企業の独占に対抗するためオープンソースで「種」が開発されている

GIGAZINE
2023年02月14日 07時00分



誰でも開発に携われるようにした「オープンソース」のプロダクトといえば一般的にソフトウェアのことを指しますが、「誰でも無料で利用可能」という意味でや植物の種の開発のことを指す場合もあります。種の特許を一握りの企業が所有しているアメリカにおいて、種をオープンソースで開発してしまおうというプロジェクトが進められています。

“Open Source” Seeds Loosen Big Ag’s Grip on Farmers – World Sensorium / Conservancy
https://worldsensorium.com/open-source-seeds-loosen-big-ags-grip-on-farmers/

ソフトウェア開発がMicrosoftやAppleといった少数のグローバル企業に独占されているように、国際的な種子の開発と取引も、バイエルやコルテバ、中国化工集団といった少数の大企業に牛耳られていると作家のミハエル・ハース氏は話します。2012年に貧困の根絶を目指す支援団体のオックスファムが行った調査によると、穀物に関する世界貿易の60%以上を4社が支配していることが判明しているそうです。

特許を取得し保護された種子は、農家や園芸家が保存したり、植え替えたり、共有したりすることができません。また、これらの種子は研究に対する免除規定が存在しないため、大学や小規模な種苗会社の植物育種家は特許で保護された種子を用いた新しい作物品種の開発を行うことができないとのこと。

このような現状を受け、所有権のない「新しい種」をオープンソースで開発し、農業に多様性を取り戻そうとする試みが進められています。2012年、ウィスコンシン大学マディソン校の名誉教授であるジャック・クロッペンバーグ氏が、志を同じくする6人の農業専門家と共に、企業が種子を独占している現状に対抗する策として「オープンソース・シード・イニシアティブ(OSSI)」を共同設立しました。

OSSIはそういった縛りをなくすために独自の種子を開発・提供しており、すでに約50の種苗業者と契約し、500種近い種子を提供しているとのこと。クロッペンバーグ氏いわく、OSSIの目的は「遺伝資源の自由な流通と交換、植物育種と品種開発」にあり、地球温暖化や病気などにも負けない斬新な植物品種の開発にも取り組んでいるそうです。


OSSIと契約を結んだ種苗生産者は自分たちが開発した種子をOSSIに登録することになり、OSSIに登録された種子は購入すれば誰でも好きなように使えます。すでにライ麦や小麦、トマト、ジャガイモなどがOSSIで開発されており、大麻の育種家もOSSIの戦略に関心を持っているとのこと。

クロッペンバーグ氏は「一部のグローバル企業が世界の種子取引を独占し、お金のためにトウモロコシや大豆のような換金作物を育てているのです。企業は生物多様性や世界の飢餓、小規模農家のことなど気にもかけません。変化に対応できる新しい植物品種が必要なのです」と話しました。

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2023年02月14日 07時00分00秒 in , Posted by log1p_kr

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