札幌、函館、旭川、小樽……北海道に有名な街は数あれど、桃鉄勢にとっては長万部(おしゃまんべ)もその1つかと思う。なにせ、『スーパー桃太郎電鉄』からある駅だからな。長万部の読み方を教えてくれたのは桃鉄だった。
そんな長万部に高さ30メートルの巨大水柱が噴き出したのは今年の夏のことである。久しぶりにその名前を見てテンションが上がった私(中澤)。北海道に行くついでに水柱の地へと赴いてみることにした。
・水柱コラ
2022年8月、長万部町の飯生(いいなり)神社裏の山に轟音と共に噴出した水柱。突然の意味不明な現象は、ネットで注目を集めた。
そんな水柱は、9月26日にこれまた突如として止まる。30メートルと言えば10階建てマンションくらいの高さである。そんなものが50日間噴き出し続けるのは人間の感覚で言うと異常事態だ。
音も凄かったらしいし、これだけでも近隣に住んでいたら世界の終わりを感じそうである。しかし、その上、何事もなかったかのように止まっちゃうんだから自然のヤバさを感じずにはいられない。何がやりたいんだコラ! タココラ!
・地元のパトロール隊
あまりの理不尽さに水柱にキレながら歩いていると跡地らしき場所に着いた。水柱のポイントは神社の前を通るコンクリートの道路を登った脇の森の中。もはや全く音はしない。
ところで土地感のない私が、なぜ一発でポイントが分かったかと言うと、立ち入り禁止の柵の前で地元のパトロール隊のような方々が話し込んでいたからだ。そこで水柱について聞いてみたところ……
パトロール隊「噴き出してたのは塩水とガス。もう今は止まってるし、タンクも設置されたけど、危険だからここから入っちゃダメだからね」
──とのこと。視線の先、柵の向こうの森の中には排水処理施設とかにありそうな大きいタンクが建てられていた。
・駅にて
そんな水柱跡はともかく、街自体は静かなものである長万部。その日は長万部に泊まったが特に異常はなく、強いて言うなら星が屋久島レベルで綺麗だった。平穏そのものである。良かった良かった。
と思いきや、翌朝、出発の電車を待つ間に長万部駅をウロウロしていたところ、衝撃の貼り紙を見つけた。駅の片隅に貼られた貼り紙にはこう書かれていたのである。「水柱の見学について」と。
それは駅から水柱までの地図が書かれたもの。徒歩や、車の場合の時間も書かれており、観光名所として売り出す気をビンビンに感じる。しかし、その地図に上書きするかのように、赤枠に黒い字でこう書かれていた。
「9月26日水柱止まりました…。」
めちゃくちゃ無念そうだ。まるで『北斗の拳』のレイの最期を見ているような気分になった。水柱ぁぁぁーーーッ!!
・長万部に幸あれ
観光的には水柱が期待の新星だったのかもしれない。そう考えて今の長万部を見ると、ゴールドラッシュの後のような哀愁が漂っているようにも感じられた。地球の機嫌に振り回された形となった長万部。新幹線開通で活気を取り戻すことを祈らずにはいられない。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.