パナソニック、CESで示した脱炭素への取り組み–未来のくらしを先取り

CNET Japan

 パナソニックグループは、米ラスベガスで開催されている「CES 2023」に出展。ラスベガスコンベンションセンターのセントラルホールに、約1500平方メートルの展示ブースを構えたほか、デジタルでの展示も行った。


パナソニックグループブース

 展示コンセプトは、「GREEN IMPACT CITY」。2022年1月に開催されたCES 2022で打ち出した長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」への取り組みをベースに、家、モビリティ、街をカバーする幅広い「削減貢献(Avoided Emissions)」の事例を紹介。パナソニックの取り組みを通じて、未来のくらしが変わっていく様子を示した。


「Panasonic GREEN IMPACT」の全体像を紹介

 展示会場は、Panasonic GREEN IMPACTの全体像を紹介する「Park」、水素を活用したCO2ゼロの街の実現への取り組みなどを展示した「Town」、電動モビリティ普及への貢献を示した「Mobility」、CO2削減貢献とくらしのウェルビーイングの両立を実現する「Home」の4つのエリアで構成。数多くの最新技術や新製品を展示してみせた。

最新技術と新製品がつまった4つの展示エリア

 4つの展示エリアをそれぞれ見てみよう。

 Parkは、パナソニックブースの入口部分にあるエリアで、パナソニックグループのカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを映像で紹介。初めて展示されるペロブスカイト太陽セルで構成された木が来場者を出迎え、再生可能エネルギーを生み出す様子を表現した。この木はモックではあるものの、1枚あたり約7Wできるような提案を行っている。ペロブスカイト太陽電池は3種類のモジュールも展示。30×30cmでは世界最高効率となる17.9%を実現したモジュールのほか、透過率の異なる製品やグラデーションを施した製品を初めて出展してみせた。また、Panasonic GREEN IMPACTの概要の説明のほか、水電解装置のスケルトンモデルや、アニオン交換膜(AEM)型水電解用膜電極接合体の展示をはじめとしたグリーン水素製造への取り組みなどについても紹介した。


982枚のペロブスカイト太陽セルで構成された木

1枚あたり約7Wの発電が可能になるモジュールを木の葉として利用

水電解装置のスケルトンモデルを展示

 Townでは、再エネ発電の不安定電力を、純水素燃料電池や蓄電池で補完し、安定的にクリーンな電力供給を行える世界を表現。その一例として、工場の再生可能エネルギー100%化に向けた世界初の実証成果と、CO2ゼロの街の実現への取り組みについて紹介した。具体的には、同エリアの入口において、純水素燃料電池を核としたRE100化ソリューションによって実現するCO2ゼロのくらしを映像で紹介。滋賀県草津市の製造拠点において、RE100の実証施設「H2 KIBOU FIELD」を稼働させ、ひとつの工場を動かすのに必要な電力を、純水素型燃料電池、太陽電池、蓄電池を組み合わせた自家発電によって100%賄うプロジェクトを推進していることをジオラマで示した。また、日本ですでに発売している5kWの発電出力を持つ純水素型燃料電池のモックも展示した。


Townエリアでは、水素を活用したCO2ゼロの街の実現への取り組みなどを展示

純水素燃料電池を核としたRE100化ソリューション

 Mobilityにおいては、パナソニックグループが電池で培った技術や知見を核に、モビリティの電化を推進するソリューションを紹介。EVや電動バイクなどに採用されている1865および2170リチウムイオン電池に加えて、次世代大容量規格として期待されている4680リチウムイオン電池を展示したほか、電動アシスト自転車の「XEALT M5」、車室内を清潔、快適にする「ナノイーX」、EV向けに音響性能とシステム性能を最適化した車載用サウンドシステムなどを展示した。EVオーディオは、ドアスピーカーを廃止しながらも、スピーカーの設置場所の最適化とサウンドチューニングなどにより、音響性能を向上。重量や出力、コスト面の改善が可能で、最大67%の省エネを実現するという。


電動モビリティ普及への貢献を示したMobilityエリア

1865および2170リチウムイオン電池

電動アシスト自転車の「XEALT M5」

 また、デジタル展示では、EVのIoTプラットフォームである「One Connect」、電気代の削減や効果的な配電など、EVの普及によって生まれる課題を解決するソリューションと位置づける「Fleet Electrification」、交通情報を活用して、安心安全に役立つサービスや交通の効率化によりCO2削減にも貢献する「Cirrus V2X」を紹介した。

 Homeのエリアでは、Wellbeingを生み出す家電、家のエネルギーを生み出すソリューション、家のエネルギーを有効に活用するソリューションの3つの技術を紹介。エリア内の大型ディスプレイでは、「HOLISTIC WELLBEING」をテーマにした映像を放映。ミニチュアハウスを使って、パナソニックの考える未来家の姿を表現したほか、調理家電やドライヤーなどの家電商品、「A2W(Air to Water=ヒートポンプ式温水給湯暖房機)」なども展示した。


CO2削減貢献とくらしのウェルビーイングの両立を実現するHomeエリア

ミニチュアハウスの様子

3年ぶりのリアル展示、環境に配慮し廃棄物を削減

 そのほか、新製品展示エリアでは、デジカメの「LUMIX S5 Mark II/Mark II X」、有機ELテレビの「MZ2000」シリーズ、モジュラー型の新たな理美容家電の「Multi Shape」も展示。BielGlassesと協業による弱視支援スマートグラスや、Shiftallが開発した超高解像度と超軽量を実現したVRヘッドセット「MeganeX」などを展示した。さらに、米国および日本でサービスを開始している「Yohanaメンバーシップサービス」も紹介していた。


「LUMIX S5 Mark II」を展示

モジュラー型の新たな理美容家電の「Multi Shape」

 パナソニックグループがCESでリアル展示を行ったのは、2020年以来、3年ぶり。2022年はブースを構えたが、開催直前に新型コロナウイルスの感染が広がったことから、急遽、展示を取りやめた経緯があった。

 なお、今回のパナソニックグループのブースは、環境にも配慮し、廃棄物を削減したり、使用する材料を削減するように設計。一般的に使用後は廃棄することになるカーペットも使用を見送ったという。

Source