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はじめに
編集部の安藤が好きな本『三体』ついて語ってもらいました。お相手は編集部の石川です。動画を公開しましたが、テキストで読めるよう編集しました。
日常生活にない世界が見たい
安藤:趣味の話ですか。いろいろ何を話そうか考えていたんですけど、まあ、怖い話とかですね。
橋田:怖い話…?初めて聞きましたよ
安藤:本が好きなんですよ、僕。
石川:安藤さんめちゃめちゃ本読んでますよね。
安藤:ずっと読んでますね。小説が好きなんですよ。意識高い本は全然読んでなくて、小説を徹底的に読むんです。
石川:僕は逆に小説はほぼ読まないんです。
安藤:みんな読まないですよね。僕は小説ばっかり読んでるんです。だいたい月に10冊ぐらい。
古賀:すごい!
安藤:紙の本が好きなんです。
橋田:いつ読むんですか?
安藤:いつでも読んでますよ。通勤のときが多いかな。
石川:通勤が長いですもんね。
安藤:中でもSFサイエンスフィクションが好きで、『三体』という本を持ってきました。前に誰かにも話したんですけど、日常のことを書いてあるのがあまり好きじゃなくて、知らない世界が好きなんですよ。全く見たこともないサメの頭が多いとか。
石川:サメ映画が好きなのも、つながってるんですね。
安藤:サメの頭が多いのは魚屋さんでも見ないし、日常生活にない世界が見たいんです。恐竜が好きなのはたぶんそういうことです。
橋田:なるほどね
安藤:最近読んだ中で『三体』っていうSFの話があるんです。
石川:話題になりましたよね。
安藤:1巻から5巻まであるんです。
石川:そんなに長いんだ。
安藤:日本語版だけで全部で50万部以上売ってるんです。世界的に何千万部って売ってる。売れてるんですけど、読んでる人がいないんですよ。いろんな人に薦めて、橋田さんにも薦めましたよね。
橋田:買った。
安藤:買ったけど読んでないでしょ。読んでないんですよ、みんな。
橋田:はい、読んでないんです
石川:「面白いんでしょ」までは僕も知ってます。
安藤:たぶん最初がとっつきにくいんです。何かって言うと登場人物が中国名前なので、葉哲泰(イエ・ジョータイ)とか葉文潔(イエ・ウェンジエ)、楊冬(ヤン・ドン)、汪淼(ワン・ミャオ)。読みが難しんですよ。
橋田:そうなのよ
安藤:最初は文化大革命の話から始まって、主人公の人が絶望するところから始まる。文化大革命って知識人を全部知識刈りをしたんです。そこから始まるので、学者が殺されたり、自分のお父さんが殺されちゃう絶望から始まるので、すごくそこでダーク。暗いし、しかも難しいしってなると、「とっつきにくいぞ」ってなるんでしょうね。
石川:橋田さんはどこまで読みました?
橋田:1章も読んでないです。全然はいりこめなかった。
安藤:『三体』は1、2、3があります。1が1冊で、2と3が2冊ずつある。
古賀:そんなことある?
安藤:全部で5冊読むと完結。三体Xっていうのは番外編みで、アナザストーリーなんです。プラス物理の話なので、すごく近未来なんですね。物理の言葉も出てくるので、とにかくとっつきにくい。
橋田:そうそう…。
安藤:ただ、ストーリーがめちゃくちゃ面白くて、だいたいこういうのって回を増すごとにちょっとマンネリするし、グレードダウンしちゃうんですけど、2は1の10倍ぐらい面白いんです。
橋田:そうなんだ!
安藤:3は2の10倍ぐらい面白いんです。
石川:100倍になってる。
こむずかしい話から急にハリウッド映画にかわる
安藤:スケールがどんどんでかくなっていくんです。哲学のアリストテレスとか出ててきて、歴史の小難しい話かなと思っていると急にハリウッド映画に変わるんです。
石川:エンタメ的な。
安藤:急にエンタメに変わるんですけど、そこまで読むと、あー、こういうことってなるんです。
橋田:何割ぐらい読んだら変わりますか?
安藤:1の後半ぐらいからだと思います。
石川:何ページあります?450ぐらいあるから、350ページぐらい読むと、パカーっと開けていくわけかな。
安藤:謎が謎のまま続いていって、2と3で回収される。
石川:伏線を溜め込む。
安藤:1の最後の最後ですごくいろいろドラマチックなことがあるので、1だけ読んでも面白い。1読んでないと、10倍面白い2が読めない。でも今回は1を読まなくても10倍面白い2が読めるぐらい解説します。
一同:すごい!
安藤:と思ってもう一回昨日読もうと思ったら時間がなくて。
橋田:読めなかったんだ。
安藤:忘れちゃってるので、もしかしたら怪しいところもあるかもしれない。
橋田:わかりました。
安藤:基本的には、三体って何かというと、三体っていう星があるんです。
石川:一個の星?
安藤:三体は惑星系でできている。一個は恒星、あと太陽があるので3つの星が絡み合って三体。
橋田:はい。
安藤:2個の物体は放っておくとぶつかる。でも、ある一定の力を加えると引力と釣り合う。月と地球ってそうですよね。釣り合ってるからぐるぐる回る。
そこにもう一個恒星が入ると引力が釣り合わなくて、予測がつかなくなる。それが三体問題(Three Body Problem)。
橋田:三体問題。
安藤:三体星っていうのは3つ星があるから、雨季と乾季がぐちゃぐちゃになっていて、住んでられない悲惨な星なんですよ。干ばつになったりとか洪水になったりとか。文明が何回も滅びていて、もうここじゃやっていけないから、「安定した星に移りたいと」、と探していると地球が見つかっちゃうんです。
石川:主人公はそこに住んでる?
安藤:これもう古いからネタバレしてもいいですよね。
橋田:はい。
終わってふたたび解説です
1巻のクライマックスは「ガビーン」だそうです。
この動画収録のあと1巻まで私も読み終えました。私のように最初読み進められなくても、とつぜん入り込めるタイミングがあるので頑張って読んでみてください。
この続きははげます会のページで読めますので、興味がある方は入会してくださいね。(はげます会担当 橋田)