つくばの数学的絶景~平行に走る二つの大通りが交差する場所がある~

デイリーポータルZ

手前から奥へと、真っ直ぐ伸びる線路を想像してほしい。

遥か彼方で、線路の2本のレールが交わるようにみえるだろう。平面上の2本の平行線がずっとずっと遠くで交わる点、これを無限遠点と呼ぶ。

数学を考える上で必要だからと、理論上そういう点が存在することにしたのであって、現実に無限遠点を確認することはできないはずだった。

が、しかし。人面犬をも生み出したと噂される科学都市つくばに、無限遠点が実在したのである。

プレゼンテーション15.jpg

2本の平行線を限りなく遠くまで辿っていった先にあるとされる、無限遠点。無限というくらいだからそうやすやすとはお目にかかれないのだが、つくば市では無限遠点を実際に見、踏みしめることができる。

つくば市の平行線といえば、つくば駅を挟むようにつくられた学園東大通りと学園西大通りだ。

道幅やロードサイドの風景がよく似ていて、つくば初心者の方向音痴は、道を覚えるまでしばらく悩まされることになる。
通りにあるお店で覚えようとすると、松屋が両道路に出店していたりして痛い目に遭う。それぞれ少しづつデザインが異なるのが、よりパラレルワールド味が濃くて妙な気分だ。
それぞれの松屋から通りを北上していくと
今度はどちらの通りにもマクドナルドが現れる

先の松屋と同じように、西大通店と東大通店の二店舗あるかと思いきや、両道路から見えているマクドナルドは「408大曽根店」ただ一つの店舗だ。

そう、つまり
このように、マクドナルドのある交差点を無限遠点として、平行に走っていた学園東大通りと学園西大通りが交わるのである!

初めてこの交差点にたどり着いた人はみな困惑する。ずっと道なりに 走っていただけのはずなのに、なんで?!

ネタバラシをすると、ある地点までは平行に走っていた道路が
北上するにつれカーブを描いて平行でなくなってしまっただけなのだけど。

二本の大通りがそのうち交わるということ自体は、全国的に見たら珍しくないことかもしれない。

愛すべきはこの交差点を無限遠点と呼ぶ風習だ。インターネット上では2006年頃にはすでに「通称『無限遠点』と呼ばれる」という記述が見られた。

友達づてなのか先輩後輩の中でなのか、少なくとも干支が一周するほどに、つくばに脈々と伝わる理系ギャグなのだと思うと微笑ましいものがある。そろそろ交差点に碑を建ててほしい。

ちなみに無限遠点の更に北側には、高エネルギー加速器研究機構という謎めいた名前の研究施設がある。
暗黒物質!暗黒エネルギー!

一般人も展示を見ることができるが、笑っちゃうぐらい書いてあることが理解できず、本当に異世界に来てしまったのかと思うくらい恐ろしい経験だった。 

唯一おもしろがれたことは、この不思議な模型
の、操作パネルの字体と単語が醸し出す昭和特撮っぽさ!
それからノーベル賞受賞者パネルの
2次元から飛び出したヘルメットのつば!

無限遠点の向こう側を知りたい方は、ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

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