Amazonのスマートスピーカー「Echo Dot」シリーズの最新モデルである第5世代の「Echo Dot with clock」が、2月14日に発売された。
本連載では第130回から「Fire TV Cube(第3世代)」の使いこなしを解説しているが、今回はEcho Dot with clockを組み合わせて、Fire TV Cubeから出るサウンドをアップグレードしてみようと思う。Echo シリーズは2台セットでステレオスピーカーとしても使えるので、この使い方もあわせて実践してみよう。
「Fire TV Cube(第3世代)」は、Amazonから2022年10月に発売された。本体のデザインも新しくなり、Wi-Fi 6対応、動作速度向上、外部HDMI入力対応など、前モデルから大きくアップデートされた製品だ。
Echoシリーズ2台をFire TV Cube用のステレオスピーカーに
Echoシリーズは、スマートスピーカーとして知られるが、とてもコストパフォーマンスの高い音楽スピーカーとも捉えられる。
小さい「Echo Dot」でも、2台そろえればかなり臨場感あるサウンドを楽しめる。ただし、Echoシリーズ単体で楽しめるのは、あくまでもAmazonプライムビデオやNetflix、Spotifyなどの配信サービスからの再生音に限られる。
Fire TV Cubeを組み合わせ、CubeのHDMI入力ポートにビデオやゲーム機などをつなぐことで、Echoシリーズからテレビやゲームなどの音も出せる[*1]。これに関しても後ほど続けて実践してみよう。
[*1]……少々ややこしい話になるが、Fire TV Cubeの映像出力をつないでいる(画面表示に使っている)テレビのチューナーの音は、テレビからしか出ない。別途、HDMI出力を持つビデオチューナーやゲーム機が用意できれば、それをCubeにつなぐことで、Echoシリーズからステレオ再生できるようになるということだ。例えば、本連載で扱った「nasne」(第97回~第127回)をPS5から視聴したり、こちらもときどき登場している「DiXiM Play」アプリを使ってCubeから録画番組を見る場合にも、Echo Dotから音が出るようになる。早い話、Cubeを経由して再生すればEchoシリーズから再生されるということだ。
Echoシリーズのサイズは3種あり、この「Echo Dot」は一番小さなモデルで、サイズは100×100×89mm(幅×奥行×高さ)。最も小さいのは第3世代のEcho Dotになるが、第4世代から球形デザインになり、この第5世代でも同じデザインを踏襲している。Echo Dotだけ、「~with clock」という派生モデルがあり、LEDによる情報表示ができる。これは表示なしのモデルと好みで選べばいい。
ステレオ音声のために2台そろえるときは、1台は「~with clock」で、もう1台はなしというチョイスもありだ。ただし、「~with clock」とそうでないモデルの間で色を合わせようとすると、「グレイシャーホワイト」一択となる。
「Echo Dot」のほかには、中型の「Echo」と最大サイズの「Echo Studio」が用意されている。部屋のサイズや低音域のボリューム感、かけられる予算からモデルを選択するといい。サウンドの臨場感を求めるなら、ぜひ2台ペア買って並べてほしい。Echo Studioは、本連載の第61回から第64回にて実践してみている。この後ソフトウェアにて空間オーディオへの対応などのアップグレードがあったが、本体としてはまだ変わっていない。
Fire TV CubeはEchoと限りなく似ていて、「アレクサ!」のウェイクワードで操作でき、アレクサの音声アシスタンスが声で返答してくれる。しかし、配信サービスのコンテンツからの再生音はスピーカーから流れてこない。動画視聴でテレビから音が出るのはいいとして、Spotifyで音楽を再生しても音が出るのはテレビからになる。これをEchoシリーズから音を流そうというのが、今回の目標だ。
