マイクロソフト 、Amazonに直接狙いを定めたリテールメディアサービス発表

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マイクロソフト(Microsoft)は、より多くの小売業者が自社ウェブサイトをリテールメディアネットワークに転換するのを支したいと考えている。

同社は1月10日火曜日、マイクロソフトリテールアドバタイジングネットワーク(Microsoft Retail Advertising Network)のパイロット試験版のリリースを発表した。これは、多くの小売業者が自社ウェブサイトのトラフィックを収益化できるよう支援することを目的として設計されたものだ。より広範なマイクロソフトアドバタイジング(Microsoft Advertising)プラットフォームを使用しているブランドは、マイクロソフトおよびパートナーのプロパティに加え、マイクロソフトリテールアドバタイジングネットワークに参加している小売業者のウェブサイト上で広告を配信するキャンペーンを設定することができるようになる。また、同社は、この新しいプログラムの一環として、小売業者のオフラインキャンペーンの支援を計画していると語った。

マイクロソフトのリテールメディアアドバタイジングネットワークは、同社のプロモートIQ(PromoteIQ)サービスの一部だ。プロモートIQは小売アドバタイジングの新興企業で、マイクロソフトがライバルAmazonで急速に成長している広告事業との競合力を強化することをめざして2019年に買収したものだ。マイクロソフトはプロモートIQの事業の一環として、コールズ(Kohl’s)、クローガー(Kroger)、オフィスデポ(Office Depot)などのブランドと協業してきた。多くの小売業者が自社のリテールメディアネットワークを立ち上げたり、最近になって拡張している年に、マイクロソフトには、あらゆるチャネルにおける広告のバイイングを合理化できる、単一のリテールメディアプラットフォームを集約して運用する機会を得た。

単一プラットフォームで統合

1月10日の発表の一部として、マイクロソフトはプロモートIQに属する新機能も開始する。このような機能のひとつが、プロモートIQオフサイト(PromoteIQ Offsite)だ。この機能により、小売業者はファーストパーティーデータを使用し、ブランドが自社のeコマースサイト以外の買い物客にもリーチを広げるよう支援することができるようになる。

マイクロソフトのグローバルパートナーおよびリテールメディア担当バイスプレジデントを務めるキア・セインズブリー・カーター氏は、同社にはブランドパートナーがオンサイト、オフサイト、および店舗内での活動を通じて、オーディエンスとつながれるよう支援するという構想があると、米モダンリテールに語った。

カーター氏は次のように付け加えている。「この業界は、多くのリテールメディアプログラムで構成され、広告主はあらゆる場所にわたってそれらのプログラムと関わる必要があるが、それは広告主にとってはリフトや全体的な投資の点で大きな負担だ。これらのすべてを単一のプラットフォームに統合すると、小売業者は自社のリテールメディアビジネスとそのパフォーマンスをより効果的に理解でき、2つ、3つ、または4つのテクノロジーパートナーがいる場合と比べて楽になる」。

マイクロソフトのメディアバイイング力

プロモートIQのプラットフォームは現時点で20社以上の小売業者が使用していると、カーター氏は述べている。

「このプラットフォームは、小売業者が、より広範なマイクロソフト広告プラットフォームとエコシステムを使用しているブランド広告主と提携し、自社のオンサイト在庫をより多く収益化するため役立つよう設計されている」と、カーター氏は述べている。

ガートナー(Gartner)のアナリストであるマイク・フロガット氏は、マイクロソフトの広告プラットフォームと、同社の広範なメディアバイイングの能力を、リテールメディアと組み合わせることにより、競合他社と同じ土俵で競争できると、メールで回答している。たとえば、マイクロソフトはGoogleのパフォーマンスマックス(Performance Max)ツールのようなサービスと競合することができる。このツールは、広告を買う際に、オーディエンスの管理や最適化を簡素化するため使用される。

フロガット氏は、マイクロソフトがサイロ化されたデータの扱いに経験があることも有利に働くと付け加えている。「小売業者がリテールメディアテクノロジーやサービスパートナーを検討するときに当社がよく聞く主な懸念のひとつは、コンバージョンのデータを競合他社と共有したくないということだ」と、同氏は述べている。

店舗内でのリテールメディアも可能に

マイクロソフトは1月10日火曜日に、プロモートIQインストア(PromoteIQ In-Store)も発表した。これは、小売業者がコンテンツやハードウェアのパートナーが店舗内のリテールメディアアクティベーションやデジタルサイネージをテストする際に役立つ概念実証だ。マイクロソフトは、このプロモートIQインストアが今後12カ月以内に利用可能になるとしている。

「ここでの最大のニュースは、オフラインの部分で、小売業者向けのフルファネルを含むリテールメディアネットワークが使用可能になるということだ」と、インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)で小売およびeコマースのプリンシパルアナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は語る。「非常に興味深いのは、店舗内でのリテールメディアが可能になるという点だ。これは巨大な機会になる」と、同氏は付け加えている。

同氏は、すべての小売業者は今後10年間に自社の店舗の運用を多かれ少なかれデジタル化することを迫られるだろうと指摘する。「そして、これには助けが必要だ。Amazonとマイクロソフトとでは、小売業者は自社と競合しないマイクロソフトと提携することを望むだろう。したがって、マイクロソフトはここで非常に大きな役割を果たすことになる」と、同氏は説明する。

大規模なエンゲージメントを実現

マイクロソフトは最終的に、小売業者が高いエンゲージメントを得るために、同社の合理化されたリテールメディアサービスを選ぶことに賭けている。「我々にとって、一貫したテーマは、どのようにしてパフォーマンスを推進し、小売業者、ブランド、マイクロソフトのあいだでも、より大規模なエンゲージメントを実現するかということだ」と、カーター氏は述べる。

そして、これにとってネットワークは重要な部分だ。

「リテールメディアは、小売業者にとって自社のデータを活用し、利益率の高いビジネスを推進するための優れた方法であるため、成長している。しかし、これはかなり大きな進化だ。当社のビジョンは、多くのパートナーと取引する場合よりも、より統合された形で、小売業者がこの作業を行えるように支援するスタックを提供することだ」と、カーター氏は述べている。

[原文:Microsoft unveils a retail media offering taking direct aim at Amazon]

VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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