AIによる画像生成システム、あのイラストレーターのテイストで ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2022/12/15~12/22】

INTERNET Watch

1. 顔認証による改札機の実証実験開始

 駅の交通系支払いシステムはさらに進化をしそうだ。JR西日本は2023年3月18日開業予定の大阪駅うめきた地下口と新大阪駅に顔認証改札機を設置して実証実験を行うと発表した(Impress Watch)。実証実験の対象となる利用者は「大阪駅~新大阪駅間を含むICOCA定期券を所有しているモニター参加者」となっている。記事によれば「事前に顔画像とICOCA定期券情報を登録」しておく。利用者が改札を通過するときに「顔画像から特徴点データを抽出し、特徴点データを顔認証用サーバへ送信。事前登録した特徴点データと照合、照合結果を改札機に送信し、結果が合致していれば通過可能」というフローで決済される。荷物を両手に持っているときにカードを取り出すことは手間取ることを考えると非常に利便性はありそうだ。

 実験の目的は記事からは不明だが、一般的に考えると、カードと同じような速度で通過できるのかどうかというのは性能としては重要だろう。混雑時でも人流が滞らないシステムであってほしい。また、顔認証には抵抗がある人もいるだろう。生態情報がどのように管理され、万が一にも流出するようなことはないのかということだ。

ニュースソース

  • JR大阪駅(うめきた)に顔認証改札機[Impress Watch

2. AIによる画像生成システム、あのイラストレーターのテイストで

 今年、テキストから画像を生成するシステムが大きな話題となった。また、テキストによる質問から回答を生成するシステムも続いている。そのようななか、日本でもよく知られるイラストレーターのテイストの作品が自動生成されるサービスが始まった(INTERNET Watch)。プレゼン資料などでフリーに使える画像「いらすとや」の作家であるみふねたかし氏の作品だ。テキストから画像を生成できるAIお絵描きアプリ「AIピカソ」が、いらすとやと提携して提供する。

 いらすとやは、2021年1月31日にウェブサイトの毎日の定期更新を停止していた。その後は不定期に更新してきたが、多くの日本人が目にしたことのあるテイストの作品で、これからさらに人気が出そう。

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  • いらすとや風のイラストを生成するAIモデル「AIいらすとや」登場。早くも人気爆発[INTERNET Watch

3.「Twitter上での他SNSの無償宣伝」が禁止に? 一方でマストドンが復権

 イーロン・マスク氏がオーナーとなり、CEOとなったツイッター社は混乱が続いている。

 今週の主な話題はイーロン・マスク氏がCEOを退任すべきかどうかというアンケートの実施そして結果発表と、もう1つは「Twitter上においてほかのSNSの宣伝を禁止する」とした同社のツイートだ(一連のツイートはすでに削除)(ケータイWatch)。こうしたことを受けて、分散SNSで知られるマストドンの開発チームが「Twitterが不公平な制限を課せることがはっきりした」とする声明文を出した。さらに、マストドンの月間ユーザー数が「10月が約30万人だったのに対し、11月には250万人に急増している」とも発表している(ITmedia)。

 また、ウェブブラウザーFirefoxを開発するMozillaも「マストドンサーバを2023年前半に立ち上げる」と宣言した(TECHNO EDGE)。記事によれば「小規模なソーシャルメディアの連合によるパブリックなソーシャルメディア空間の実現」を意図しているという。

 一連の動きから、SNSはツイッターの代替となるサービスとともに分化していく様相を見せている。イーロン・マスク氏の退任が現実となり、次の経営者の手腕によってはそれも収束の方向に向かうのか。「分散」というキーワードはアプリケーションの分野にも影響を与えている。

ニュースソース

  • Mastodon陣営がTwitterを批判 「不公平な制限を課せることがはっきりした」 ユーザー数は83倍に爆増[ITmedia
  • ツイッター、「Twitter上での他SNSの無償宣伝」の禁止を検討か[ケータイWatch
  • Mozilla、マストドンサーバを2023年前半に立ち上げると宣言。分散型SNSに注力か[TECHNO EDGE

4. 年末年始のセキュリティに関する注意喚起

 まもなく2022年も暮れるが、経済産業省、総務省、警察庁、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、年末年始の長期休暇のサイバーセキュリティ対策に関する注意喚起を実施している。また、情報処理推進機構(IPA)も「年末年始における情報セキュリティに関する注意喚起」を発表している(INTERNET Watch)。

 昨今の社会情勢も踏まえ、マルウェア「Emotet」の活動再開と新たな手口、政府機関や企業のウェブサイトなどを標的としたDDoS、国家等が背景にあると考えられる攻撃者による暗号資産取引事業者等を狙ったサイバー攻撃、一定の集団によるものとみられる学術関係者等を標的としたサイバー攻撃などが明らかとなっていて、誰しもが危険にさらされている状態にあると認識すべきとしている。

 加えてIPAでは、長期休暇に入る前に管理者がすべきこととして「連絡体制・連絡先の確認」「社内ネットワークへの接続ルールの確認」「機器持ち出しルールの確認」「使わない機器の電源OFF」などを挙げ、注意喚起をしている。また、全従業員に対しては「SNS投稿」「偽セキュリティ広告」「フィッシング」などへの注意喚起をしている(ITmedia)。

 改めて、こうした具体的な要素に対して危機意識を高めておく必要がある。

ニュースソース

  • 政府機関と警察庁が年末年始のセキュリティに関する注意喚起、要点をポスター化[INTERNET Watch
  • 年末年始はいつも以上にご用心! IPAの「情報セキュリティ注意喚起」で万全な仕事納めを[ITmedia

5. 2023年「Web3.0/ブロックチェーン」の世界需要額は1136億ドル、JEITA予測

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の時田隆仁会長(富士通社長)は2023年の事業方針とともに、デジタルイノベーション市場の動向や、電子情報産業の今後の見通しなどについて述べた(INTERNET Watch)。そのなかで「先行きが見通しづらい情勢が続いているが、より強靭で、柔軟な社会の構築、世界に先駆けたSociety 5.0の実現を目指し、日本の社会経済、そして地球の未来のために、JEITAとして与えられた使命を果たす。政府をはじめ関係各所と密に連携しながら、2023年も積極的に事業を推進する」との抱負を表明したことが伝えられている。

 また、影響が大きい7つのテクノロジー要素としては「Web3.0/ブロックチェーン」「量子コンピューティング」「メタバース」「クラウド/エッジコンピューティング」「5G/Beyond5G(6G)」「AI・データ解析」「サイバーセキュリティ」を挙げている。とりわけ「Web3.0/ブロックチェーン」の2023年の世界需要額は1136億ドル、「量子コンピューティング」が607億ドル、「メタバース」が1866億ドルに達するとする予測も発表した。

 2023年にはこうした技術が概念や実証実験から社会実装され、実用に供される時代になるのだろうか。今後もこうしたテーマを中心に市場動向に注目していきたい。

ニュースソース

  • 2023年の電子情報産業は「過去最高の世界生産額を更新する見通し」、JEITA時田会長が事業方針示す Web3.0、ブロックチェーン、環境配慮型技術などで日本が大きな役割[INTERNET Watch

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