「B級グルメ」って最近あまり聞かなくなった気がする。そもそも「A級」ではない庶民的なご当地の食べ物を指す言葉だったが、ブランド化が進み過ぎて、A級に匹敵する価値を持つものが増えた気がする。
B級グルメはなくなってしまったのだろうか? いや、そんなことはない。まさしくB級と呼ぶにふさわしい料理はまだ存在している。たとえば福岡発祥の「ビーフパスタ」はどう考えてもB級だ。だって、ご飯の上にパスタのっけて食うっていうんだから、そんなのB級に決まってるだろ? な! な!
・福岡発祥のビーフパスタ
「ビーフパスタ」は2022年8月、東京・飯田橋にオープンしている。ビーフパスタの元になったと思われるものが、福岡の老舗洋食店「グルメ風月」のビーフバター焼きである。福岡では50年以上も親しまれている料理なのだとか。
おそらく都内でその味を楽しめるのは、このお店だけではないだろうか。パスタ屋はたくさんあるけど、ビーフパスタを看板にしている店はほかにないはずである。
メニューを見ると、看板商品は「ビーフパスタ」と「ビーフライス」の2つ。それぞれ普通盛りで税込990円。結構いいお値段がしますねえ。
あれ? ちょっと待ってくれ。下段の「選べるセット」がちょっと変じゃない? セットにライスが含まれている。つまりビーフパスタにもビーフライスにもライスが付けられる。ってことだよね? ライスにライス?
ここまででも十分混乱したんだが、お店がオススメする食べ方を見てさらに「え!?」ってなった。
「ライスの上に、ビーフパスタ + 漬けたまごのTKGで〆る!」
ライスにパスタ乗せるの!? 炭水化物 on 炭水化物! お好み焼きでご飯食う感じだよね? まさしくB!! B級だ! コレは間違いなくB級グルメである。よかった~、B級グルメは絶滅してなかった!
・ライスに乗せてからが本領
ってことで、ビーフパスタをライス・スープ・サラダのセット(+税込330円)で注文。ちなみにライスとスープはセルフサービスになっている。そして出てきたのがコレだ。
ソースは醤油ベースのジャポネソースと、香辛料のスパイスソースがある。私はジャポネをチョイスした。いざ、ソース投下!
ジューッ! という音と共に激しく湯気が立ち、醤油の香りがふわりと広がる。
これがビーフパスタだ。肉が乗っている以外に派手なところはなく、とても素朴に見える。はたして味はどうだ?
食べると、味は想像の範囲を超えないかなあ。ほのかにニンニクの風味が効いた牛焼肉に……。
緩めにゆで上がったパスタ。総菜弁当のスパゲティみたいな緩めの歯ざわりだ、決して嫌いではない。私(佐藤)はむしろ親しみさえ覚える。
食べていて、ふと「白飯食いてえなあ~……」って気持ちになっていた。
そう! これはビーフパスタで完結する料理ではなく、ご飯と一緒に食べてこそ、その本領を発揮する代物だった。だからセットにライスがついていたんだな!
ってことで、メニューに記載されたおすすめにしたがって、ライスにパスタをオン! さらに漬けたまご(ライス注文でサービス)をオン!
なるほど、ここからが本番って訳か。見せてもらおうか、ビーフパスタの本領とやらを!
先ほどまでのビーフパスタが第1形態だとしたら、ライスと組み合わさったところからは第2形態。飛躍的に戦闘力が上がっている。この味は想像を超えていた。ソースとたまごの美味さに誘われて、箸を持つ手が止まらない! ジャンクな感じもまさしくB級グルメ。これがお前の本当の姿だったのかーー!!
だが、正直戸惑いもある。ご飯の合間から伝わるパスタの食感に違和感は多少ある。きっと慣れていないからそう感じるだけだと思うけど……。
あまたのB級グルメのブランド価値が高まって、もはやB級でなくなりつつあるなかで、ビーフパスタのB級感は貴重だ。このままずっとBでいてくれ! “ビー” フパスタだけに。おあとがよろしいようで……。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ビーフパスタ
住所 東京都千代田区飯田橋1丁目9-6 朝日飯田橋マンション1F
時間 11:00~22:00
定休日 日曜日