サッカーW杯:実は超難敵のコスタリカに勝つ方法

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サッカー日本代表、ドイツ代表に勝利したことでグループリーグ突破の期待が高まっています。次のコスタリカ戦に勝利して、早々に突破を決めることを多くの日本人が期待していることでしょう。

ですが、コスタリカ代表はスペイン代表に0-7と大敗したものの実は日本よりも実績のある難敵です。日本代表の負けパターンとも相性が良い勝ちスタイルを持っています。正直、僅かな油断でも、負けるかもしれない強敵です。

別記事で解説しているように本当に負けるかもしれないのです。

サッカーW杯:ドイツに勝ってもコスタリカに負けそうな理由
ドイツ代表に2-1の逆転勝ちをおさめた日本代表。世界11位で優勝4回の優勝候補、そして市場価値(選手の推定移籍金の合計)は日本の10倍というとんでもない強国に勝利したことで、日本中が大フィーバーでした。 特に渋谷はDJポリスが出動する…

では、どうすれば日本代表はコスタリカ代表に勝てるのでしょうか?

スペイン代表がどうやって勝ったのか、そして日本代表はどうして前半戦はドイツ代表に負けたのか分析することで、日本代表が勝利をつかむためのポイントを考えてみましょう。

brushpiquetr/iStock

鍵となるのはボール支配率

スペイン代表の勝因の最大のポイントは、実に77%という圧倒的なボール支配率です。

その中心にいるのはポジショニングとワンタッチプレーの神とも言えるボランチのブスケツ、スペース創造のマジシャンと呼ばれるペドリなど巧みな選手たちです。

すべての選手がポジショニングにも、ボールキープにも、ボール回しにも長けているので、コスタリカのパワフルでスピード豊なディフェンスもオフェンスも軽くいなします。

攻め急いでしまうと、コスタリカ代表の思う壺

スペイン代表のような圧倒的なボール支配は無理にしても、60%以上の支配率を目指して、コスタリカ代表の勝ちスタイルを発揮させないことが重要です。つまり、攻め急がず、敵ボールにしないという戦い方が重要です。

ただ、日本代表にはブスケツもペドリもいません。日本の不動のボランチ、遠藤航はボール奪取に力を破棄するタイプです。ブスケツのように器用にいなすタイプではありません。遠藤航にはカウンター封じの要として活躍していただいて、器用さが特徴の選手たちにがんばっていただくことが重要です。

ブスケツもペドリも居ない・・・誰が活躍する?

現状、ペドリに近いポジションには久保建英や鎌田大地などが入ります。普段の久保建英はドリブラーでプレースタイルはペドリとは全く異なります。

ただ、久保建英はペドリやブスケツが所属するFCバルセロナ育ちで、実はかなり器用な選手です。鎌田大地も器用な選手なので、攻め急がないという約束事ができれば支配率を高める可能性が広がります。

実際、一部では鎌田大地をボランチのポジションで使うことを提案する識者もいます。

つまり、コスタリカ代表戦では2人と連動できる器用な選手が輝くことが重要です。今回のメンバーではFWにはスピードスター系の選手を集めていますが、MFには南野拓実、三笘薫、田中碧、守田英正など器用な選手も多く集めています。これらの選手が連動してボールを回すことで、コスタリカ代表のパワープレーをかわすことがポイントになるでしょう。

ドイツ戦の勝利でかすんだポジショニングの悪さ

また、攻めさせないためにはディフェンスにおけるポジショニングの改善も必要です。

実はドイツ代表戦の失点につながる場面では日本代表はポジショニングの問題を露呈していました。

あらゆる失点は一人の選手の問題に帰属できるものではないのですが、超攻撃的左サイドバック、ラウムはまるでFWのように高い位置を取ります。システム的には右サイドバックの選手がマークすべきなのですが、前半においては中央でゲームを組み立てるドイツ代表のポジショニングが良すぎました。右サイドバックの選手もボランチの選手も完全に中央の選手のマークに向かっていました。この場合、右ウィングなどオフェンスの選手がラウムをマークせざるを得ません。

しかし、周りの味方に釣られるかのように中央の選手に向かっていました。自分の中央のプレスに参加しなければ…という同調が働いたのかもしれません。ただ、この判断が超攻撃的サイドバックのラウムを完全フリーにしてしまったのです。

選手個人に帰属するべきではないのですが、このことが結果的にPKにつながる反則の引き金になったのです。

南米の英雄、ルイス・フェルナンド・スアレス監督にスキを与えるな!

ドイツ戦では後半のシステム変更で改善しましたが、守備において選手が相互に誰がどこをカバーするべきか理解していればなかった失点でした。日本の弱点は相互の役割分担が徹底できていないことにあると言っても良いでしょう。

コスタリカ代表監督は南米では英雄と讃えられる名将・ルイス・フェルナンド・スアレスです。この弱点を見逃さないはずがありません。コスタリカ代表は強力でスピーディなカウンターアタックを持っています。スペースを与えないポジショニングが非常に重要なのです。

なお、スペイン代表はこのような危険なスペースの与え方は見られませんでした。日本もポジショニングの確認を徹底してもらえたらコスタリカ代表にチャンスを与えることはなくなるでしょう。ポジショニングが良くなれば、ボールを奪還したあとのパス回しも良くなり、支配率も高まることでしょう。

さあ、グループリーグ突破がかかる運命のコスタリカ戦、日本代表は手堅く勝ちを拾えるのでしょうか、それとも攻め急いでコスタリカ代表のカウンターに沈むのでしょうか…。ドキドキしますね。日本代表の痺れるような戦いを、そして勝利の歓喜を期待して引き続き応援しましょう!!

杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授)
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