メモ
ニューヨークにおける労災請求を分析した結果、新型コロナウイルス感染症の後遺症(ロングCOVID)を患う請求者の71%が継続的な治療を必要とするために復職できず、6カ月以上働くことができなかったことがわかったと、ニューヨーク・タイムズが報じています。
Long Covid Is Keeping Significant Numbers of People Out of Work, Study Finds – The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/01/24/health/long-covid-work.html
ニューヨーク州保険基金の調査によると、2020年1月1日から2022年3月31日までのおよそ2年間で支払い処理が行われた労災請求のうち、3139件が新型コロナウイルス感染症関連の請求で、その3分の1近くがロングCOVID関連のものだったそうです。なお、報告書によれば、感染してから60日以上の治療が必要な場合、あるいは感染が理由で60日以上仕事ができなかった場合、ロングCOVIDに分類されるとのこと。
また、ロングCOVIDを患っていると診断された労災請求者の約71%が、継続した治療を必要とするか、6カ月以上働けなくなったことが明らかになりました。新型コロナウイルスに感染してから1年以上経過しても、ロングCOVID患者の18%は職場に復帰できておらず、その4分の3以上が60歳未満であることも判明しました。
新型コロナウイルス感染症の全患者に支払われた約2000万ドル(約26億円)のうち、ロングCOVIDと認定された977人に支払われた労災基金は約1700万ドル(約22億円)で、ニューヨーク州保険基金によると、治療費よりも賃金損失の割合がわずかに多かったそうです。一般的なロングCOVIDの症状は息切れ、疲労、脱力感、認知・記憶障害などで、復職しても明らかに生産性が落ちてしまいます。そのため、復職してもなかなか以前のように仕事ができず、結果として職場での評価が下がり解雇されてしまうパターンが多い模様。
ニューヨーク州保険基金はロングCOVID患者が増えた理由の1つとして、「国民の安全や社会機能の維持などのために働き続けなければならない『必須労働者』が検疫期間を守って自宅待機することができなかったからかもしれない」と推測しています。
特に医療従事者は適切な治療を受けるよりも「自己治療」を行っていた可能性が高いそうで、「医療従事者などの必須労働者はデータが示すよりも新型コロナウイルスへの感染率が高く、政策立案者にとって盲点になっている可能性があります」と、ニューヨーク州保険基金は述べています。
ブルッキングス研究所の上級研究員であるケイティ・バッハ氏は「ロングCOVIDを患って、少なくとも今まで復職できなかった人々が相当数存在していることが示されています。多くの人が働かないわけにはいかないので、本当は働いてはいけないのに働き、病気になって働き続けているのです」と述べています。
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