1. TポイントとVポイントの統合で巨大「経済圏」誕生か?
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と三井住友カード、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、CCCMKホールディングスの4社は両グループのポイント事業統合に向けて協議を進めていくことになると報じられている(ケータイWatch)。実現すれば、重複はあるもののVポイント会員5200万人、Tポイント会員7000万人が統合されることになる。
Tポイントは現在広がっているポイントシステムのさきがけともいえるが、今年3月に大口の提携先であったソフトバンクとヤフーが提携を終了し、独自のソフトバンクポイントやPayPayポイントの採用をしている。
もちろん、ドコモ、楽天、auなど携帯通信キャリアがスマホ決済の普及も絡めた経済圏を構築してきている。一方、店舗も複数のポイントシステムに対応をするところも増えてきている。
こうしたことを背景として各社とも、より「貯まりやすく、使いやすい」ポイントシステムをテコに、それぞれのグループ傘下のサービスと関連付けていく動きが顕著であり、こうしたなかでの新たな一手が今回の提携といえよう。
しかし、消費者としてはこうした携帯電話契約やスマホ決済をキーとするポイント制度の戦略にどこまで付き合うのかということは考えどころ。これ以外にもスーパーをはじめとするチェーン店ごとにポイントシステムやスタンプカードがあり、1つ1つは多少はお得でもいちいち「○×ポイントカードお持ちですか?」と聞かれることにもそろそろ疲れたと感じる人も増えてないだろうか。もちろん、レジで働く人にとってもだが。
ニュースソース
- TポイントとVポイント統合へ、SMBCとCCCが資本業務提携を協議[ケータイWatch]
2. 次はAIが動画を生成――メタとグーグル
テキストからAIが画像を生成するMidjourneyやStable Diffusionは最近の注目の話題となっている。生成された画像を集めた「アートコレクション」も出版されているほどだ(インプレスR&D)。
そのようななか、当然のように次は動画を生成するツールも登場してきた。メタは「Make-A-Video」(CNET Japan)を、グーグルは「Imagen Video」(ITmedia)を発表した。IT業界の2大巨頭がほぼ同時に発表をしているところも興味深い。いずれにしても、「人間が作成しようとすると一般的にかなりの時間を要するアート作品が、簡単に作成できる」時代は確実に近づいてきている。
ニュースソース
- Meta、テキストから動画を生成するAIツール「Make-A-Video」を発表[CNET Japan]
- Google、文章から動画を生成するAI「Imagen Video」を紹介 Metaに続き[ITmedia]
- 日本初のオールAI生成画像を元にしたイラスト集!電子版先行発売!『Artificial Images―Midjourney / Stable DiffusionによるAIアートコレクション』発行[インプレスR&D]
3. 注目の市場調査結果3本――メタバース、iPhone 14、デジタル給与払い
ここのところニュースを賑わせている3つの話題について、市場調査の結果が公表されているので紹介する。
まず、矢野総合研究所は国内のメタバースの市場規模について発表していて「2021年度の国内メタバース市場規模は744億円と推計され、2022年度は前年度比245.2%の1,825億円まで大きく成長する」としている(Web担当者フォーラム)。メタバース関連の展示会を見ても、さまざまな事業者がサービスを出展し、来場者の高い関心を集めているところから見てもこうした右肩上がりの盛り上がりはうなずける。
市場調査会社BCNはiPhone 14シリーズの売れ行き調査結果を公表している(日経XTECH)。それによると、「予約分含む販売初日は2020年の『iPhone 12』比で約69%減、2021年の『iPhone 13』比で約31%減。シルバーウイークを含む発売から10日間の累計でも、iPhone 12比で約56%減、iPhone 13比で約23%減と振るわない」としている。円安などにより価格が高騰したことと、それに比した明らかな技術的ジャンプが少なかったことが原因か。
キャリアに関する調査機関「Job総研」を運営するライボの調査によると、「政府が来春の解禁を目指す『デジタル給与払い』は、『利用しない』が6割に達した」という(ITmedia)。「経済産業省では2025年までにキャッシュレス決済比率40%を目指し、普及を後押ししている」というが、数字を見るかぎり、小口支払いは電子マネーでも、給与の受け取りの手段としてはあまり魅力がないようだ。
ニュースソース
- 2021年度国内メタバース市場は744億円。2026年には1兆円規模まで拡大か【矢野経研調べ】[Web担当者フォーラム]
- iPhone 14の初速は前年比23%減、実売データで見えた円安・物価高の逆風[日経XTECH]
- デジタル給与払い「利用しない」が6割 電子マネー利用率9割超も[ITmedia]
4. 非常時の「事業者間ローミング」、利用者の「約7割が必要としている」
今年7月に発生したKDDIの大規模通信障害をはじめとし、近頃の小規模な通信障害が増えてきていることなど踏まえ、総務省は「通信障害などの際に他社回線で携帯電話を利用できるようにする『事業者間ローミング』の実現」に向けて検討会を重ねている(ケータイWatch)。第2回の検討会では「携帯電話の通信障害に関するアンケート調査」(野村総研)の結果が発表され、「緊急時の『事業者間ローミング』の必要性を問う設問では、本調査の回答者のうち7割程度が『必要だと思う』『どちらかといえば必要だと思う』と回答。年代が上がるほど必要性が高くなる傾向もみられた」という。
大規模障害のときには「110番や119番がつながらないという問題」がクローズアップされ、緊急通話の確保は重要な課題とされている。加えて、近年のスマホ決済の普及により、決済ができなくなるということも指摘され、「一般の通話やデータ通信もローミングできるようにならないか」という指摘も出ている。こうしたことから会議では「有識者からも『緊急通報だけという現実解よりも、志高くデータ通信ローミングを含めた議論をすべき』との指摘もあった」と報じられている。通信事業者もおおむね賛成であるようだが、実現のための技術的なハードルはそれなりに高いとされている(ケータイWatch)。
消費者としては当面はeSIMを使って、通信可能な安価な料金サービスと契約するという自衛手段もあるが、一定の知識のある人以外、一般には広まりにくいかもしれない。
5. 出版業界に「黒船来航」から10年
アマゾンの電子書籍リーダー「Kindle」が日本に上陸してこの10月で10周年を迎えた(INTERNET Watch)。本格的な電子書籍市場の始まりともいえる出来事だった。当時は出版業界では「黒船」などとも言われ、プリントメディアの終焉かとも言われた。アップルのiPadでも電子書籍のサービスが始まったり、Koboが日本に参入したりと、何かとニュースもにぎやかだった(TIMEMAP)。
直近の調査によると、全てがKindleではないが、電子書籍市場規模は5510億円、うちコミックが4660億円とその多くのシェアを占め、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が597億円、雑誌が253億円と推計されている(インプレス総合研究所調べ)。
ニュースソース
- 新旧デバイスの比較も。日本上陸10周年を迎えたAmazonのKindle、特設サイトを公開中[INTERNET Watch]
- 電子書籍とKindle、koboのニュースを振り返る[TIMEMAP]