【Hothotレビュー】ただ高クロックなだけじゃない。ゲーム性能も確実に向上した「Core i9-13900K」

PC Watch

 10月20日より、開発コードネームRaptor Lake-Sで知られるIntelのデスクトップ向けCPU「第13世代Intel Core デスクトップ・プロセッサー」(以下、第13世代Core)が発売される。

 今回はこの発売に先立って、第13世代Coreの最上位モデル「Core i9-13900K」をテストする機会が得られたので、そのパフォーマンスをベンチマークテストで確かめてみた。

Intel第13世代Coreプロセッサーの高性能をライブで目撃せよ! 10月21日(金)21時よりYouTubeで解説配信

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 第13世代Coreプロセッサーの解説特番をライブで配信します。10月21日(金)21時開始。ゲーム、クリエイティブアプリなどでのパフォーマンス検証、使いこなしのノウハウ、新チップセットZ790搭載マザーのポイント、そして実機ライブデモと激アツの内容でお届けします。解説は“KTU”加藤勝明氏、MCは“改造バカ”高橋敏也氏です。

(ライブ終了後は即アーカイブを視聴いただけます)

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Eコアが倍増した24コア32スレッドCPU「Core i9-13900K」

 Raptor Lake-Sの最上位モデルとして発売されるCore i9-13900Kは、8基のPコアと、16基のEコアを備えた24コア32スレッドCPUだ。CPUソケットには前世代と同じくLGA1700を採用しており、対応BIOSを導入した既存のLGA1700対応マザーボードでも動作する。

 Raptor Lake-Sでは、PコアのアーキテクチャがRaptor Coveにアップデートされており、Pコア1基あたりのL2キャッシュ容量が最大1.25MBから2MBに増加。EコアについてはGracemontアーキテクチャを引き続き採用しているが、4コア1組みのEコアユニットが備えるL2キャッシュは最大2MBから4MBに増加した。これにより、Core i9-13900Kは32MBものL2キャッシュを備えている。

 アンコア部分に関しては、DDR5メモリコントローラの対応メモリクロックがDDR5-5600に引き上げられた。その他のアンコア機能については第12世代Core(Alder Lake-S)を踏襲しており、iGPUも従来モデルと同じUHD Graphics 770を搭載している。

 Core i9-13900Kの電力指標は、PBPが125Wで、MTPは253Wとなっている。MTPに関しては前世代の最大241Wから12Wだけ引き上げられた格好だ。ブースト機能については、前世代ではCore i9-12900KSのみがサポートしていた温度に連動したブースト機能「Thermal Velocity Boost」をサポートしており、これによりPコアの最大クロックは5.8GHzに達している。

【表1】Core i9-13900KとCore i9-12900Kの主な仕様
モデルナンバー Core i9-13900K Core i9-12900K
開発コードネーム Raptor Lake-S Alder Lake-S
CPUアーキテクチャ Raptor Cove + Gracemont Golden Cove + Gracemont
製造プロセス Intel 7 Intel 7
Pコア数 8 8
Eコア数 16 8
CPUスレッド数 32 24
L2キャッシュ 32MB 14MB
L3キャッシュ 36MB 30MB
ベースクロック Pコア=3.0GHz、Eコア=2.2GHz Pコア=3.2GHz、Eコア=2.4GHz
Turbo Boost 2.0 Pコア=5.4GHz、Eコア=4.3GHz Pコア=5.1GHz、Eコア=3.9GHz
Turbo Boost Max 3.0 Pコア=5.7GHz Pコア=5.2GHz
Thermal Velocity Boost Pコア=5.8GHz
CPU内蔵GPU (iGPU) UHD Graphics 770 UHD Graphics 770
GPUコア数 32 32
GPU最大クロック 1.65GHz 1.55GHz
対応メモリ DDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch) DDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch)
PCI Express PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4 PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4
PBP 125W 125W
MTP 253W 241W
対応ソケット LGA1700 LGA1700

24コア32スレッドCPU「Core i9-13900K」

Core i9-13900KのCPU-Z実行画面

Core i9-13900Kのテスト機材

 今回、Core i9-13900Kをテストするにあたっては、Raptor Lake-Sとともに投入される新チップセットIntel Z790を搭載した「ASUS ROG MAXIMUS Z790 EXTREME」と、KLEVVのDDR5-6200メモリ「KD5AGUA80-62E400S」、ColorfulのGeForce RTX 4090搭載ビデオカード「Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」を用意した。

