メタバースも地方創生も、SBI北尾社長が語るグループのデジタルアセット戦略~「FIN/SUM 2022」レポート 

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 フィンテックカンファレンス「FIN/SUM 2022:Fintech Summit」が、2022年3月29日から31日にかけて、都内およびオンラインで開催された。FIN/SUMは、金融庁と日本経済新聞社が2016年から共催する、国内最大級のフィンテックカンファレンス。

 この記事では、SBIホールディングス 代表取締役社長の北尾吉孝氏による講演「デジタルスペース時代の夜明け ~Breaking Dawn of Digital Space Era~」の模様をレポートする。

一気通貫のデジタルアセットのサービス

 北尾氏の講演は、デジタルアセット(デジタル資産、暗号資産)を中心にSBIグループの取り組みを語るもの。「デジタルスペース時代」「基盤技術への投資・導入や各種制度作り」「次世代の金融プラットフォーマーを目指す」「多様なビジネス展開」の4つのパートからなる。

SBIホールディングス 代表取締役社長 北尾吉孝氏

 まずデジタルスペース時代について。北尾氏は、デジタルアセットの時価総額が2021年11月に300兆円を突破したことを取り上げ、その中で「顕著なのは機関投資家が相当入り込んできたこと」と説明した。

 そのうえで北尾氏は、「デジタル=グローバル」だとして、SBIグループが海外でもアグレッシブに有力パートナーと提携してきたことを紹介した。

 さらに、暗号資産情報サイトのモーニングスター、新しく匿名組合方式で作った「SBI暗号資産ファンド」、SBI証券での販売、SBI VCトレードでの販売、暗号資産マーケットメイカーである出資比率90%の英B2C2社といった一連の事業を挙げて、暗号資産サービスを一気通貫で提供していることをSBIグループの特徴として語った。

SBIグループにおけるデジタルアセット分野への進出

暗号資産サービスを一気通貫で提供

ジョイントベンチャーや出資を紹介、メタバース業界組織の設立も予定

 基盤技術への投資・導入や各種制度作りでは、北尾氏はまずSBIグループの基本戦略として「創業以来、徹底的な進歩と技術が変革を起こすと信じてきた」と、小規模なスタートアップを含めて時代を超えるような会社に投資してきたことを語った。

 その実例としては、Ripple Labs社やR3社とそれぞれジョイントベンチャーを立ち上げたことを紹介した。

 さらに国内については、Ripple Labsとともに推進するマネータップを紹介し、「全銀ネットに代わるものとして推進していきたい」と語った。現在9行が接続して機能を提供、3行がシステム接続済み、9月までにさらに4行を接続するという。

 そのほか最近出資したものとして、相互運用を可能にするスマートコントラクト言語Damlの米Digital Asset社を紹介。さらにデジタルアセットバンキングの分野で、スイス金融当局から銀行免許を付与されたデジタル資産銀行Sygnum Bankへの5%出資を紹介した。

Ripple Labs社やR3社とのジョイントベンチャー

マネータップ

米Digital Asset社

スイス金融当局から銀行免許を付与されたデジタル資産銀行Sygnum Bank

 制度面では、日本STO協会やST研究コンソーシアムといった自主規制団体・業界組織の設立・参画について紹介した。

 さらにメタバース分野について、「新たな業界組織が色々できていますが、やはり、きちっとした制度作りや政策提言、さまざまな情報発信ができるところでないとダメと思いました。そこで、私どもが直接業界組織を近々設立するつもりで準備をしています」と明らかにした。

自主規制団体・業界組織の設立・参画。メタバースの業界組織の設立も予定

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