Microsoft、GitHub、OpenAIの3社が人工知能(AI)をトレーニングするためにオープンソースのコードを使用することで、「オープンソースプログラマーの仕事から利益を得ている」として集団訴訟を提起されています。これに対して、Microsoft、GitHub、OpenAIの3社は裁判所に対して訴訟の棄却を求めていることが明らかになりました。
OpenAI, Microsoft want court to toss lawsuit accusing them of abusing open-source code | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/openai-microsoft-want-court-toss-lawsuit-accusing-them-abusing-open-source-code-2023-01-27/
Microsoft, GitHub, and OpenAI ask court to throw out AI copyright lawsuit – The Verge
https://www.theverge.com/2023/1/28/23575919/microsoft-openai-github-dismiss-copilot-ai-copyright-lawsuit
2022年6月、GitHubがコードの続きを書いてくれるコード補完AIツール「GitHub Copilot」を発表しました。GitHub CopilotはGitHub上のコードを使ってトレーニングされているため、一部のプログラマーからは「自分が書いたコードを出力している」という声が挙がっており、すぐに著作権法に抵触している可能性が指摘されるようになりました。
ソースコードの続きを自動補完するGitHub Copilotに「著作権で保護されたコードを出力している」という指摘が寄せられる – GIGAZINE
そして2022年の11月には、GitHub Copilotの開発に携わったMicrosoft、GitHub、OpenAIの3社が、「オープンソースプログラマーの仕事から利益を得ている」として集団訴訟を提起されました。集団訴訟を提起したのはプログラマーであり弁護士でもあるマシュー・バターリック氏で、原告側は「GitHub Copilotは前例のない規模のソフトウェア違法コピーを行っている」と主張しています。AIを用いた生成ツールに関する訴訟はこれが初とされており、バターリック氏と弁護団側は同様の理由でさらに2件の集団訴訟を提起しています。
ついにGitHubのコードで学習したAI「GitHub Copilot」が集団訴訟に直面 – GIGAZINE
この集団訴訟に関する書類をMicrosoft、GitHub、OpenAIの3社がサンフランシスコ連邦裁判所に提出し、裁判所側に訴訟を棄却することを求めていることが明らかになりました。
提出書類の中で、MicrosoftとGitHubはバターリック氏による訴状は「2つの本質的な欠陥により失敗している」と指摘。さらに、「原告側は『仮定的な出来事』ばかりに頼っており『個人的にどのように著作権侵害を受けているかを記述していない』」と指摘しています。
さらに、Microsoftらは「GitHub Copilotは一般に公開されているオープンソースコードの本体から何も取り出していません。むしろ、GitHub Copilotは公開されているコードから得られた知識全体から学んだことに基づいて提案を生成し、開発者のコード作成を支援しています」と述べ、原告側の指摘するような著作権侵害は行っていないと主張しています。
加えて、「原告側はオープンソースとして進んで共有されているソフトウェアに対して差し止め命令と数十億ドル(数千億円)の利益を求めることで、オープンソースの原則を損なおうとしている」と主張しています。
このような訴訟に直面しながらも、MicrosoftはOpenAIに対して数千億円規模の出資を行い、同社と長期的なパートナーシップを結んだことを発表しました。また、MicrosoftはWord、PowerPoint、Outlookといった自社製品にAIツールを導入することや、検索エンジンのBingにAIチャットボットの「ChatGPT」を追加することを検討しているとウワサされています。
MicrosoftがOpenAIに対し数千億円規模の出資を行い長期的なパートナーシップを締結したことを発表 – GIGAZINE
なお、AIツールに関する法的問題に直面しているのはMicrosoft、GitHub、OpenAIだけではありません。2023年1月にはバターリック氏らがMidJourney、Stability AI、DeviantArtが作成したAIアートツールがインターネット上にあるアート作品を違法にスクレイピングしているとして、訴訟を提起しています。同じく、ゲッティイメージズもStable Diffusionがサイトから画像を「違法に」スクレイピングしているとして、Stability AIを提訴しています。
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