 今回のテストで、Core i9-13900Kの比較対象として用意したのは、前世代の16コア24スレッドCPU「Core i9-12900K」と、AMDの「Ryzen 9 7950X」。Core i9-12900Kについては、Core i9-13900Kと同じASUS ROG MAXIMUS Z790 EXTREMEに搭載してテストしている。

 各CPUの動作設定とその他の機材については以下の通り。メモリについては、XMPを適用したうえで各CPUの定格最大クロックに設定している。

【表2】テスト機材
CPU Core i9-13900K Core i9-12900K Ryzen 9 7950X
コア数/スレッド数 8P+16E/32T 8P+8E/24T 16C/32T
CPU電力/温度リミット PL1=PL2=253W、Tau=56秒、TjMAX=100℃ PL1=PL2=241W、Tau=56秒、TjMAX=100℃ PPT=230W、TDC=160A、EDC=225A、TjMAX=95℃
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS Z790 EXTREME [UEFI=0502] ASRock X670E Taichi [UEFI=1.09.AS01]
メモリ DDR5-5200 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V) DDR5-4800 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V) DDR5-5600 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V)
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
ビデオカード Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V
GPUドライバ GRD 522.25 (31.0.15.2225)、Resizable BAR=有効
システム用SSD CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源 Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.674/VBS有効)
電源プラン バランス
計測 HWiNFO64 Pro v7.30、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温 約26℃

Core i9-12900KのCPU-Z実行画面

Ryzen 9 7950XのCPU-Z実行画面

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果をみていこう。

 今回実施したベンチマークテストは、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「V-Ray Benchmark」、「やねうら王」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「SiSoftware Sandra」、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 5」、「オーバーウォッチ 2」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「Microsoft Flight Simulator」。

Cinebench

 CPUの3DCGレンダリング性能を測定するCinebench R23では、Multi CoreとSingle Coreを実行した。

 Multi Coreの最高スコアはCore i9-13900Kの37,438で、Core i9-12900Kの26,619を約41%、Ryzen 9 7950Xの37,101を約1%上回った。

 Core i9-13900KはSingle Coreでもトップスコアとなる2,154を記録しており、これによってCore i9-12900Kを約11%、Ryzen 9 7950Xを約8%上回っている。

【グラフ01】Cinebench R23 (R23.200)「Multi Core」

【グラフ02】Cinebench R23 (R23.200)「Single Core」

3DMark「CPU Profile」

 CPUスレッド数毎のパフォーマンスを計測する3DMarkの「CPU Profile」のスコアをまとめたものが以下のグラフだ。

 Core i9-13900Kは、16スレッドテストでRyzen 9 7950Xを24%という大差で下回ったことを除いて、ほかの条件では全体ベストのスコアを記録しており、Core i9-12900Kを10~40%、Ryzen 9 7950Xを3~12%上回った。

 Ryzen 9 7950Xが16スレッドテストでCore i9-13900Kを圧倒しているのは、Pコアを8基しか持たないCore i9-13900Kと、高性能コアを16コア備えるRyzen 9 7950Xという、物理コア数とCPUコア構成の違いによるものだろう。

【グラフ03】3DMark v2.24.7509「CPU Profile」(1/2)

【グラフ04】3DMark v2.24.7509「CPU Profile」(2/2)

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、Ryzen 9 7950Xが3つのテスト全てでベストなスコアを記録しており、Core i9-13900KはRyzen 9 7950Xを5~8%下回っている。一方で、Core i9-12900Kを40~48%上回っており、マルチスレッド性能が前世代から大きく向上していることが確認できる。

【グラフ05】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.3.0)

V-Ray Benchmark

 V-Ray Benchmarkでは、28,982を記録したRyzen 9 7950Xが全体ベストで、Core i9-13900KはRyzen 9 7950Xを約11%下回った。一方で、Core i9-13900KはCore i9-12900Kを約43%上回っている。

【グラフ06】V-Ray Benchmark v5.02.00 「V-RAY (CPU)」

将棋ソフト「やねうら王」

 将棋ソフトの「やねうら王」では、NNUE型とKPPT型でベンチマークテストを実行した。なお、NNUE型ではRyzen 9 7950XでもAVX-512版とAVX-512 VNNI版が動作しなかったためテストを省略している。

 マルチスレッドテストにおいて、NNUE型ではRyzen 9 7950Xの後塵を拝しているCore i9-13900Kだが、KPPT型では逆にRyzen 9 7950Xを約5%上回っている。