Echo Dot with clock 第5世代は、まだ発売されたばかりなので値下げはほぼない(記事執筆時点での販売価格は8480円)が、今後シーズンごとに行われる各種セールの対象になれば、買いやすくなると思われる。Echo Dotの第4世代は、よく2000円台まで下がっていた。どのEchoシリーズのどのモデルを選んでもステレオペアの設定は同じなので、次回からの設定方法をぜひ参考にしてみてほしい。
先代Echo Dotから正常進化した第5世代
Echo Dot with clock 第5世代は、第4世代をほぼ踏襲していて、そのアップグレード版で正常進化していると言えるモデルだ。内蔵される前方に向け斜めに付けられている44mmフルレンジスピーカーは、第4世代から10%サイズアップしている。
比較して聞いてみると、音域全体で明らかにレンジが広くなっているのが分かる。口径が少し大きくなっただけでここまで変わるのはちょっと驚きだが、高域のキレ、低音の豊かさが明らかにレベルアップしていることが分かる[*2]。ボリュームアップすると映像視聴で十分楽しめるサウンドが出てくる。ステレオペアで使ってみると下手なサウンドバー顔負けの音だ。
テレビとケーブルでつなぐ必要がなく、設置の自由度が高いので、手軽に追加できる点でも使いやすいだろう。もちろんサイズからいって体に響く低音を期待するのは無粋だ。そちらを求める向きにはEcho Studioを選んでほしい。なお、第3・第4世代にはあった背面の3.5mmオーディオ出力が無くなっており、自前のサウンドシステムに出力するという用途には使えなくなった。
[*2]……Amazonのプレスリリースでは「前世代比最大2倍の深みのある低音を実現」とうたっているが、そんなに大きな違いはないので期待し過ぎないように。ただ明らかに音質は良くなっている。以前は低音補強用のサブウーファーの「Echo Sub」というモデルがあったが、残念ながら入手できなくなってしまっている。
「with clock」にあたるLED部分では、第4世代では7セグメントLEDだったのが、第5世代ではドットマトリクスLEDディスプレイになった。そのため、時刻表示以外にも、再生中の曲名やアーティスト名、天気の記号表記、温度なども自動スクロールで表示できるようになっている。
ただ、日本語はカタカナだけなので、邦楽での曲名やアーティスト名の日本語表示はあまり期待しない方がいい。今後表示機能はソフトウェアでアップデート予定があるそうなので、期待しておきたい。また、これは前世代までのモデルにもあった機能だが、LEDの明るさは環境光に応じて自動調整してくれる(Alexaアプリからコントロールも可能)。
ほかにも、本体のアタマの上をタップすることで音楽の一時停止と再開ができたり、さらにタイマー開始と停止、通話しているときは通話終了といった操作ができるようになった。また、温度センサーが内蔵され、温度に応じて機器のコントロールが可能になったり(エアコンなどの操作には別に赤外線IoTリモコンなどが必要だ)、超音波モーション検知で部屋に人が入るなど動きを検知してアクションを作成できるようになったりもしている。
温度センサーでは、設置されている部屋の室温を教えてくれるが、LEDには外気温しか表示されなかった(いずれは表示されるようになるかも)のはちょっと残念ポイント。時刻と室温を交互に表示させるような設定があるとうれしいところだ。モーション検知は今後の連載でも設定を試してみることにしよう。
次回からは、Echo Dot with clockの第5世代と第4世代を組み合わせてステレオペアを行ってみる。なお、第5世代と第4世代は異なる世代間でもステレオペアの設定が可能なモデルとなっているが、第3世代やほかのEchoとのステレオペアは設定できないので注意だ。
第3世代でミニマルなステレオペアにしたいとか、Echo Studioでリッチな低音を楽しみたいとかいう場合には、同じモデル・同じ世代で2台そろえる必要がある。
これからEchoシリーズを2台そろえるなら、2台とも第5世代にすることをお勧めする。ステレオで短時間聞いただけでは左右のバランスが崩れているとまでは感じなかったが、個々に近づいて聞いてみると、明らかに第5世代の方が中音域を中心に豊かに感じられ、人によっては違和感と捉えられるかもしれない。中古で格安で手に入るとかいった場合でなければ、今あえて第4世代を選ぶ意義は感じられない。では、次回からセッティングしていこう。