刑務所の独房で正気を保つための10の方法

GIGAZINE
2022年11月27日 15時00分
メモ



アメリカの刑務所には、1日のうち23時間をベッドとトイレしかない部屋で過ごさなければならない独房があります。19歳で殺人による仮釈放なしの終身刑を言い渡された獄中作家であるマイケル・J・ニコルズ受刑者が、囚人の間で「the Hole(穴)」と呼ばれて恐れられている独房で1年間過ごした経験を語りました。

My Top 10 Tips for Doing Time In ‘the Hole’ | The Marshall Project
https://www.themarshallproject.org/2022/09/30/how-i-survived-a-year-in-the-hole-without-losing-my-mind

2022年初頭に50歳になったニコルズ受刑者が服役している、ミズーリ州の最高警備レベル刑務所のポトシ矯正センターには、セメントでできた広さ7×9フィート(約2.1×2.7メートル)の独房があります。部屋の中にあるのは簡易ベッドと洗面台、そしてトイレだけで、外に通じているのは配膳のための溝と小さな窓がついた鉄製のドアだけ。シャワーが浴びられるのは週に1度で、独房の外で過ごすのが許される時間は1日のうち1時間しかありません。

長年懇意にしている牧師から、他の囚人への助言のために独房で平常心を保つ方法を尋ねられたニコルズ受刑者は、ポトシ矯正センターに来る前に収監されていたサウスイースト矯正センターの独房で1年過ごしている間に実践した習慣を、次の10点にまとめました。

1.規則正しく過ごし、時間を無駄にしない
ニコルズ受刑者は、毎朝の朝食の後は寝直したりせず、日中は起きて過ごしました。


2.運動
運動は独房の中でできる最も生産的な活動の1つとのこと。そこでニコルズ受刑者は、自分の目で実感できる目標を立てて運動することを推奨しました。例えば、ニコルズ受刑者の場合は6つに割れた腹筋を手に入れることを目標に、上体起こしとレッグ・レイズを最初は1日500回、最終的には3000回行うようにしました。その結果、ニコルズ受刑者はスパルタ戦士のような腹筋を手に入れたそうです。

3.読める物は何でも読む
ニコルズ受刑者は聖書やコーラン、さらには辞書など、独房で手に入れられる本ならなんでも乱読しました。

4.新しいことを学ぶ
どんなに小さなことでもいいので、何か新しいことを身につけるといいとのこと。ニコルズ受刑者の場合は、前述の通り辞書を通読してボキャブラリーを増やしたほか、前向きになれる肯定的な言葉を右手で書いてから左手で書き直し、両手できれいな文字を書くスキルを身につけました。

5.他の囚人と雑談しない
独房にいても大声を出せば他の囚人と会話ができますが、ニコルズ受刑者はあえて軽薄な会話には加わりませんでした。なぜなら、政治の話題や刑務所の愚痴などは口論になるだけだからです。その代わりに、ニコルズ受刑者は精神論や歴史、ビジネス、法律問題など教養になるような会話に集中しました。


6.看守の挑発には乗らない
ニコルズ受刑者によると、刑務所の看守は囚人を独房にとどめるために、あの手この手で囚人を怒らせようとするとのこと。そのため、ニコルズ受刑者は看守を観察することはあっても敵対的な反応はしないよう心がけました。嫌がらせの中には、レクリエーションとして1週に1度許されているシャワーの時間を奪うといったものがありましたが、ニコルズ受刑者はシャワーの時間を取り上げられても暴れたりせず、洗面台で体を洗うようにしました。

なお、ニコルズ受刑者は心の中で刑務所の職員を「デモゴルゴン」と呼んでいるそうです。

7.独房を出るチャンスを逃さない
独房の囚人の中には、看守が持ち物を盗むことを警戒するあまり、外出の許可が出ても独房を離れない人もいるとのこと。「独房不安症」と名付けたこのような状況に陥らないように、ニコルズ受刑者はシャワーや医師の診察など、独房から外に出る口実があれば必ず独房から出るようにしました。


ニコルズ受刑者は「確かにデモゴルゴンたちは物をくすねますが、しょっちゅう独房から出る囚人から物をとっても効果が薄いので、そのうち留守にしていても独房に入らなくなります」とアドバイスしました。

8.手紙を書く
手紙を書く相手は、愛する人や牧師、図書館や囚人に本を送ってくれる団体などです。またニコルズ受刑者は、不公平だと思える問題があれば、裁判所や議員にも手紙を書きました。

9.適切な範囲できちんと苦情を申し立てる
例えば、壊れたコンセントから通電している電線が飛び出ていたり、天井から水漏れしていたりと、ニコルズ受刑者は抗議するのが適切だと思われる問題に対しては苦情を申し立てました。また、法的な文書がぞんざいに扱われたことに対しても同様に苦情を申し立てたことがあるほか、聖書やコーラン以外の宗教的な書籍を所有する権利を主張したこともあります。このように、主張すべきことは主張する囚人は嫌がらせをするような看守から避けられて、独房から出られるのが早くなる可能性もあるそうです。

10.信仰を持つ
信仰を実践するため、ニコルズ受刑者は祈りや瞑想(めいそう)を毎日欠かさず、武術や呼吸法の訓練も怠りませんでした。信仰の重要性についてニコルズ受刑者は「私にとって信仰は最も重要なサバイバルツールです。独房の中での最悪期を乗り越えられたのは、信仰があったからです」と話しています。


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