正捕手格の嶺井博希がFA移籍したDeNAだが、投打に戦力が充実している。内野陣を見ると、一塁が本塁打王を2度獲得したソト、二塁が2023年3月に開催されるWBCで侍ジャパンのメンバーに先行選出された牧秀悟、三塁が首位打者に輝いた実績を持つ宮﨑敏郎で固まっている。レギュラーが固まっていないのが遊撃だ。
昨年は大和がチーム最多の65試合にスタメン出場。森敬斗が42試合、柴田竜拓が36試合で続く。大和は守備の名手で知られるが、35歳とベテランの域に入り守備範囲が狭くなっている。球団が補強に動き、砂田毅樹との交換トレードで中日から獲得したのが京田陽太だった。
昨季は悔しい結果に終わる
スポーツ紙記者はハイレベルなレギュラー争いを期待する。
「近年は打撃不振の影響で精彩を欠いていたが、遊撃の守備能力はリーグ屈指。堅実な守備を取り戻せば、打撃に過度な期待はせず打率2割5分で十分です。京田の加入は他の選手も刺激になるでしょう。特に危機感を持ってほしいのは森敬斗ですね。足が速く、肩も強い。能力は文句なしだが、攻守でミスが目立つ。試合を左右する局面で小技を決められないと、首脳陣は起用しづらい。遊撃のレギュラーで全試合出場するつもりで、2月の春季キャンプからアピールしてほしいですね」
桐蔭学園で走攻守3拍子揃った野手として注目を集め、19年ドラフト1位で入団。同世代の1位は佐々木朗希(ロッテ)、奥川恭伸(ヤクルト)、石川昂弥(中日)、宮城大弥(オリックス)とタレントがそろう中、DeNAが森を単独指名したことが期待の大きさを物語っている。
高卒1年目から1軍デビューを飾り、遊撃のレギュラー候補と目されていたが、昨年は2月下旬のオープン戦で負傷交代。右太腿裏の肉離れと左足首の捻挫で出遅れ、61試合出場で打率.234、2本塁打、6打点、5盗塁と悔しい結果に終わった。同じ遊撃で同期入団の長岡秀樹(ヤクルト)が、昨年139試合出場してゴールデングラブ賞を初受賞と大ブレーク。リーグ連覇に大きく貢献した。
京田の加入で、森の闘志に火がついているだろう。未完の大器は覚醒するか。(中町顕吾)