皆さんはご存じだろうか? 「キリストの墓」が青森県に存在することを……。三戸郡新郷村にキリストの里公園という観光スポットがあり、そこに “墓” とされる場所があるのだ。
何を根拠にキリストの墓だと言われているのかという点も非常に興味深いのだが、それより私(佐藤)が心奪われたのは土産物の飴だ。なんだよ、この飴、最高じゃねえかッ!!
・唐突にキリスト
キリストの里公園はJR八戸駅から車で約40分、国号454号線沿いにある。道中いくつも鳥居を目にするので、唐突にあらわれる「キリスト」の文字を不自然に感じてしまう。日本の原風景、山間の小さな村にキリストだって? 一体なぜ?
観光案内版を見ると、さらに西に進んだ先にもう1つ意外な名所があるのを発見した。
「大石神ピラミッド」だと!? キリストとピラミッド……。神秘とロマンの里と呼ばれる理由がわかる気がする。
新郷村の公式サイトには、キリストの墓がここにあるとする根拠がいくつか示されている。それを要約すると次の通り。
「昭和10年(1935年)、茨城県磯原町(現北茨城市)にある皇祖皇大神宮の竹内(武内)家に伝わる『竹内古文書』が見つかり、竹内氏自らこの新郷村を訪れてキリストの墓を発見した。翌1936年に考古学者の一団が『キリストの遺書』を発見している」
その古文書によると、磔刑になったのはキリストの弟イスキリで、キリスト自身は日本に渡って106歳まで生きたとされているそうだ。墓はキリスト(十来塚)とイスキリ(十代墓)が向かい合わせになっており、毎年キリスト祭り(慰霊祭)が行われている。
さらに公式サイトは「キリストの墓と弟のイスキリの墓であるかは判断を預けるとしても」と断った上で、新郷村の風習について次のように説明している。
・新郷村の戸来(へらい)地区の名称は「ヘブライ」から来たという説
・この地域の方言で父親のことを「アヤ」「ダダ」、母親のことを「アパ」「ガガ」という
・生まれた子を初めて屋外に出す時に、額に墨で「十字」を書く
・ダビデの星を代々家紋とする旧家がある
……など。古文書の真偽は不明だとしても、独特の風習が墓に真実味を持たせているのも納得できる。渡来の宗教がこの地に入り込んだ可能性を感じさせる。
・キリストっぷにアーメン
そんな新郷村は、新しいアートの場の創生に取り組む「アート・ユーザー・カンファレンス」によって、公園周辺を表現の場として活用している。たとえば以下の道路標識に見立てた作品は、強いメッセージ性を持ちながらも、その土地の景色に自然に溶け込んでいる。
『生は死の墓』
『私はあなたの墓』
「ジェネラル・ミュージアム / 墓」と題されたこれらは、キリストの墓伝承の新郷村だからこそ表現できる作品であると言えるだろう。
その一方で、土日のみ営業している土産物屋さんがぶっ飛んでいる! 某コンビニかと思ったら……。
「キリストっぷ」だと!? 看板がめっちゃポップやん!
なお、営業時間は「十字架ら三時」なのだとか。そして左下に「いいんでねぇが!」のステッカーが……。
そしてこちらが「キリストの里伝承館」。新郷村の町おこしを行っている一般財団法人新郷村ふるさと活性化公社が運営を行っている。ちなみに2022年10月1日から、月刊ムー編集部の制作した「青森ミステリーガイド」展示パネルと「新作特別動画」の公開を行っているそうだ。
入館料は大人200円、あいにくこの日は帰りの時間に余裕がなく、展示を見ることはできなかった。
せっかく訪ねたのでお土産に「キリストのハッカ飴」(税込350円)を購入してみたぞ。
なぜハッカ味なのかというと……
キリストの墓(はか)だからだ! OMG!! Amen Mint Candy!
飴だけに「アーメン」ってマジかよ!!
山村の静かな観光名所ではあるけど、初訪問でもとても親しみやすい。少なくとも私は、宗教と村の歴史に興味を持つことができた。それにしても不思議な街だ。次は毎年6月に行われているという、キリスト祭りのナニャドラヤ踊りを見てみたいと思う。
・今回訪問した名所の情報
名称 キリストの里公園
住所 青森県三戸郡新郷村大字戸来字野月33-1
時間 9:00~17:00
定休日 水曜日(夏季無休、冬季休館)