 シングルスレッドテストではNNUE型とKPPT型の両方でCore i9-13900Kがベストなスコアを記録しているが、マルチスレッドテストでも見られるようにKPPT型よりNNUE型の方が低い数値となっている。これについてはCore i9-12900Kでも同じような傾向がみられている。

【グラフ07】やねうら王 v7.50 「マルチスレッド」

【グラフ08】やねうら王 v7.50 「シングルスレッド」

動画エンコードソフト「HandBrake」

 オープンソースの動画エンコードソフト「HandBrake」では、フルHD(1080p)と4K(2160p)の動画ソースをYouTube向けプリセットでエンコードするのに掛かった時間を測定した。

 Core i9-13900Kは、フルHDからフルHDへの変換ではRyzen 9 7950Xにやや遅れをとる一方で、4KからフルHDへの変換でのエンコード速度で約13%上回り、4Kから4Kへの変換では同タイムを記録した。

 前世代のCore i9-12900Kに対しては、エンコード速度で21~30%上回っている。

【グラフ09】HandBrake v1.5.1

動画エンコードソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」

 動画エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7では、フルHD(1080p)と4K(2160p)のソース動画をH.264形式とH.265形式に変換するのに掛かった時間を測定した。

 x264によるH.264形式への変換では、Core i9-13900KはRyzen 9 7950Xと拮抗しており、フルHDからフルHDへの変換で1秒遅れをとったものの、それ以外の条件ではエンコード速度で2~10%上回っている。

 一方で、x265を用いるH.265形式への変換では、全ての条件でRyzen 9 7950Xにリードされており、エンコード速度は10~20%も下回っている。このあたりはAVX512命令に対応しているか否かの差が効いているように思える。

【グラフ10】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.25.28)「H.264形式へのエンコード」

【グラフ11】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.25.28)「H.265形式へのエンコード」

PCMark 10

 PCMark 10では、もっとも詳細なテストである「PCMark 10 Extended」を実行した。

 総合スコアでベストを獲得したのは14,382を記録したRyzen 9 7950Xで、14,300のCore i9-13900Kは僅差で2番手だった。

【グラフ12】PCMark 10 Extended (v2.1.2574)

SiSoftware Sandra 「CPUベンチマーク」

 SiSoftware SandraのCPUテストから、「Arithmetic」、「Multi-Media」、「Image Processing」の結果を紹介する。

 CPUの演算性能を測定するArithmeticでは、WhetstoneのDouble-FloatでRyzen 9 7950Xを約33%下回ったが、そのほかの項目では全体ベストを記録しており、Ryzen 9 7950Xを6~10%、Core i9-12900Kを37~49%上回った。

 マルチメディア性能を測定するMulti-Mediaでは、AVX512命令をサポートするRyzen 9 7950Xが圧倒的なスコアを記録しており、Core i9-13900KはRyzen 9 7950Xを22~56%も下回っている。一方で、Core i9-13900KはCore i9-12900Kを30~42%上回っている。

 画像処理性能を計測するImage Processingでは、Core i9-13900Kが8項目中4項目でトップスコアを獲得する一方、2番手となった処理ではRyzen 9 7950Xを34~59%も下回っており、Raptor Lake-SとZen 4で処理による得手不得手が別れる結果となっている。

SiSoftware Sandra「メモリベンチマーク」

 SiSoftware Sandraで、メインメモリの帯域幅とレイテンシの計測を行なった。

 メモリ帯域幅については、DDR5-5600メモリに対応したCore i9-13900Kが67.21GB/sを記録して順当にトップに立っている一方、2番手はDDR5-4800メモリのCore i9-12900Kの56.00GB/sで、DDR5-5200メモリを使用しているRyzen 9 7950Xの49.72GB/sを上回った。

 一方、メモリレイテンシに関しては、メモリ自体はもっとも低レイテンシなはずのCore i9-13900Kが最大で、Core i9-12900Kより23%、Ryzen 9 7950Xより18%大きなレイテンシとなっている。

【グラフ18】SiSoftware Sandra v31.99 「Memory Bandwidth (メモリ帯域幅)」

【グラフ19】SiSoftware Sandra v31.99 「Cache & Memory Latency (メモリレイテンシ)」

SiSoftware Sandra「キャッシュベンチマーク」

 CPU内蔵キャッシュのレイテンシや帯域幅を測定した結果が以下のグラフだ。

 帯域幅についてはコア数の差も影響しているため同条件で比較できているわけではないのだが、L2キャッシュ容量が大きく増加したCore i9-13900Kは、1~2MBあたりの帯域幅やレイテンシが改善している様子が伺える。

