パナソニック エレクトリックワークス社は、電気自動車のバッテリーに蓄えた電力を家庭へ供給するV2H(Vehicle to Home)と蓄電池を連携した、住宅用V2H蓄電システム「eneplat(エネプラット)」を発表した。業界初となる電気自動車と蓄電池の同時充放電機能を備える。2023年2月に受注を開始し、パナソニックが持つ、電材、ハウジングルートなどを中心に展開していく。
V2H蓄電システム「eneplat(エネプラット)」
eneplatは、6.0kWhパワーステーションを中心に、蓄電池用コンバーター、V2Hスタンド、蓄電池ユニットなどを組み合わせる、住宅用のV2H蓄電システム。V2Hと蓄電池を連携していることが特徴で、太陽光発電における電気を自宅内で最大限に活用できる環境を整える。
電気自動車と蓄電池の同時充放電により、太陽光発電を有効活用
2023年夏には、家庭内の家電や住宅設備機器を連携させるエネルギーソリューションの中核機器「AiSEG2(アイセグ2)」をバージョンアップし、eneplatと連携。これにより、AiSEG2が日々の電力使用量と翌日の日射量予報を元に余剰電力量を予測し、蓄電池の充放電を自動で制御。AiSEG2とV2H(電気自動車)を導入すれば、自家消費量を大きく向上するほか、CO2排出量も減らせる。
自家消費向上による効果のシミュレーション
パナソニック エレクトリックワークス社 エナジーシステム事業部システム機器BU エネルギーシステムSBU SBU長の中嶋慎一郎氏は「今まで電気の流れは一方向だけだったが、eneplatは双方向に流せることが特徴。これにより、平常時も停電時もEVを大容量蓄電池として最適活用できる。加えてAiSEG2と組み合わせられることも大きい」とeneplatについて説明する。
パナソニック エレクトリックワークス社 エナジーシステム事業部システム機器BU エネルギーシステムSBU SBU長の中嶋慎一郎氏
AiSEG2は気象警報と連動し、電気自動車と蓄電池へ自動で充電するため、停電に備えて蓄電残量も確保。停電が発生した場合でも、自立出力により、IHクッキングヒーターやエアコンなどの200 V機器も利用できるとしている。「今までも発電予報は採用していたが、晴れや雨などざっくりとしていた。新機能では日照量から発電量を予測し、自家消費率を上げられる。外出中でも自動で満充電の指示ができ、いつ停電が起きても電力が確保できる。停電発生時はエコキュートなどの自動沸き上げを停止し、電気の無駄遣いを防止する」(中嶋氏)と、レジリエンス機能を強化する。
パナソニック エレクトリックワークス社 マーケティングセンター 商品営業企画部部長の川村柳大郎氏は「脱炭素に向けたくらしの変化により、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化が進み、HEMS導入より、自宅内でのエネルギー循環が進むだろうと思われる。一方、自動車市場においても、従来はガソリンスタンドでの給油スタイルが一般的だったが、太陽光で発電したエネルギーをつかって自宅で充電できる設備が望まれている。太陽光発電で作ったエネルギーを蓄電システムやEVに貯め、しっかりと自宅内で消費することが望まれている」とエネルギーの自給自足を促進する考えだ。
パナソニック エレクトリックワークス社 マーケティングセンター 商品営業企画部部長の川村柳大郎氏
パナソニックでは、今回発表した新製品を2023年度にFujisawaサスティナブル・スマートタウンに導入する予定。V2H蓄電システムを2025年に5万システム販売することを目指す。