岸田首相、起死回生を狙う旧統一教問題:宗教法人法の「質問権」行使

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岸田首相は英国のトラス首相を巡る問題に内心、相当影響を受けているのではないでしょうか?就任40日程度にして既に与党では党首から引きずり下ろす大々的動きもあるとされます。民主主義における首相の評価者とは世論であり、党員であり、党内の議員たちという恐ろしさを改めて間近に見てしまいました。今回のかつてないほどの圧力はポピュリズムに走り過ぎると思わぬしっぺ返しが来ることも気づかされたことでしょう。

記者の質問に応じる岸田首相 首相官邸HPより

岸田内閣の世論調査での支持率は低下現象が止まりません。毎月のように新たな批判テーマが生まれ、その火消しが終わらないうちに次の火種が発生する状態は岸田氏が問題を潰して前進させるチカラを失いつつあるようにも見えます。一方で、旧統一教問題に端を発した自民党議員の極度の「汚染状態」に国民もあきれるほど候補者たちは選挙を勝ち抜けるならどんな手段にでも目をつむることを見せたのです。一方で岸田氏を引きずりおろしてもつぎの駒がないというなんとも情けない状態も露呈しています。火中の栗は拾わず、なのでしょうか?

そんな岸田氏が旧統一教問題を抜本から解決すべき策の「試打」としてアムウェイに厳しい処置を施しました。どう見てもアムウェイに対する半年間の取引停止命令は旧統一教会問題対策の予兆のように見えたのは私だけではないはずです。一部週刊誌ではそれを「トンデモ理論」と笑い飛ばしているようですが、笑うような推論ではないと思います。

岸田首相は宗教法人法に基づく「質問権」を行使する予定とされます。この質問権は1996年の同法の改正法に盛り込まれているのですが、その背景はオウム真理教問題を通じて社会的に問題がある宗教法人を取り締まりやすくするための法律であり、今回それを初めて適用しようとするものです。これは宗教団体を解散に追い込む一歩前のプロセスとされますので岸田首相は今回、非常に踏み込んだ問題解決を目指そうとしていることは明らかです。

そもそも壷や印鑑の霊感商法をビジネスとしてとらえ、お布施とは一線を画す展開をすべきでしょう。世の中にはクーリングオフなど消費者を守る仕組みが存在するのに宗教団体は何をしてもよい訳がありません。一般消費者やその家族は当然保護されるべきです。が、信者は既に一般人とは別基準の判断能力を持ち合わせているため、それが社会一般に見る「正常的な判断能力か」そして「それが間違っていたり、家族が救いの道を求める手段が確保されているのか」は重要なポイントです。キャンセルしたり、取り返せる手段は消費者金融に於いてもその解決の道筋を築いてきたのです。ならば宗教にも当然メスは入るべきでしょう。それが物理的に困難を極めるようであればその宗教団体を解散させるオプションは国民の平和と安定、安全を考えればいままで放置したことが無策過ぎたとも言えます

信仰を含め、我が国は相当の自由放任の社会です。世界でもかなり緩い方ではないでしょうか?しかし、自由とは何をしてもよいという訳ではなく、一定の規律の中で許されるものだと理解されなくてはいけないのです。日本ではここを大いに勘違いしているケースもあるように感じます。

今回の岸田首相のチャレンジは一部の与野党にとって苦虫となることもあるでしょう。が、ここで踏み込まなければ岸田氏は一生、中途半端で判断できなかった首相というレッテルが貼られることになります。解散まで追い込めば支持率は10ポイントぐらいすぐに上昇します。

やらなければ世論の厳しい評価が待っています。自民党を危機に陥れることも避けねばならないでしょう。期待するしかありません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年10月19日の記事より転載させていただきました。