あらゆる種類の美容ブランドが気が遠くなるようなスピードでローンチされ、また閉鎖されている。ここ数年では、セレブリティが創業したブランドが注目を大いに集めてきたが、医師が創業したブランドは見事にレレバンスを維持している。創業者が持つ確かな専門知識のおかげで、そうしたブランドには信頼性があり、信用がおけるのだ。
医師が創業したスキンケアブランドは、何も新しいものではない。1985年にはハロルド・ランサー博士のランサー(Lancer)がデビューしており、1989年にはハワード・ムラド博士のムラド(Murad)がローンチ、そして2000年にはデニス・グロス博士が自身のスキンケアラインを立ち上げている。そして近年も新規参入者が増え、このカテゴリーは変わらず人気を保っている。皮膚科医のホイットニー・ボウ博士は、2022年6月にスキンケアブランドのドクター・ホイットニー・ボウ・ビューティ(Dr. Whitney Bowe Beauty)をデビューさせた。そして2022年9月には、シリーヌ・イドリス博士が自身のブランドであるピロートークダーム(PillowtalkDerm)をローンチしている。
あらゆる種類の美容ブランドが気が遠くなるようなスピードでローンチされ、また閉鎖されている。ここ数年では、セレブリティが創業したブランドがメディアと消費者の注目を大いに集めてきた。だが、医師が創業したブランドは見事にレレバンスを維持している。創業者が持つ確かな専門知識のおかげで、そうしたブランドには信頼性があり、信用がおけるのだ。
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着実に成長を遂げている医師創業ブランド
近年、医師は正真正銘のソーシャルメディアのスターとなっており、それが医師によるブランドが話題を集めて人気を維持するのに貢献している。Glossyのために、ローンチメトリックス(Launchmetrics)が昨年12月にもっとも話題を集めた医師創業ブランドをMIVに基づいて調査した。ローンチメトリックス独自の指標であるMIV(メディア・インパクト・バリュー)は、インフルエンサー、紙メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランドのメディアチャネルの影響を追跡するものである。上位5位は、ムラド、ドクター・デニス・グロス・スキンケア(Dr. Dennis Gross Skin Care)、ランサー、ドクターブラント(Dr. Brandt)、ドクターロレッタ(Dr. Loretta)が占めていた。
「ブランドの声に関する我々の分析によると、ムラドは特に美容コミュニティを対象とするインフルエンサーの声に恩恵を受けており、ブランドにまつわる会話から生じる価値の半分以上を占めている」と、ローンチメトリックスのCMOアリソン・ブリンゲ氏は述べた。「これらの調査結果は、インフルエンサーが美容業界の主要なバリュードライバーであることを示した我々の最近のレポート、ビジネス・オブ・ビューティ(Business of Beauty)と一致している。さまざまなインフルエンサーが飽和状態になりつつあるため、ブランドを反映するオーセンティックな声をターゲットにして、特定のオーディエンスにメッセージを届ける機会が以前よりも増えている。ブランドにとっていちばん重要な戦略は、そうした声が誰であるかを明らかにすること、そして新たなオーディエンスを引き付けて維持するために、その影響力を最大限活用する方法を定めることだ」。
インフルエンサーや医師自身のソーシャルメディアでの存在感、そして単に信頼できる情報や製品を求める消費者の欲求に後押しされ、医師が創業したブランドは着実に成長を遂げている。昨年Glossyが報じた内容によると、皮膚科医が創業した111スキン(111 Skin)は、2021年の第1四半期に売上が前年比84%増となっている。
人々が求めているのは正しい事実と結果をもたらす製品
現在もNYの診療所で患者を診ているデニス・グロス医師は、最終的に重要なのは有効性だと考えている。競合他社が次々と現れては去っていく中で、同ブランドは23年間、前年比2桁の成長を続けてきたと彼は語る。「自分たちが流行のブランドであると考えたことはない。私たちは科学に根ざし、消費者を教育し、効果のある製品のコレクションを作るためにかなりの努力をしてきた」と彼は述べた。「鮮やかな色のパッケージやギミックに富んだ製品で当初人々を魅了した(閉鎖された)ブランドは、ある大きな理由で消費者をつなぎ留めることができなかった。つまり、その製品が結果を出さなかったのだ」。
「パンデミック以降、ドクターズブランドに新たな人気の波が押し寄せているのを目にしている。消費者は、信頼できる専門家と、効果があるとわかっている製品を求めている。特に不況に向かう中で、人は結果の出ない製品でお金を無駄にしたくないのだ」とグロス博士は指摘した。また、偽情報があふれる世界において、「成分やスキンケアの教育に関する事実を明確にして、結果をもたらしてくれる製品を処方する」ことを顧客は医師創業のブランドに期待しているとも彼は付け加えた。
グロス博士と彼のブランドには、それぞれ別のインスタグラムのプロフィールがある。本人のアカウントである@dennisgrossmdには、12万7000人のフォロワーがいる。スキンケアブランドのアカウントである@drdennisgrossのフォロワー数は、31万6000人だ。ソーシャルメディア以前から、グロス博士はメディアとブランドの両方のおかげでよく知られていた。だが、ソーシャルメディアによって、彼は「さらに多くの人にリーチできる」ようになったという。このことは、ブランドにもよい影響を与えた。
「ソーシャルメディアのプラットフォームを教育ツールとして活用している。スキンケアのサイエンスを分解し、肌タイプの見分け方から、さまざまな成分が肌にどう作用するかまで、ありとあらゆることを教育している。消費者が私たちのブランドに求めているのは、自分の肌に合った製品を購入する際にベストな選択をするための信頼できる教育だ。スキンケアは万能ではない。ソーシャルメディアで私の存在感が高まってから、消費者とのつながりがさらに増え、より深い信頼関係を築いている」。
[原文:Glossy x Launchmetrics Research: The buzziest doctor-founded skin-care brands]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)
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