自転車のヘルメットに取り付けたGoProでドローンを飛ばせないエリアの3Dマップを作成する方法

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ドローンを使うと上空から建造物や街の様子を撮影し、ソフトウェアを利用して3Dマップを作成することができますが、場所によってはドローンを飛ばすことが禁じられている場合があります。そこで、自転車のヘルメットに取り付けられた360度カメラだけを使い、ドローンを使わないで3Dマップを作成する方法について、ソフトウェアエンジニアのJake Coppinger氏が解説しています。

Creating aerial imagery with a bike helmet camera (GoPro) and OpenDroneMap – Jake Coppinger
https://jakecoppinger.com/2022/12/creating-aerial-imagery-with-a-bike-helmet-camera-and-opendronemap/

ドローンは街路の調査やマッピングに最適であり、ドローンで撮影した画像を処理して3Dモデルを生成するオープンソースソフトウェアのOpenDroneMapを使えば、簡単に街や建物の3Dモデルを作成することができます。しかし、安全などの観点からドローンの飛行が禁止されている場所もあり、そういった場所では3Dモデルの生成に使用するドローン写真を撮影できません。

ところが、OpenDroneMapでは通常ジオタグ付きのドローン画像セットを用いますが、実はドローンで撮影した画像でなくても、ジオタグ付きであれば3Dモデルの生成が可能だとのこと。そこでCoppinger氏は、「自転車のヘルメットに装着した360度カメラでジオタグ付きの全天球画像を撮影し、その画像をOpenDroneMapで処理する」という方法で3Dモデルの生成に挑戦しました。

まず、Coppinger氏は400ドル(約5万3000円)で売っていた中古のGoPro Fusionを購入し、自転車のヘルメットに装着しました。車ではなく自転車を使用する理由について、Coppinger氏は「車だと屋根に視界が遮られてしまう」「平均移動速度が遅いため、1秒に2枚撮影するタイムラプスモードでたくさんの写真を撮影できる」「道路・歩道・自転車専用道路など、より多くの場所を走ることでたくさんの写真が得られる」「公共空間や都市開発に興味はある人は大抵自転車も好き」といったものを挙げています。


OpenDroneMapで処理するための画像を撮影する際、GoPro Fusionはタイムラプスモードで撮影間隔を「0.5秒」に設定し、GPSジオタグを有効にします。そしてカメラをヘルメットに取り付け、GPSアイコンが点灯したのを確認してから、3Dモデルを生成したい場所を走ります。

GoPro Fusionは1枚の360度画像を出力するのではなく、2枚の180度画像に分けて出力します。また、ジオタグが付与されているのは前方を撮影した画像のみであるため、撮影した画像をすべてコンピューターのフォルダに移したら、前面画像のexifデータを背面画像にもコピーする必要があります。Coppinger氏はこの作業のために、専用のターミナルコマンドを作成したとのこと。


画像の前処理が終わったらOpenDroneMapで3Dモデルを生成しますが、3Dモデルの生成にはかなりのコンピューティングリソースが必要です。自分のコンピューターで作業すると数時間~数日ほどかかるため、リソースが足りない場合は有料クラウドサービスのWebODM Lighteningを使用するといいそうです。

しかし、WebODM Lightening上に画像をアップロードして処理した場合、ブラウザで閲覧できるマップや3Dモデルビューアーなどの機能が利用できません。そのため、Coppinger氏はOpenDroneMapをローカルでセットアップし、WebODM Lighteningを処理ノードとして追加することを推奨しています。

実際にCoppinger氏がこの方法で作成した3Dモデルが以下。

3Dモデルには道路やその脇に立つ建物、車などが含まれています。


角度を変えるとこんな感じ。


車や自転車レーンを示すラインまで3Dモデルに落とし込まれています。


また、Coppinger氏はOpenDroneMapで生成した3Dモデルの測定精度と、現実の道路との誤差も測定しています。3Dモデル上での測定結果は、狭い自転車専用道路の幅が1.89m、広い自転車専用道路の幅が4.54mとなっています。


現実の狭い自転車専用道路の幅を測定してみると、なんと1.89mで3Dモデルとピッタリ同じでした。なお、3Dモデルの方にはゆがみがあるため、測定箇所によっては1.89mでない場所もあるとのことです。


また、現実の広い自転車専用道路は幅4.56mとなっており、3Dモデルの4.54mとほとんど変わらないという結果になりました。


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