KDDI株式会社、KDDIエンジニアリング株式会社、KDDIスマートドローン株式会社、株式会社KDDI総合研究所の4社は1月30日、災害時にヘリコプターやドローンなどからアプリ不要で全通信事業者の携帯電話の電波を捕捉できるシステムの試作機を開発したと発表した。
同システムは、救助活動の支援を目的として、携帯電話の位置を高精度に推定するシステム。災害時や山岳救助時など、携帯電話の使用が難しい状況下でも、通信事業者を問わず救助対象者の携帯電話の位置を推定できるという。ヘリコプターへの搭載を前提としたシステムのため、ドローンへの搭載やハンドキャリーにも対応しており、災害状況にあわせて迅速に活用できる。
広範囲に電波を発射させることができる広角（ビーム幅：90度）、中角（ビーム幅：40度）、狭角（ビーム幅：15度） の3種類のアンテナを使い分けることにより、半径数キロメートルから数百メートルの範囲の位置推定が可能。ドローン搭載時の風などの影響に配慮し、アンテナは最も大型となる狭角タイプでも50×50×3cmのコンパクトサイズを実現した。
同システムを搭載するドローンは、災害現場での運用を見据えて防塵・防水や耐風性などの飛行性能および運用性を考慮して設計されており、事前のアプリインストールも不要なため、緊急時において幅広い用途で活用できる。
同システムは、1月26日に鹿児島県薩摩川内市上甑島において実証が行われ、地中などに埋まった環境下でもスマートフォンを検知し、位置推定ができることが確認された。4社は今後、試作機で得られた知見をもとに国や自治体と連携しながら災害時などの救助活動への活用を目指すとしている。
