筆者は元ダンサーで、グループで行うタイプのワークアウトが好きだ。同じ目標を持つ仲間に囲まれていると、それだけで元気が湧いてくる。インストラクターがいれば、難しい動きも励ましてくれるし、必要ならフォームも直してもらえる。運動の内容に変化をもたせると、効果はさらに高まる。例えば、ある日はHIIT(高強度インターバルトレーニング)、別の日はピラティス、その間にちょっとヨガ、といった具合に。
フィットネスミラーの「Fiture Mini」は、筆者がワークアウトに求めているものをほぼすべて備えたホームジム用デバイスだ。多彩なクラスをオンデマンドで利用できるほか、「Motion Engine」技術を使って即時にフィードバックを返してくれる。しかも、デザインがスタイリッシュなのでインテリアとしても悪くない。ミラーにはインストラクターが投影されるため、お手本と自分の姿の両方を見ながら運動できる。
「フィットネスミラーは他にもあるし、目新しくはない」と思うかもしれない。確かに、フィットネスミラーはすでに存在する。一番人気はなんと言ってもLululemonの「Mirror」だ。Fiture Miniの特徴は、レップ数(特定の動作の反復回数)を数えながら、フォームに対するフィードバックを即時に得られるところだ。では、フィットネスミラーはスタジオで対面で行われるクラスの代わりになるだろうか。この1カ月間、Fiture Miniだけを使ってワークアウトを続けた結果をレポートする。
仕様
スタイリッシュなデザイン
ルームメイトに、レビュー用のワークアウトミラーが届くと伝えたとき、2人がおののいているのが分かった。「私たちがシェアしているこのニューヨークの質素なアパートが、これ以上狭くなるのか」という恐怖だ。しかし、コンパクトな箱に入って届いたミラーがソファの向かい側の壁にぴったり収まり、思いがけず素敵なインテリアとなったのを見て、2人の表情は180度変わった。高さ約160cmのミラーは、光沢のある今風の仕上げで、笑いのネタになるどころか、リビングルームにひとさじのエレガンスを加えてくれた。
Fiture Miniには、シルバー仕上げの2本の脚が付いており、安定感と同時に高級感のある見た目を実現している。
近くで飛び跳ねてもFiture Miniは安定していて、運動の邪魔になることもなかった
提供:Christina Darby/ZDNET
当然だが、ミラーの電源を切れば普通の鏡として使えるほか、セルフィーも撮影できる。電源を入れると、インストラクターがスクリーンの中央に映し出され、内蔵スピーカーから流行りのワークアウト用音楽(通常はポップス)が流れ出す。ミラーに映し出される映像は完全な半透明ではないため、部分的に自分の姿が隠れてしまうが、インストラクターの映像はミラーの中央にしか表示されないので、全身の動きははっきりと確認できる。レップ数を数えるタイプのワークアウトでは、インストラクターの上部にレップ数が表示される。
長さ約60センチのコードを近くのコンセントに差し込み、ミラーの右側にある丸い銀色のボタンを押すと電源が入る。あるいはスマートフォンのアプリからクラスを開いて、システムを起動することも可能だ。
Motion Engineが秀逸
他のホームジム機器との大きな違いはモーションセンサー技術にある。Fiture Miniは、画面の中央にある小さなカメラを使ってユーザーとの距離を感知し、レップ数を数え、フォームをチェックする。心拍数を計測できるデバイス(筆者の場合はApple Watch)を持っている場合は、画面右上にリアルタイムの心拍数が表示される。これはうれしい連携機能だ。
Apple WatchなどをBluetoothでペアリングすると、心拍数や推定消費カロリーがミラーに表示される
提供:Christina Darby/ZDNET
実を言うと、最初は「Motion Engine」技術に不安を感じていた。しかし実際にワークアウトをしてみると、疑う気持ちは消え去った。初めてのHIITエクササイズから床で行うピラティスまで、Fitureはバーピーや腹筋の回数を正確に数え、正しくカウントできない場合は体勢を変えるよう教えてくれた。苦手なスクワットでは、フォームの悪さをずばずばと指摘してくれた。
Motion Engine技術がレップ数をカウントし、ためらうことなくフォームを修正してくれた
提供:Christina Darby/ZDNET
良い点は、腕立て伏せやスクワットがうまくできていない場合、ワークアウトを中断するのではなく、カウントしない点だ。筆者の場合、きつい動きは早く終わらせようと適当に流しがちなので、悪いフォームがカウントされない仕様は、ポーズを修正するモチベーションになり、結果的に身体を痛めるリスクも下がることが分かった。
また、レップ数が増えるたびに音が鳴ることも、脳内にセロトニンが分泌される効果があった。ワークアウトの最後にはインストラクターがハイタッチ(のポーズ)をしてくれる。それに応えて手を振ると、その動きをミラーが検知してくれる。これもモチベーションの向上につながった。
Motion Engineはレップ数を見逃すことはなかったが、プランクローテーションのような複雑な動きでは、実際より多くカウントすることがあった。しかし、それを差し引いても満足できるワークアウトができたと思う。
内蔵カメラに抵抗がある場合は、付属のマグネット式カバーをミラーのカメラ部分に貼り付け、隠すことも可能だ。カバーは小さいので、インストラクターの姿が見えにくくなる心配はない。ただし当然ながら、プライバシー面の安心と引き換えにモーションセンサー機能は利用できなくなる。
Fitureにはマグネット式のカメラカバーが同梱されている
提供:Christina Darby/ZDNET