遺体を発酵させて土にする、新埋葬方法。
海外の家庭ではよく行なわれているコンポスト。家庭から出た生ゴミや落ち葉、植物などをコンポストのボックスに入れて微生物の働きで発酵・分解して堆肥にすることです。そんなコンポスト、ニューヨークでは人間の遺体も堆肥にしてオッケー! ということが法令化されました。
遺体をコンポストするメリット
どうして遺体をコンポストするのがいいのか、という理由があるそうです。まず土葬では遺体が環境によくないということ。遺体が土壌や下水に影響を与えないためには遺体に対して11リットルもの薬剤が必要なんだそう。これを全部土葬される遺体に施していたらものすごい量の化学薬品が必要だというのは容易に考えられます。じゃあ火葬はどうでしょう。人間を焼くにはかなりの燃料が必要で火葬のために大量の二酸化炭素をアメリカは排出しているとのこと。
遺体をコンポストする「ナチュラル・オーガニック・リダクション」は、遺体を木のチップと一緒に数週間容器に入れて堆肥化するとのこと。この方法で一体あたりの二酸化炭素量は1トンも減らせるそうです。
アメリカのさまざまな州で合法化の流れ
人間を堆肥化なんて! と思う方もいるかもしれませんが、アメリカではそこそこ認知されてきている埋葬方法。2019年にワシントン州が全米で最初の遺体堆肥化を合法とし、2021年にはコロラド州、オレゴン州も続いて合法化。ニューヨークと共に、カリフォルニア州、バーモント州も2022年に合法化されています。デラウェア州、ハワイ州、メイン州も現在合法化に向けて動き出しているそうで、全米でここ3年で一気に広がり始めています。
シアトルの遺体堆肥化の会社のKatrina Spade社長は「火葬は石油を使いますし、土葬はたくさんの土地が必要です。でも堆肥葬であれば、土に還るだけ。庭の木や植物に生まれ変わることができますしね」と話しています。
反対派もいます
とは言え、もちろん反対する人も多くいます。ニューヨーク州カトリック会議は、この法案に対して「コンポストは家庭から出るゴミをオーガニックに減らすための方法であり、人間は家庭のゴミではありません」と反対する声明を出しています。ごもっともですが、ゴミって言っているわけじゃないんですけどね。