働き方の柔軟性を認めないと、人材流出の可能性が高くなる――Slackなどのコンソーシアムによるレポート【週刊Slack情報局】

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 Slackなどが参加しているコンソーシアム「Future Forum」は、働き方に関する調査「Future Forum Pulse」の最新レポートを発表した。世界のナレッジワーカーの34%が完全なオフィス勤務に戻っているが、仕事に対するストレスは2020年の調査開始以来、最悪なレベルになっているとしている。その結果、柔軟な働き方を認めていない企業の従業員は、転職する意向が高くなっているという。

オフィス勤務に戻るにつれて、従業員体験スコアは低下。前四半期の調査と比較して、「生産性」は1.3ポイント減の31.9%、「集中する能力」は2.1ポイント減の29.1%、「リソースへのアクセス」は2.0ポイント減の29.1%などとなっている

 今回の調査は、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国の合計1万818人のナレッジワーカーを対象として1月27日~2月21日に実施された。

 Future Forum Pulseの調査は2020年から四半期ごとに実施されており、今回は世界的にテレワークからオフィスワークへの回帰が進んだ時期だ。そのため、テレワークからオフィス勤務に戻ったナレッジワーカーの意向が読み取れる内容となっている。

オフィス勤務に戻された従業員の55%が、一部でも勤務時間の柔軟性を希望

 調査の対象となった今四半期は、新型コロナウイルスのオミクロン株の蔓延などが原因で、ナレッジワーカーの従業員体験スコアが低下している。中でも大きく低下したのは完全なオフィス勤務者だとしている。

 具体的には「ワークライフバランスのスコアの下げ幅が、柔軟に働く従業員の2倍」「職場環境に対する全体的な満足度の下げ幅が、柔軟に働く従業員の1.6倍」「仕事に対するストレスや不安が、リモート勤務者の1.5倍悪化」という数字を挙げている。

幸福度のスコアは、全ての項目で、「完全なリモートワーク」「ハイブリッド」「完全なオフィス勤務」の順になっている

 また、週5日のオフィス勤務に戻された従業員のうち55%は、一部であっても勤務時間の柔軟性を望んでいるとしている。その結果、柔軟な働き方を認めていない企業の従業員は、完全オフィス勤務以外の選択がある従業員と比べて、翌年に転職を考える可能性が20%高いという。

 この働き方の柔軟性を求めているのは、男性よりも女性の方が多い。柔軟な働き方を週3日以上希望する女性は58%で、男性は48%だった。

経営層が発する「今後の働き方の指針」が不透明だと、離職につながる

 経営層は引き続き柔軟な働き方を続ける一方で、従業員が毎日オフィスに通勤する可能性は2倍近くに達している。

 また、今後の働き方について経営層からの指針があいまいだったり遅れていたりするため、従業員が疲弊しているという。このような「今後の働き方のプランの透明性」が欠けていると感じる従業員は、「今後1年間に『必ず』転職すると答える傾向が4倍高い」としている。回答には「必ず」という言葉が含まれているため、転職する意思は非常に強いと考えられる。

柔軟な働き方は「場所」の議論から「時間」の議論へ

 これまで挙げていた働き方の柔軟性だが、多くの企業では「時間」よりも「場所」に議論が集中している。しかし、働く場所の柔軟性を求める従業員は79%に対して、働く時間の柔軟性を求めているのは94%だ。

 働く時間を柔軟に対応できないと答えたナレッジワーカーは、柔軟に対応できる従業員と比べて「仕事に対するストレスや不安を感じる割合が2.2倍」「ワークライフバランスへの不満を持つ割合が1.7倍」「燃え尽きを感じる割合が1.4倍」に上るとしている。

 「経営層がこの大転職時代に人材の流出を心配しているのであれば、今後の働き方プランに働く時間の柔軟性を組み込む必要がある。」

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