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後払い(BNPL)サービスが消費者の支出のより大きな部分に浸透しつつある今、旅行者はBNPLサービスのアフターペイ(Afterpay)を利用してエクスペディア(Expedia)で最大2000ドル(約27万8000円)分の航空券やホテルを予約できるようになった。
アフターペイは今年前半にブロック・インコーポレーテッド(Block Inc.)に買収されたが、旅行予約サービスのエクスペディアグループ(Expedia Group)との新しいパートナーシップを11月21日に発表した。旅行者は6週間にわたる4回の無利息の支払いによって、購入資金を調達することができる。購入したサービスへの支払いを行える。
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今回の提携には、ほかのサービス業者で、旅行の購入に対するBNPLへの需要が記録的に高まっており、旅行者たちがますます予算を気にするようになってきたという背景がある。
予算に敏感な消費者
アフターペイの北米における収益責任者を務めるアレックス・フィッシャー氏は、エクスペディアはアフターペイがこれまでに提携してきたなかで最大の旅行会社だと語る。同社はこれまで、オーストラリアにおけるフライト、ホテル、および観光スポットに加え、米国におけるいくつかのホテルや旅行オプションに利用されてきた。今年の前半に行われた企業調査では、買い物客が支出を増やすことを計画しているカテゴリーは旅行と体験の2つであることが判明しており、フィッシャー氏とパートナーシップチームはプロバイダーを探していた。
同氏は、「我々は、消費者がどのような場所を望んでいるか、より柔軟なオプションを望んでいるかを調べ、それを実現するために、その分野における最良のパートナーを探している」と述べている。「後払いが市場に定着してきたコトで、米国において旅行代理店への需要が劇的に高まっている」。
モトリーフール(Motley Fool)の2022年7月の調査結果によれば、現在のところBNPLの支出がもっとも大きい分野はエレクトロニクス、アパレル、家具だ。しかし、旅行部門を成長分野として目をつけているBNPLサービスはアフターペイだけではない。アファーム(Affirm)はバーボ(Vrbo)、オービッツ(Orbitz)、プライスライン(Priceline)、アメリカン航空(American Airlines)などのブランドでの予約に利用できる。アップリフト(Uplift)は旅行サービスに特化したBNPLで、サウスウエスト航空(Southwest Airlines)やアラスカ航空(Alaska Airlines)を含む300以上のパートナーが存在する。
このタイミングでの立ち上げは、予算に敏感な消費者が新しい融資のオプションを探している時期と一致している。旅行市場調査企業のデスティネーション・アナリシス(Destination Analysts)は、予算の優先度が高い分野として旅行を挙げたアメリカ人はわずか54%で、10カ月ぶりの低さであることを、11月に明らかにした。一方で、フィッシャー氏やほかのBNPL専門家は、旅行におけるBNPLの利用が増加する可能性があると述べている。
フィッシャー氏は次のように述べている。「マクロ環境と、それが消費者やその予算に及ぼす影響については広く理解されていると思う。アフターペイは加盟店だけでなく、消費者にとっても、重要な付加価値を提供できる独自の位置にある」。
旅行の予算の引き締め
マーケティング会社のベリキャスト(Vericast)でカテゴリー戦略ディレクターを務めるチップ・ウエスト氏は、BNPLが定着しつつある理由のひとつとして、エネルギー、住宅、食料品のコストが高騰しており、予算が厳しくなっているこの時期に、大きな買い物の資金調達方法を消費者が求めているためだと語る。
また、特定の層に対する訴求力もあると同氏は語る。ミレニアル世代とZ世代はBNPLユーザーの大部分を占めており、これらの層は旅行の購入に使えるクレジットを得ることができていない可能性もある。
「BNPLサービスによって、これらのユーザーは大きな負担なしに旅行を買い求めることができ、クレジットの制限を受けることもなくなる」と、同氏は語る。
加盟店の観点からは、BNPLによって消費者が支払ってもよいと考える金額を引き上げることができると、同氏は述べる。
「消費者は、すべての支出を一度に支払うわけではないため、『もっと使ってもいいだろう』と考えて支出する。これによって支出額が増加する」。と同氏は述べている。
エクスペディアの側から見ると、アフターペイの立ち上げは旅行の需要が強い時期に起きたものだ。同社自身の調査から、11月と12月における旅行の検索は、前年比で60%以上も増加したことが示されている。来年の旅行についての検索は、前年比で65%も増加している。
エクスペディアのメディアおよびブランドパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントを務めるクリスチャン・ゲロン氏は、アフターペイが「各人の予算内で柔軟に旅行の費用を支払える方法」を提供していると、米モダンリテールへのメールで語った。
成長中の部門
アップリフトの最高通商責任者を務めるトム・ボッツ氏は、今年のホリデーの旅行シーズンにおける需要は前年比で5倍も高く、アクティブユーザー数も前年比で311%増加すると語る。同サービスは今年の流通取引総額が、2021年の6億5000万ドル(約904億円)から、20億ドル(約2780億円)に増加することを予想している。
しかし、同社のモデルは、アフターペイの無利子で6週間の支払計画とは大きく異なったものだ。アップリフトは購入時の固定金融費用は固定だが、顧客のためにいくつかの支払期間を用意しており、顧客は予約時に、たとえば6カ月や18カ月の期間での支払いを選択できる。これによって顧客はより柔軟に支払いを行えると、ボッツ氏は語る。
「このサービスは無理なく使えるもので、顧客は旅行の支払いを一定期間に分散できる」と、同氏はメールで述べている。
旅行資金への需要が高まっているため、今後、さらに多くの旅行オプションがアフターペイに追加される可能性が高い。同社のフィッシャー氏は、エクスペディアは同社サービスにとってこれまでで最大の旅行パートナーだが、将来的にはさらに多くのパートナーを加えたいと語る。
同氏は次のように述べている。「それは、この分野は我々の投資対象だからだ。そして、人々が全般的に後払いサービスを使い慣れるにつれて、この分野への需要も高まり、体験への需要も増えていくだろう」。
[原文:Afterpay partners with Expedia for BNPL on flights, hotels]
MELISSA DANIELS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Afterpay