人はなぜ陰毛なんてものが生えるのか?

GIZMODO

2014年7月12日の記事を編集して再掲載しています

ムダ毛処理する人も多い今日び、なぜに陰毛・わき毛は生えるのか? これは人類を長年悩ませ続けてきた生物学的ミステリーです。

創造主のジョーク? 創造主はジレット株主なの? ―これという解もないまま、いろんな説が出回ってます。一番納得いくのは、最後の説かな?

摩擦軽減説

ロジカルとは言えないながらも、可能性がないとも言い切れないのが、ムダ毛は「摩擦を減らすために生える」という説です。ずっと肌がこすれ合ってると、敏感な部分は不快に感じます。ワキ毛は発疹や不快感を抑えるバリアであり、ひいてはSTD(性感染症)がうつされる確率を減らすバッファーでもある、というんですね。

一瞬「へ~」と思っちゃいましたけど、脇ってそんなに擦れて赤くなるんだっけ? 「ワキ毛剃って赤くなった」って言ってる人は結構いるけれど。性病は脇とあんまり関係ないような。あ、いや、関係ある人がいても構わないんですが、大体の人は…ね。

陰毛は性交中の摩擦を減らし局部を保護するためにある」という説もありますが、そんなバッファーが必要なぐらいアクティヴな人もそうそういませんよね。「いや、必要だ」と言う人には編集部一同、敬礼を。

毛布説

恥毛の役目は恥部を隠す毛布の役目」という説もあります。でもよく考えてみたら男性は必ずしも局部を隠して快適に保つ位置に毛が生えるわけではありません。

女性なら胴体の下の方に生えてるので、体内の生殖器を快適に保つ位置と言えます。外の埃をヴァジャイナ(英語読み。ロボ検閲対策)から締め出す完璧な位置に陰毛は生えてる。

しかし男性は尿道周りはまったくもって無防備です。まるで創造主が女体こしらえるので集中力使い果たしてしまったかのよう。まあ、女性に関しては、鼻の鼻毛、目のまつ毛・眉毛と同じ役割りを果たしてると言えますけどね。

モテる説

陰毛・ワキ毛の存在理由をめぐる説で最も有力なのがこれ。「異性にモテるため」という説です。

頭髪と違い、ワキ毛と陰毛は第二次性徴期に急に生え出します。アポクリン汗腺が活発になり、タンパク質と諸々の油っぽい物質が混じって分泌され始めるのもこの時期です。同じ汗腺でも、身体全体に分布しているメジャーなエクリン汗腺と違い、このアポクリン腺の集中ゾーンは限られているのですが、その限られた中に脇の下と性器も含まれてます。

しかもワキ毛と陰毛は50の坂を越えると急に、ハゲ出します。こうして考えてくると、やっぱり交配相手を探す任務と関わりがありそうですよね。もちろんこれはざっくりした話であって性交に年齢制限などないとも言えるのですが…。

要するに「異性を引き寄せるフェロモンを染みこませるのが毛の存在理由だ」というのがこの説。先述の分泌物は最初は無臭ですが、しばらく経つと微生物の働きでジャコウの香りに変わります。こうして生殖能力があるというサインを異性に送ってるのです。

意識的に嗅ぎ分けられるレヴェルかどうかはわかりませんが、人はひとりひとり、発散する香りが違います。これは「主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex=MHC)」というものの働きによります。

ある実験では、男性陣にデオドラントとか一切つけずに着てもらったTシャツを、女性陣に嗅がせてみました。すると、MHCが似てない男女の方が強く惹かれ合うことがわかったのです(そういうMHCの持ち主の香りはちょっと嗅ぐだけで発情することが多い)。また、MHCの異なる者同士の子どもは流産の確率も平均以下です。さらに遺伝子がかけ離れた者同士の子どもは病気にかかりにくいとも言われます。それやこれやで、進化で少しでも有利な相手をアポクリン腺の分泌物で嗅ぎ分けて脳に命令を飛ばしてたんですね。

この香りを肌から離して、風を入れ、より強い香りにするのが、陰毛に課せられた重要任務というわけです。

[おまけ]

・陰毛を剃る行為は今に始まったことではありません。古代エジプト時代から現代に至るまで、流行っては廃れ、また流行り…を繰り返してきました。例えば15世紀には特に女性の間で一般的に行われていました。シラミ駆除などの衛生的な理由からです。昔は刃物も今のようには発達してないし…想像するだけでもゾッとしますね。

・陰毛を剃る行為はずっとありますが、それを新たなバーに押し上げたのが19世紀イギリスです。剃った陰毛を愛する人にプレゼントするのが大流行し、もらうと男性はその陰毛を帽子に飾って自慢しました。飾らないにしても、いろんな恋人からもらった陰毛をコレクションするのが密かな楽しみだったのです。例えば英王ジョージ4世は、さまざまな愛人から集めた陰毛を嗅ぎたばこ入れにしまっていました。この「陰毛の嗅ぎたばこ入れ」は現在スコットラインドのセント・アンドリューズ大学が所蔵しています。

・人体の表面・内部にある微生物細胞は、人体そのものの細胞よりずっと多いんですよ。内臓だけでも微生物細胞は全人体のヒト細胞の10倍もあります。想像してみると、すごい。

*本稿はToday What I Foundメルマガ購読Facebook)にKathy Paddenさんが書いた原稿を許可を得て再掲しました。

Image by Vladimir Gjorgiev/ Shutterstock

Kathy Padden – TodayIFoundOut.com原文

(satomi)

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