【グラフ20】SiSoftware Sandra v31.99 「Cache & Memory Latency (レイテンシ)」

【グラフ21】SiSoftware Sandra v31.99 「Cache & Memory Latency (クロック)」

【グラフ22】SiSoftware Sandra v31.99 「Cache Bandwidth」

3DMark

 3DMarkでは、「Speed Way」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」、「Port Royal」を実行した。

 新たに追加されたDirectX 12高負荷テストの「Speed Way」や、DXRテストの「Port Royal」ではCPUの差がスコアに反映されていない一方、Time SpyではCore i9-13900Kがベストなスコアを記録し、Fire Strikeでは逆に最下位に沈んでいる。これについては、Time SpyではRyzen 9 7950XのCPU Scoreで奮わず、Fire StrikeではCore i9-13900KがCombined Scoreで奮わないなど、CPUが本来のパフォーマンスを発揮できていないように見える。

 VulkanテストのWild Lifeでは、4K解像度で実行する高負荷版のWild Life Extremeが横並びの結果となった一方、GPU負荷の低いWild LifeではCore i9-13900Kが、拮抗しているCore i9-12900KとRyzne 9 7950Xを11~13%上回って単独トップとなっている。

VRMark

 VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。

 GPU負荷が比較的低いOrange Roomでは、Core i9-13900KがCore i9-12900Kを約21%、Ryzen 9 7950Xを約4%上回った。DirectX 12テストのCyan RoomでもCore i9-13900KはCore i9-12900Kを約13%、Ryzen 9 7950Xを約103%上回ってトップに立っている。Blue Roomについては差がついていない。

 なお、Cyan Roomについては、以前からAMDの16コア32スレッドCPUのスコアが著しく低くなるという傾向が見られており、Ryzen 9 7950Xのスコアは性能を反映したものというより、ベンチマーク側の問題でパフォーマンスが発揮できていないと見るべき結果だ。

【グラフ28】VRMark v1.3.2020「スコア」

【グラフ29】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」にして、3種類の画面解像度でテストを実行した。

 ここでは、Core i9-13900Kが全ての画面解像度でベストなスコアを記録しており、Core i9-12900Kを13~24%、Ryzen 9 7950Xを13~17%上回った。

【グラフ30】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」

【グラフ31】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」にして、3種類の画面解像度でテストを実行した。

 Core i9-13900Kはここでも全ての条件でトップスコアを獲得している。GPU負荷の高い4Kでこそ僅差の結果となっているが、WQHD解像度以下ではCore i9-12900Kを8~11%、Ryzen 9 7950Xを8~13%上回った。

【グラフ32】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、描画品質を「エクストリーム」に設定したフルHD~4Kの画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「中」に引き下げた高fps設定で、ゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 Core i9-13900KはCore i9-12900Kを7~19%上回っており、Ryzen 9 7950Xとは4Kで同じフレームレートを記録したものの、WQHD以下の設定では2~11%上回った。

【グラフ33】Forza Horizon 5 (v1.517.253.0.HV)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、描画品質を「エピック」に設定したフルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 Core i9-13900Kは、フルHDでは全体ベストを記録してRyzen 9 7950Xを約6%上回ったが、WQHDではRyzen 9 7950Xを約2%下回り、4KではRyzen 9 7950Xとほぼ同じ平均フレームレートを記録している。前世代との比較では全ての条件で勝利しており、平均フレームレートで4~15%上回った。

【グラフ34】オーバーウォッチ 2 (v2.1.0.2.106389)

フォートナイト

 フォートナイトでは、描画品質を「最高」に設定したフルHD~4Kの画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「中」に引き下げた高fps設定でフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12で、3D解像度は100%。

 4Kでは各CPUの平均フレームレートがほぼ横並びとなった一方、WQHD以下の設定ではCore i9-13900Kがベストな結果を記録しており、Core i9-12900Kを9~33%、Ryzen 9 7950Xを9~23%上回った。

【グラフ35】フォートナイト (v22.20)

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画品質を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 ここでは、WQHDでややCore i9-13900Kが有利だったり、4KではCore i9-12900Kがベストな結果となっているなど、多少ばらついた結果が見えるものの、ほぼほぼCPU性能の差がフレームレートに反映されていないように見える。WQHDあたりまではGeForce RTX 4090の性能を十分に引き出せる一方、よりGPU負荷の低いフルHDでは上限フレームレートによって頭打ちになっているためだろう。

