トランプ氏、湿気ていた最後の花火:時代の流れには逆らえない

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サッカーのワールドカップが始まります。なんとなくメディアの盛り上がりはかつてと様相が違う気がします。好きな人は好きなのでしょうが、サッカーブームが過ぎてしまったこともあります。10年経てば「野球少年とかサッカー少年とか歳が分かっちゃうよね」になるのでしょうか?様々なスポーツが出てくる中で観客としての熱狂感より自分でやるスポーツに変わる気がします。アメリカでアメフトが人気でもアメフトの選手になろうという人は限られるのと同じ。ならばマラソンが日本で最も親しまれるスポーツになるというのが私の持論。それでもサッカーニッポン、ガンバ!応援します!

では今週のつぶやきをお送りします。

株式市場、冴えない理由は方向性喪失感

市場参加者として言わせて頂ければこれほどつまらない相場形成もありません。金曜日のダウの出来高は3億1千万株。金曜日は普通盛り上がるのですが、こんな出来高は久しぶりの気がします。全く盛り上がらないのです。四半期決算が一巡し、様々なイベント通過で本来は安ど感から年末前の最後のラリーを期待したいところですが、企業ニュースは不景気な内容が多く、仮想通貨問題もあり、株を買ってやろうというムードが盛り上がりません。アメリカの機関投資家、専門家の意見も割れています。

こう言っては怒られるのですが、株価は物価が上がると一緒に上がりやすい傾向があります。物価高で金利が上がることを懸念しましたが、企業業績はそれでも今年の4-6月決算までは「ほう、やるじゃん」という決算内容を維持していました。7-9月決算は悪いとは言いませんが、その先に暗雲が立ち込めているのがアリアリとわかるものが多いのです。その上、いよいよ来年春の金利引き上げ打ち止め説が市場のコンセンサスとなる中「そうか、景気が悪いから金利も打ち止めか」という意味にすり替わってしまっています。

パウエル議長は「物価が上昇しすぎるからその火消し」で利上げを進めているのですが、企業ベースでは解雇に在庫処分、市場ベースでは景気後退に備えよ、とバラバラです。そして今週、全体のムードを悪くしたのが原油価格の下落。これは株式市場では強烈なネガティブインパクトなのです。来月のOPECプラスで生産量を引き締めると思います。が、それ以上に原油の需要不足が深刻です。今の市場の行方は原油価格に聞け、と言ってもよいでしょう。

トランプ氏、湿気ていた最後の花火

トランプ氏が次期大統領選への出馬表明をしました。予定通りです。が、この出馬表明、花火が湿気ていたようで途中退場者が続出したと報じられています。出馬表明に目新しさがなく、これ以上聞いても無駄だ、と思った人たちが会場を後にしたわけです。そもそも中間選挙では予想を覆す民主党善戦の理由はトランプ氏の声に反比例したものというのは今では共通の理解です。決して民主党を推すわけでなく、消去法という点が悩ましいところです。

トランプ氏 同氏HPより

もう一つはトランプ氏が仮に大統領に復帰したらどういう手法、政策、アプローチをとるのか、トランプのカードは敵にも味方にも読まれているのです。アメリカ人は現状打破に期待をするのが大好きですが、読まれたカードがエースとかキングならよいのですが、そうではなくジョーカーだったりすれば「そこまでしてトランプ氏にこだわらなくてもよい」に変わりつつあるのがアメリカ世論です。もちろん、これから2年先のことは誰もわかりません。アメリカがどういう境遇になるのか、経済、社会、政治、外交、全てにおいて未知です。

よってトランプ氏を排除する気はないですが、バイデン氏と共に「さよならoldies こんにちは未来のアメリカ」を選択するのが主流になるとみています。そういえば共和党が下院の多数派になることからペロシ下院議長が院内総務の職を退くと発表しています。80歳のマコネル上院院内総務はまだやる気のようですが、時代の変わり目です。80歳前後の権力者層から20年若返りを目指す、これがアメリカの今後の流れともいえます。そういえば中国の長老パワーも抑えらえたし、日本でも二階さんら権力者たちの存在感は薄れました。時代の流れには逆らえないということです。

今こそ停戦協議

ウクライナ問題を見ていて思うこと。一つは「一種の身内の争い」二つ目は「双方ともに疲れてきた」三つ目は「世界は白い目」であることです。森元首相が鈴木宗男氏の集りの挨拶の際、ゼレンスキー氏批判をしたことが話題になっています。森さんと聞けば「またか」になるのですが、今回は「そうなんだよな、森さん、よく言った」と思っている人がいるような気がします。マクロン大統領も日経とFTの共同独占インタビューで停戦協議を呼び掛けると表明しています。

今回の争い。両国民にとっても当初の熱意は程遠く「辟易」が正しい表現かもしれません。現代において普通なら10カ月も争いは続きません。中東やイスラエルの争いでもすぐに停戦します。ではなぜ、今回は収まらないのか、といえば両トップが意地になっているからです。つまり上げた手を下ろせないわけです。それと「どこに下ろすか」も双方わかっていません。今回マクロン大統領が提示しているのは停戦です。つまり前線の一時ストップ。国同士が同意すれば休戦。そして講和があれば終戦になります。停戦は第三国が介入しやすいレフェリーストップです。

日本はこの停戦に向けた作業に積極的に取り組むべきです。理由は北朝鮮への刺激を抑えるためです。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話ですが、ウクライナの緊張は北朝鮮の血糖値ならぬ「決闘値」を上げています。昨日のミサイルはEEZ内に落ちたとされます。じわっと近づく北朝鮮の攻撃と口撃のテンションを下げるには中国の協力も必要でしょう。その点では中国と対話できるルートを再構築できたのは良かったと思います。「外交の岸田」の出番です。ここは期待するしかありません。

後記
私も忙しい日々を送っているのですが、久々のあっぷあっぷ状態になっています。家で夕食を採るのは週1-2回程度。人と会い、ミーティングをこなし、戦略を立てることに翻弄されています。週末も平日も関係なし。理由の一つは来週がアメリカの感謝祭に当たるため、年度内の予定を前倒しで押し込んでいることがあります。感謝祭のあとはブラックフライディ、ビジネスのソーシャルな集りが2-3週間連日続きます。そのあとはクリスマスですが、業務的には12月末の決算対策に追われクリスマス休み返上のてんやわんやがまた近づきます。華やかさを増す街角と違い、憂鬱になる今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年11月19日の記事より転載させていただきました。