オリックスが阪神を戦力外になった小野泰己を育成選手で獲得したことを発表した。
小野はかつて、エースになることを期待された右腕だった。富士大からドラフト2位で入団すると、2年目の2018年に先発ローテーションに入り、7勝をマーク。身長186センチの長身で、しなやかなフォームから繰り出す最速157キロの直球は球威十分。指に掛かった球に相手打者は前に飛ばすのも至難の業だった。
「身体能力は間違いなく高い」
さらなる飛躍が期待されたが、翌19年以降は課題の制球難を解消できず、登板機会を減らしていく。昨年は12試合登板で防御率7.98とふるわず、背番号が28から98に。背水の陣で迎えた今季は開幕1軍入りを果たしたが、5試合登板のみ。4月9日に登録抹消されると、1軍再昇格は叶わなかった。ファームでは28試合登板で1勝1敗2セーブ、防御率6.91。28回2/3を投げて32四死球と制球難で評価を高められなかった。
阪神を取材するスポーツ紙記者は、小野についてこう指摘する。
「18年に7勝をマークした時も決して制球が良いわけではなかったが、腕をきっちり振って球威でねじ伏せていた。近年は制球難を気にして投球フォームで試行錯誤を繰り返し、直球の威力も失われていたように感じる。身体能力は間違いなく高いし、まだ28歳と若い。フォームのメカニズムが改善すれば、大化けする可能性を秘めている」
支配下選手でなく育成契約で再スタートを切るが、オリックスも小野の素質を高く評価し、再生できると判断して獲得したのだろう。常時150キロを超える剛速球でセットアッパーとして日本一に貢献した山崎颯一郎、宇田川優希の活躍も、復活のヒントになるかもしれない。環境を変えることで覚醒できるか。(中町顕吾)