すっかり使わなくなったものの、何となく処分できずに自宅に眠っていたSurface 3に「Pop!_OS 22.04」をインストールした。古いPCなので動作が「もっさり」なのは仕方がないが、新しいUIで気分一新となった。
Macを思わせるドックが特徴のUbuntuベースのOS
Pop!_OSは、米国のSystem76がUbuntuをベースに開発したLinuxディストリビューションだ。GNOMEをベースにしたUIを搭載しており、macOSのように画面下部にフローティングするドックが印象的な仕上がりになっている。
今年の4月にUbuntu 22.04ベースとして最新版がリリースされ、現在、同社のウェブサイトからダウンロードして利用することが可能になっている。
最近(2022年8月末)には、Raspberry Piでも動作するARM版もリリースされており、こちらも注目だが、今回は冒頭でも触れた通り、筆者の手元で眠っていた古いSurface 3にインストールしてみた。
インストールは特に難しい点もなく完了できる
インストールは、以下のサイトから通常版(NVIDIA版は要対応グラフィックカード)をダウンロードし、Rufusなどのツールを使ってインストール用USBメモリを作成し、それを使ってPCを起動すればいい。
インストール時に注意が必要なのは、セキュアブートをオフにしておくことだ。
今回利用したSurfaceの場合、ボリュームアップボタンを押しながら電源オンでUEFI呼び出せるので、セキュアブートを事前にオフにしておく。この状態で、ボリュームダウンボタンを押しながら電源を入れることでUSBメモリから起動できる。
インストール自体は特に難しい設定はないが、暗号化の設定がポイントとなりそうだ。
言語とキーボードレイアウトの設定、インストール先の選択(既存のデータは削除されるので注意)、ユーザーアカウントの作成と進んだ後、「ドライブの暗号化」の設定が表示される。
この機能はオンにしておいた方がデータの安全性が高まるが、電源オンや再起動のタイミングでパスワードが要求されるようになる。この手間を嫌うならば、「暗号化しない」でインストールする選択肢もあるだろう。
再起動後、ドックのデザインなどを選択すれば、インストールは完了となる。
使う前に日本語入力の設定が必要
インストール後に必須となるのが、日本語入力の設定だ。
「設定」の「地域と言語」から「インストールされている言語の管理」を選択すると、「言語サポートが完全にはインストールされていません」と表示されるので、「インストール」を実行する。
インストール完了後、一旦再起動してから、「設定」の「キーボード」で「+」をクリックし、「日本語」を選択すると、一覧に「日本語(Mozc)」が追加されるので、これを選択。代わりに一覧から「anthy」を削除しておく。
これで、[Ctrl]+[Space]キーで入力システムの切り替え、[半角/全角]で英語入力/日本語入力の切り替えが可能になる。
LTEも認識! タッチも縦表示もOKだが、難点は…
今回インストールしたSurface 3は、LTEモデルとなっており、このあたりがきちんと認識されるかどうかが不安だったのだが、結論から言えば、全く問題ない。
内蔵LTEも認識されpovoでの通信が確認できた上、タッチ操作も、画面の回転も、キーボードの脱着も、問題なく可能だった。
実は、以前、このSurface 3には、Chrome OS Flexをインストールしたこともあったのだが、その際はバッテリーが認識されないという致命的な問題があって、Windows 10に戻していた。今回のPop!_OSは、こうした問題が今のところ発生しておらず、安定して使えている。
しかしながら、さすがに2015年発売の古いPCとなるため、動作は非常に重い。
Surface 3のスペックは、Atom x7 Z8700 1.6GHz、メモリ4GBとなっており、起動も時間がかかるし、全体的な画面表示も軽快とは言えない。もともと、Windows 10でもモッサリ感はあったが、さらにもうワンテンポ遅い感覚だ。
モダンLinuxを快適に使うには、やはりそれなりのスペックは必要と言えそうだ。
とはいえ、普段と環境が変わるのは新鮮で、デバイスもほぼ問題なく使えるので、実用性がないわけではない。標準でLibre Officeもインストールされるし、「Pop! Shop」と呼ばれるGUI画面でアプリを簡単にインストールすることもできる。
古いPCのリフレッシュに活用してみるのも、ひとつの方法だろう。