国際宇宙ステーション(ISS)から締め出されている中国は、独自の宇宙ステーションである「天宮」の構築を進めています。2022年10月31日、天宮を構成する最後のモジュールである実験棟「夢天」が海南省の文昌衛星発射場から打ち上げられ、13時間後に天宮本体とのドッキングに成功しました。
As Last Module Docks, China Completes Its Space Station – The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/10/31/world/asia/china-launch-space-station.html
China’s space station takes final shape with arrival of Mengtian module | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3197961/chinas-space-station-takes-final-shape-arrival-mengtian-module
Final module docks at China’s Tiangong space station – SpaceNews
https://spacenews.com/final-module-docks-at-chinas-tiangong-space-station/
天宮計画は中国独自の宇宙ステーション構築を目指すプロジェクトであり、2011年に試験機の天宮1号を打ち上げて以降、10年の歳月をかけて少しずつ前進してきました。
2021年には最初のモジュールとして、居住・誘導・航行・制御・生命維持・電気系統などを担うコアモジュール「天和」が打ち上げられ、2022年7月には2つある実験棟のうち「問天」の打ち上げおよび天和とのドッキングに成功。そして、10月31日には2つ目の実験棟であり最後のモジュールとなる「夢天」の打ち上げが行われ、打ち上げから13時間後に天宮本体とのドッキングに成功しました。
夢天の打ち上げは、以下の動画を見るとよくわかります。
China launches Mengtian, final module to complete Tiangong space station – YouTube
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夢天は過去2つのモジュールと同様に、中国の長征5Bロケットで打ち上げられました。
打ち上げ成功を祝う関係者たち。
夢天は長さ17.9m、直径4.2m、重さ約22トンの実験棟です。中国有人宇宙プロジェクト弁公室(CMSA)によると総体積は110m3であり、そのうち32m3は宇宙飛行士が運動できるスペースになっていますが、寝室やトイレはないとのこと。
夢天は微小重力下における流体物理学・材料化学・燃焼といったさまざまな科学実験を行うために設計されており、3つの原子時計を含む複雑かつ高価な研究設備が搭載され、7つのミニ実験室が備えられています。また、夢天には貨物用エアロックがあるため、天宮の小型ロボットアームを使って実験設備を宇宙船外部に取り付け、宇宙放射線の影響を研究することも可能です。
宇宙空間に到達した夢天はロケットから切り離されて、独自の推進機構で天宮とのドッキング地点まで向かいました。
夢天と天宮本体のドッキングは以下の動画で確認できます。
实拍画面!梦天实验舱与空间站组合体太空会师 | CCTV中文国际 – YouTube
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夢天とのドッキングに備え、地上380km地点の軌道上で「L」字型に再配置されている天和と問天。
打ち上げから13時間後、無事に夢天と天宮のドッキングが成功しました。
記事作成時点の天宮は以下のようになっていますが、後に対称性のある形に再配置される予定です。
天宮は少なくとも10年間運用され続ける予定であり、将来的には外国人宇宙飛行士を受け入れる計画もあるとのこと。また、記事作成時点では3つのモジュールで構成されていますが、最大6つまでモジュールを拡張することも可能だとされています。
なお、今回打ち上げに使用された長征5Bロケットは制御不能状態で地球に落下した事例がたびたび報告されており、安全性を問題視する声も上がっています。これに対しCMSAは、今回の打ち上げに使用した長征5Bロケットは調整が加えられていると主張しています。
20トン以上ある中国のロケットが数日後に「制御不能状態」で落下してくる – GIGAZINE
中国の長征5Bロケットが「制御不能状態」で地球に落下してくる見込み、現在位置はここ – GIGAZINE
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