【グラフ36】エーペックスレジェンズ (v3.0.15.37)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイク では、描画品質を「高」にして、フルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。

 ここではCore i9-13900Kが全ての画面解像度でベストな平均フレームレートを記録している。4Kでの差は僅差だが、WQHD以下ではCore i9-12900Kを28~31%、Ryzen 9 7950Xを32~33%も上回っており、明らかにGeForce RTX 4090からより多くのパフォーマンスを引き出せている。

【グラフ37】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v12.0.1.1)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画設定を「ウルトラ」にしたフルHD~4Kの画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「ミドル」に引き下げた高fps設定でフレームレートを測定した。グラフィックスAPIは「DirectX 11」と「DirectX 12」でそれぞれテストしている。テストでは、羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測している。

 DirectX 11では、全ての条件でCore i9-13900Kがベストなフレームレートを記録しており、Core i9-12900Kを19~20%、Ryzen 9 7950Xを9~16%上回った。

 DirectX 12では全体的にDirectX 11よりフレームレートが低くなっているものの、Core i9-13900Kが全ての条件で最高のフレームレートを記録したという結果に変わりはなく、Core i9-12900Kを22~25%、Ryzen 9 7950Xを9~17%上回った・

【グラフ38】Microsoft Flight Simulator (v1.27.21.0)「DirectX 11」

【グラフ39】Microsoft Flight Simulator (v1.27.21.0)「DirectX 12」

システムの消費電力

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 アイドル時消費電力がもっとも低かったのは111.3WのCore i9-12900Kで、以下111.3WのCore i9-13900K、120.1WのRyzen 9 7950Xと続いている。

 CPUベンチマークや動画エンコードテストでもっとも高い平均消費電力を記録したのはCore i9-13900Kの423.3~429.4Wで、以下Ryzen 9 7950X(356.8~378.3W)、Core i9-12900K(348.9~371.0W)の順で続いている。Core i9-13900K搭載システムは最大で484.4Wを記録しており、これは比較製品の中でもっとも高い消費電力だ。

 3DMarkやゲームベンチマーク実行中の平均消費電力でも、ほとんどのテストでCore i9-13900Kがもっとも高い数値を記録している。Core i9-13900K搭載システムはFINAL FANTASY XV(4K/高品質)実行時に795.6Wという最大消費電力を記録している。

【グラフ40】CPUベンチマーク実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)

【グラフ41】動画エンコード実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

【グラフ42】3DMark実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

【グラフ43】ゲームベンチマーク実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 消費電力自体は比較製品の中でも最大級であるCore i9-13900Kだが、その電力効率がどの程度のものなのか、Cinebench R23のMulti Coreスコアをシステムの平均消費電力で割ることでワットパフォーマンスを比較してみた。

 もっともワットパフォーマンスが高いのは、1Wあたりのスコアが101.2のRyzen 9 7950Xで、88.4のCore i9-13900Kはそれに次ぐ2番手の結果だった。75.3のCore i9-12900Kを約17%上回る結果であり、全コア稼働時の電力効率に関しては前世代よりも向上しているようだ。

【グラフ44】システムの平均消費電力1WあたりのCinebench R23 (Multi Core) スコア

CPU温度とモニタリングデータ(Cinebench R23)

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.30を使って取得した、Cinebench R23のMulti Coreテスト実行中のモニタリングデータから、CPU温度などをまとめてみた。

 ファンスピード最大にした360mmサイズのオールインワン水冷クーラー「ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB」で各CPUを冷却した結果、Core i9-13900KのCPU温度は平均89.3℃(最大93.0℃)、Core i9-12900Kは平均82.0℃(最大86.0℃)、Ryzen 9 7950Xが平均94.8℃(最大95.4℃)となっている。

 Ryzen 9 7950Xについては温度リミットの95℃に張り付いた格好だが、Core i9-13900KやCore i9-12900Kについては温度リミット未満の温度を維持できた。その結果として、Core i9-13900KのCPUクロックはPコア平均5,120MHz、Eコア平均4,133MHzとなっており、どちらもベースクロックより遥かに高いブースト状態を維持できていた。もちろん、Ryzen 9 7950Xも平均4,858MHzでブースト動作は維持できている。

