が良かった儒教の考え方が江戸時代から染みついている日本や韓国では欧米先進国では想像だにできない優先順位が普通だと思っている人が多い。たとえば映画で有名なタイタニック号の事故。
欧米なら「女と子どもを優先に」ということで避難が始まる。弱い者を守るということであれば高齢者もそうだが優先されない。若い女性はこれから子どもを産む可能性があるし、子どもはまだ人生が始まったばかりだ。種を守るために当たり前の行動だ。
では日本で同じ事が起きたらどうなるか。間違いなく、
お年寄りから優先して避難を
という偽善の声が起きる。当の高齢者からも起きるだろう。
実際にこれが起きたのが韓国のセウォル号で、高齢者を優先して避難させてたくさんの高校生が死んだ。韓国では2013年まで10代の死亡原因第1位は日本と同じ自殺だったが、この事故で2014年の10代死亡原因第1位は運輸事故となったくらいである。
もうね。人道主義を身にまとった偽善は止めて欲しいんです。成田先生を批判できるのは代案をはっきりと口にできる人に限ってください。
リベラルを笠に着た偽善では日本は破滅しますよ。いい本です。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2023年2月24日の記事より転載させていただきました。