この写真撮る必要なかったな
先日行われた東京マラソンをテレビで見ていて、「マラソン楽しそうだな」と思った。街の空気を感じながら、自然なスピードで景色が移り行くのはなかなか良さそうだ。
しかし如何せんフルマラソンは、僕にとって長すぎる。かつて高校生のとき、50キロくらい走るマラソン大会があったが、僕の脚は筋肉痛を通り越して疲労骨折した。もっと数キロで終わるような市民マラソンがあればいいのに。
そう考えて自分サイズのマラソン大会を開催してみました。
※2007年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
舞台は蕨市
東京マラソンや高校のときのマラソン大会は、ある一定のエリアを縦断、あるいは横断する大規模なものだ。が、大きすぎる、普段の生活から言って、等身大じゃない。
というわけで埼玉県蕨市に目をつけた。何故ここかと言うと、ここは日本で一番小さい面積の市で、南北に2キロくらいしかない。ここなら簡単に縦断できるわけである。
というわけで早速スタート。スタートしてまずすることは、スタートの片づけだ。セルフ市民マラソンなのでこのあたりの始末はきちんと自分でしなければならない。
少し走ると「中山道蕨宿」と書かれた石碑が見えてきた。ここが第一給水ポイントになる。 早いけど、全長およそ2キロのマラソン大会なので仕方が無い。
持参した長机の脚をおこし、紙コップと飲み物を並べる。そして塩分補給のための梅干も紙皿に盛る。マラソン大会と言ったら梅干である。
参加者は一人なんだから、わざわざそんなことをする必要があるのか、と思われるかもしれないが、あくまで市民マラソンの雰囲気作りなので、手を抜いてはならない。
水分と塩分の補給が終わったら、さっさと紙皿や紙コップを片付けて出発する。ぼやぼやしている暇は無い。タイムが心配だ(いちおう計ってる)。
中山道を走っていると、蕨市歴史民俗資料館なるものが現れた。蕨市はとても歴史のある街なのだ。
歴史民族資料館の少し先の道を曲がって、蕨市役所のほうに向かう。ちなみに、この蕨市縦断マラソンで唯一の曲がり角である。ありがたや。
市役所を通り過ぎてしばらく走ると、そこには神社が。
ここが第2給水ポイントだ。先ほどと同じように長机を立て、飲み物と食べ物を用意する。
今度の食べ物はバナナだ。マラソンと言ったらバナナである。マラソンのときのバナナは変な切り方だ。
下校のために通り過ぎる小学生にもめげずに使い終わった長机を片付けてゴールを目指す。
ゴールまではあと1キロない。もうすぐだ。フルマラソンで言うと、35キロ地点を越えたくらいの勢いである。あとは最後の関門ともいえる陸橋を越えるだけだ。
陸橋の階段を、長机を担いで渡る。ふと「何やってるんだっけ、おれ」という気分になったりもするが、いやいや、マラソン大会をやっているのだ。…マラソンじゃなくて?
なんか目的を見失ってる気がしつつ、よたよたと階段を登る。
陸橋を渡りきると、そこには「川口市」の標識が。ついに蕨市を縦断することに成功したのである。立派なゴールとか、到着を待つ人たちのような感動要素は全くないので何だか寂しい気もするが。
大会運営を含め参加者1名のマラソン大会で優勝した僕は、栄誉ある手作り金メダルと長机を胸に、家路に着いたのであった。
2倍疲れた
実際ひとり市民マラソンをしてみると、市民マラソンというのは走る人だけが大変な思いをするわけではなく、大会運営側の多大なる労力の上にこそ成り立っているのだな、ということがわかった。
マラソンランナーは大会が終わったら帰ればいいだけだが、運営する人たちは、いろいろ片付けたりしないといけないのだ、長机とか。