小さな頃は早寝早起きをしていても、10代になってから次第に夜更かしをするくせがついてしまい、いつしか夜型になってしまったという人は多いはず。メルボルン大学の研究チームは200人以上の若者を7年にわたり追跡した研究で、夜更かしするようになった若者では行動や脳の発達に変化が現れることを示しました。
Development of morning–eveningness in adolescence: implications for brain development and psychopathology – Cooper – Journal of Child Psychology and Psychiatry – Wiley Online Library
https://doi.org/10.1111/jcpp.13718
Is your teen a night owl? Their sleep pattern could shape their brain and behaviour years later
https://theconversation.com/is-your-teen-a-night-owl-their-sleep-pattern-could-shape-their-brain-and-behaviour-years-later-193453
人間の睡眠パターンは10代の頃に変化し、これまでより長く起きて夜更かしするようになるとのこと。夕方から生産性や集中力が高まる夜型の人は、朝型の人と比べてうつ病や統合失調症などの精神疾患を発症するリスクが高く、幸福度も低いことがわかっています。この理由については、遺伝子の違いや朝に浴びる太陽光の量、一般社会が9時~17時の朝型に有利な形態であることなど、いくつかの仮説が挙げられています。また、朝型の人と夜型の人では脳の構造に違いが出るという研究結果も報告されています。
夜更かししがちな夜型人間はより不幸でメンタルヘルスも不調になることが明らかに – GIGAZINE
そこでメルボルン大学の研究チームは、200人以上の若者および両親を対象に、若者の睡眠パターンや感情・幸福に関する一連のアンケートを実施しました。被験者は7年間にわたり数回アンケートに回答したほか、若者は脳の発達を調べるため数年おきに合計2回の脳スキャンを受けたとのこと。
研究チームが脳のスキャンで焦点を当てたのは、情報処理や効果的な機能に関連する白質です。過去の研究でも朝型の人と夜型の人では白質の構造が違うことが示されていますが、今回の研究は睡眠パターンの変化が時間に伴う白質の成長にどう影響するのかを調べた最初の研究だそうです。
実験の結果、12~13歳頃に夜更かしするようになった10代の若者は、数年後に攻撃性や規則違反、反社会的行動の増加といった行動上の問題を抱える可能性が高いことが判明しました。その一方で、12~13歳頃に行動的な問題を抱えていたかどうかは、後年に夜型になるかどうかを左右しませんでした。
また、夜型にシフトした若者の脳は朝型の若者と比べて、白質の増加量が少ないこともわかりました。白質の成長は認知・感情・行動の発達をサポートするために重要という研究結果もあることから、これが後年に発生する行動上の問題と関連している可能性があります。
研究チームは、「これらの調査結果は、青年期の早い段階で若者の睡眠習慣に焦点を当て、後年の感情的・行動的健康をサポートすることの重要性を強調しています。十分な睡眠をとることは、精神の健康と脳の健康の両方にとって、非常に重要であることを私たちは知っています」と述べています。
また、必ずしも朝型と夜型は固定されたものではなく、朝や昼に日光を浴びたり夜はあまり明るい画面を見ないようにしたりすることで、睡眠パターンを朝型に変えられることもわかっています。研究チームは、「朝一番に光を浴びることは、私たちの体内時計をより朝型のリズムにシフトするのにも役立ちます」と述べ、若者に対して朝から日の光を浴びるように勧めることで、睡眠パターンを改善できるとアドバイスしました。
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