質量の大きい星は、一生の終わりに非常に明るい光を伴う超新星爆発を起こします。この超新星爆発が地球の近くで発生した場合、環境や生命にどのような影響があるかを教育系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。
What If a Supernova Hits Earth? – YouTube
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「爆発」と聞くとダイナマイトの爆発のような一瞬で終わる現象を想像しがちですが、超新星爆発は「火山が噴火して津波が発生する」といったような一連の現象として発生し、何万年もの間にわたって周囲に影響を与え続けます。
超新星爆発は、質量の大きな星が核融合の燃料となる物質を使い果たした際や、赤色巨星が白色矮星に吸い込まれる際に発生します。発生直後から1カ月程度は、非常に明るい光りを周囲に放ちます。
光が収まった後は、高温のガスが数万年間にわたって周囲に広がり続けます。
超新星爆発が地球に及ぼす影響を超新星爆発と地球の距離ごとに解説するとこんな感じ。
・数千光年
数千光年離れた場所で超新星爆発が発生した場合、地球からは非常に明るい星が急に現れたように見えます。明るい星は数週間にわたって観測できますが、地球上の生命や環境に影響を及ぼすことはありません。
・300光年
300光年離れた場所で超新星爆発が発生した場合も、非常に明るい星を観測できますが、生命や環境に深刻な影響を及ぼすことはありません。
ただし、地球には爆発した星由来の物質が届きます。このため、海底の鉱物などから超新星爆発の証拠が検出されることがあります。
・150光年
超新星爆発と地球の距離が150光年にまで近づくと、地球に多様な影響が出始めます。まず、超新星爆発する前の星には強力な磁場が存在しているのですが、磁場のエネルギーは超新星爆発の後も残り、宇宙線として放出されます。
宇宙線のほとんどはオゾン層でブロックされるため、地球上の生命や環境への影響はわずかです。
ただし、宇宙空間には大量の宇宙線が飛び交うこととなります。このため、宇宙空間での船外活動などが困難になり、宇宙開発が停滞する可能性があります。
・100光年
100光年先で超新星爆発が発生した場合、宇宙線はオゾン層の一部を破壊して地表に到達します。
宇宙線は放射線なので、がんなどの疾患に苦しむ患者が急増することが考えられます。
また、海面近くに生息するプランクトンが死滅し、海水魚類が絶滅する可能性もあります。
さらに、宇宙線によって大気中に電荷を帯びた原子や分子が増加し、地球が雲で覆われることも考えられます。地球が雲で覆われると、太陽光の大部分が地表に届かなくなり、氷河期に突入してしまいます。
加えて、雷の発生頻度も劇的に向上し、火災の発生や建造物の損壊が引き起こされる可能性もあります。
上記のような被害によって、人類の数は急激に減少すると考えられます。
・25光年
超新星爆発が地球から25光年以内の距離で発生した場合、オゾン層はほぼ完全に破壊されます。
また、100光年先で超新星爆発が発生した際の被害が、さらに危険度を増した状態で発生すると考えられます。
これらの被害によって、人類の文明は完膚なきまでに破壊されるとのこと。また、シェルターなどに避難した人々も食料が尽きれば死に絶えることとなります。
・4光年
地球から4光年先で超新星爆発が発生した場合、地球は火の海となってしまいます。
地表の生命はほとんど絶滅し、深海の生物や地中の生物だけが生き残ることとなります。
上記のように、超新星爆発が地球付近で発生した場合、生命や環境に大きな影響を与える可能性があります。しかし、記事作成時点では地球の半径1000光年で超新星爆発のリスクがある天体は発見されていません。
また、仮に数百万年後に地球の近くで超新星爆発が発生するとしても、その頃の文明なら地球を安全な位置に移動させられる可能性があるとKurzgesagtは指摘しています。
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