 やや気になるのはCore i9-13900KのCPU消費電力で、平均値としてはリミット上限の253Wに近い数値となっているものの、瞬間的にはこれを大きく超えた電力を消費しているようで、最大値は282.4Wを記録している。これが初期BIOSの挙動によるものか、モニタリングソフト側の問題かはともかくとして、リミットを効かせる場合であっても電源ユニットには瞬間的なMTP値以上の電力消費に対応できるよう、十分な容量マージンを確保した方が良さそうだ。

CPU温度とモニタリングデータ(ファイナルファンタジーXIVベンチマーク)

 Cinebench R23と同じように、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークを「フルHD/最高品質」設定で実行したさいのモニタリングデータをまとめてみた。

 Core i9-13900KのCPU消費電力は平均101.2W、CPU温度も平均56.0℃となっており、発熱がだいぶ少なくなっていることが伺える。Core i9-12900Kの平均68.7WというCPU消費電力と比べるとCore i9-13900Kの消費電力と発熱が大きく見えるが、このテストにおいてCore i9-13900KはCore i9-12900Kを約24%、Ryzen 9 7950Xを15%上回るスコアを記録しているので、相応の価値がある電力の増加であると言えよう。

内蔵GPUのパフォーマンスをチェック

 最後に、Core i9-13900Kが内蔵するGPUコア「UHD Graphics 770」のパフォーマンスを確認しておこう。

 テスト時のGPUドライバについては、Core i9-12900Kには最新版の「31.0.101.3430」を適用したが、発売前のCore i9-13900Kには同ドライバが適用できなかったため、ASUSマザーボードのユーティリティ「Armoury Crate」で配信されていた「31.0.101.3302」を適用している。そのほかの機材は以下の通り。

【表3】内蔵GPUテスト機材
CPU Core i9-13900K Core i9-12900K Ryzen 9 7950X
コア数/スレッド数 8P+16E/32T 8P+8E/24T 16C/32T
CPU電力/温度リミット PL1=PL2=253W、Tau=56秒、TjMAX=100℃ PL1=PL2=241W、Tau=56秒、TjMAX=100℃ PPT=230W、TDC=160A、EDC=225A、TjMAX=95℃
内蔵GPU UHD Graphics 770 UHD Graphics 770 Radeon Graphics
GPUドライバ 31.0.101.3302 31.0.101.3430 Adrenaline 22.20.02 (31.0.12002.92)
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS Z790 EXTREME [UEFI=0502] ASRock X670E Taichi [UEFI=1.09.AS01]
メモリ DDR5-5200 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V) DDR5-4800 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V) DDR5-5600 16GB×2 (2ch、40-42-42-78、1.3V)
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
システム用SSD CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源 Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.674/VBS有効)
電源プラン バランス
室温 約26℃

 Xeアーキテクチャを採用するとは言え、Xe-LPベースのUHD Graphics 770ではDXRによるレイトレーシングなどは実行できないが、それでもRyzen 7950Xが備えるRadeon Graphicsよりはだいぶ高いGPU性能を発揮しており、グラフィックスの品質や画面解像度に目を瞑れば、GPU負荷の低いゲームを動かす程度はできなくもない。

 また、Core i9-13900KのUHD Graphics 770はCore i9-12900Kが内蔵するものより、最大クロックが100MHz高くなっていることと、VRAMとして共用するメインメモリがDDR5-5600になったことにより、Core i9-12900Kよりもやや高いパフォーマンスを発揮している。

想像以上にゲームでのパフォーマンスが向上しているCore i9-13900K

 Core i9-13900Kは、前世代から倍増したEコアを活用してマルチスレッド性能を高めており、Cinebench R23のMulti CoreテストではRyzen 9 7950Xに勝るとも劣らないスコアを記録していた。動画のエンコードテストやBlender Benchmarkなどでは後塵を拝する場面も見られたが、前世代からマルチスレッド性能が大幅に強化されたパワフルなCPUであることは間違いない。

 また、ゲームでは想像していた以上の性能向上が確認できた。シングルスレッド性能は前世代と比べてそこまで向上しているわけではないが、どうやらL2キャッシュの増量はかなりゲームでのパフォーマンスに影響しているようで、Core i9-12900Kはもちろん、Ryzen 9 7950Xに対しても明らかに優勢な結果を示していた。このゲーミング性能の向上は、ハイフレームレートを狙うゲーマーにとって魅力的な要素と言えるだろう。

 いずれにせよ、Core i9-13900Kは先に発売されたRyzen 9 7950Xの対抗馬として十分な競争力を備えている。ゲームとクリエイティブのどちらの性能を優先するのかが、両CPUを選ぶ際のポイントとなりそうだ。

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