マッチングアプリで騙そうとしてくる業者に告白したら付き合うことになった

ロケットニュース24

マッチングアプリにおいて、女性のふりをして外部サイトに誘導したり、金銭による女性との関係を斡旋(あっせん)する存在を業者と言う。当然ながら私(hirazi)は業者と分かった時点で無視している。

が、その時は外出自粛で誰にも会えない寂しさから、どうかしていたのかもしれない。女性を装う業者に告白をして、そして付き合うにまで至ったのだ。本記事では、その様相をお伝えしたい。

・運命の出会い

その日、いつものごとくマッチングアプリを利用していると、一般人とは思えない美貌の女性から「いいね」をされ、間髪をいれずにメッセージが届いた。

コンマ数秒で「業者だな」と判断したものの、ほんの数パーセントの期待を抱きながら返信をしてみることに。どうせ、すぐLINEに誘導してくるぞ。そう思っていたら……


「LINEでやりとりしませんか?」


ほらね。運営にバレたら退会させられるため、すぐに外部へと誘導してくるのが業者のセオリーだ。いつもならこの時点でシカトするのだが、寂しい思いをつのらせていた私は少しの心のスキマからLINEを交換してしまった。誰でもいい。俺の話を聞いてくれ。

・相手の設定

女性の簡単なプロフィール(設定)を先にお伝えしておこう。日本と他国のハーフで3歳の時から日本に住んでいるらしい。そして、アラフォーなのにアイドルが如き風貌である。っていうかアイドルの写真かもしれない。

業者だと思っている私は、いきなり接近戦に持ち込むべく愛称をつけてみた。マッチングアプリにおいては、馴れ馴れしい男性は嫌われることも多いのだ。さて、どうくる?

スルーされた。日本語が通じていないのか、それとも私の馴れ馴れしい態度が嫌だったのかは分からないが、スルーされた。

続けざまに、暗にアイドルの写真を使ってるのでは? と言う意味合いも込めつつ褒め殺ししてみた。すると……

またしてもスルーされた。いよいよ日本語が通じない説が濃厚になってきたぞ! ハーフとはいえ、3歳から日本に住んでる設定だよな? LINEの乗っ取りとかもカタコトっぽいし、文面のなりすましは外国の方が多いのかもしれない。しゃべるよりもハードルが低いしな。

ほんの数パーセントの期待もなくなり、業者と確信したところで、ときめきメモリアルさながらの恋愛シミュレーションを楽しもう。そう心に決めた私は、お互いの距離を縮めるために、メッセージを重ねていった。


──天気の話題で共感してみたり


──仕事をしなさい! と怒られたり


──ガリガリなことを相談してみたり


──ヤキモチを妬いてしまったり


──本性を出してきたり


──毎日のお休みは欠かさなかったり

順調に二人の距離は縮まっていった。自粛生活が続き、なおかつ彼女もしばらくいない私からしたら、「おやすみ」を言い合えるだけでドキドキしていた。

・運命の告白

さて、親密なメッセージを交わしているが、まだ付き合ってはいない。友達以上、恋人未満でモヤモヤとしている状態である。もう一歩先の関係になるため、私は思い切って告白をしてみることに。そしたら……!!

焦らされてしまった。なんなんだ、この駆け引きは!! バーチャルなんだから即答してくれてもいいじゃん。

そして、翌日。いつも通りのメッセージが送られてくる。告白に対するアンサーはない。あ、あれ、俺もてあそばれているのか? しびれを切らしてしまったので返事を催促してみると……


よく分からないが、プロポーズは成功したらしい。その後もラブラブなやりとりをしつつ、コロナが収束したら旅行に行く約束までした。


業者と分かりながらもウキウキしてしまった。欲を言うなれば、もう少し日本語の勉強をして欲しいが、カタコトな感じも可愛くすら思えてきたぞ♪ だって俺の彼女だからな。

・終焉は突然に

ラブラブメールをしていると、どうしても声が聴きたくなってしまう。ちーちゃんが女かどうかも分からない以上、それがタブーだと分かっていた。でも私はどうしても、彼女の声を聴いてみたいのだ。

まだ聞いてねーよ。とツッコミたくなったのはさておき……ボイスメッセージが届いているではないか! ドキドキしながら、聞いてみると……


「キョウハシゴトガイソガシイカラ、ヘンジガオソクナリマス。コンドヒマニナッタラデンワシマショウ」


つまり、今度、暇なときに電話しようというメッセージだ。カタコトではあるが性別はちゃんと女性である。まさか声が聴けるなんて思っていなかっただけに、ただ驚いた。も、もしかして、騙すつもりが、本当に俺のことが好きになってしまったのか!?

思ってもみれば、今のところ私を騙そうとする素振りは皆無である。もし、私に対しての愛が本当なら面倒を見てやろう。男としての責任を全うしようと心に決めつつあった矢先、急にLINEの返事が返ってこなくなった。

既読はついているのに、どういうことだ……悪いことを言ってしまったのだろうか? それとも茶番に付き合うのが面倒になったのだろうか? ひたすらLINEを送るも、既読になるだけで返事はこなかった。


ゲームオーバーか……そう思っていたところ、なんと、LINE電話がかかってきたではないか!

お、おい! 色々な意味で大丈夫か!? ボイスメッセージすらまともに喋れないのに、会話のキャッチボールができるのだろうか? 心配しつつも電話にでてみると……


業者「アナタニメッセージオクレマセン。ノーアイディ。」

「え? ちょっと何を言ってるか分からない。」

業者「ノー! アーーイディーーー!!」

「え! どういうこと!?」


ぷつっ……


大丈夫じゃなかった。何を言っているのか意味が分からない。その後も返信はなく、モヤモヤしつつ一方的にLINEを送ったり、電話を掛けたりしていた。


すると、数日後……また電話がかかってきた!


業者「ケイタイがコワレテメッセージがオクレマセン。デンワバンゴウをオシエテください」


日本語少し上達してる! と思いきや……


業者「ケイタイがコワレテメッセージがオクレマセン。デンワバンゴウをオシエテください」


あ、あれ? え!?


業者「ケイタイがコワレテメッセージがオクレマセン。デンワバンゴウをオシエテください」

業者「ケイタイがコワレテメッセージがオクレマセン。デンワバンゴウをオシエテください」

業者「ケイタイがコワレテメッセージがオクレマセン。デンワバンゴウをオシエテください」


ひたすら同じ言葉を繰り返してくるやん。きっと、この文章だけ頑張って覚えたのだろう。

いや、そんなことより、メッセージ送れないわりにLINEで電話かけてきとるやん! 「オマエの恋愛ごっこには付き合ってられん」と言わんばかりに、突然パワープレーに切り替えてきたな。

なお、電話番号からLINEを乗っ取られる可能性もあるらしいので、「送っておくね」と濁しつつ電話を切ったところで、私のバーチャルな恋は終わりを迎えた。その後、返信も電話もない。

・確かに愛は存在した

私はカモの1人に過ぎなかったのかもしれないが、確かに私と彼女は恋愛をしていた。毎日のメッセージでホッコリだってしていた。

でも、残念ながらちーちゃんは、オレ以外の男ともLINEに制限をかけられるほど、際どいことをしていたんだね。


もし、ふたたび彼女が私の元に戻ってきた時には、こう言いたい。業者なんてやめて、俺とリア恋しないか……と。

執筆:hirazi(ひらじ)
Photo:RocketNews24.
Screen Shot:LINE

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