微生物や分子が見えるほどの超ミクロな世界では何が起きているのか?

GIGAZINE
2022年10月07日 21時00分
動画



自分たちが暮らす場所から遠く離れたジャングルや海の中、宇宙といったものにロマンを感じる人は多いかもしれませんが、足元に広がる「ミクロの世界」に目を向けたことがある人は少ないかもしれません。細胞や分子、原子が見えるほどの極小サイズの世界で何が起きているのかについて、科学系YouTube​チャンネルのKurzgesagtがアニメーションで解説しています。

Let’s Travel to The Most Extreme Place in The Universe – YouTube
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人間と比べてあまりにも広大な宇宙の神秘に魅せられる人は多いかもしれません。


一方、人間も虫や微生物にとってはとてつもなく大きな存在です。


今回は長さ1kmほど、歩けば端から端まで15分程度の公園を舞台にして、ミクロな世界をのぞきに行くとのこと。


まずは人間の大きさを1000分の1まで縮めて、身長わずか2mmの状態で世界を眺めてみます。この状態では砂粒が身長と同じくらいであり……


ただの草が8階建てのビルくらいの高さに感じられます。


かつては気軽に散歩できた公園は1000kmほどの距離に感じられ、フランスを横断する距離に匹敵します。


人間はエンパイア・ステート・ビルディングの4倍もの高さに見えます。


ミツバチはヘリコプターほどの大きさに。羽ばたきや体の動きで地面が揺れるほどです。


また、体のサイズが1000分の1になったことで空気の密度が1000倍に感じられ、まるでハチミツの中を動いているような感覚になるとのこと。


ミツバチはこの体感空気密度を利用して、ボートをこぐ櫂(かい)のように羽を使って空を飛んでいます。そのため、ミツバチが人間サイズにスケールアップしても、体や羽が重すぎて空を飛ぶことができません。


続いて体長2マイクロメートルの世界へGO。ほぼ大腸菌と同じ大きさです。


この状態になると、公園は人間にとって約100万kmもの大きさに感じられます。


微生物目線で見ると、ミツバチはさながら動くエベレスト山です。


空気は溶岩ほどの粘度があり、人間がその中で動くのは困難です。


葉っぱ1枚だけでパリと同じくらいの広大さ。


アブラムシの食べ痕がクレーターのように残っています。


植物の細胞はガラスに包まれた家のように感じられます。


水滴の落下は小惑星の落下のように見えます。


しかし、このスケールでは水の衝撃を受けることはなく、そのまま水に吸い込まれるとのこと。


水分子に働く凝集力によって水は接着剤のように手足にくっつくため、小さくなった人間は流れに身を任せることしかできません。


小さな水滴には大量の微生物やテニスボールサイズのウイルスがうごめいています。


ミドリムシなどの微生物が貨物列車のように通っていきます。


大抵の微生物は車ほどのクラゲのような形をしており、鞭毛(べんもう)という触手のような器官で水の中を動いています。


これを人間にたとえると、時速600km以上の速さで泥の中を進むようなものです。


また、微生物は非常に小さい上に水の粘度が高すぎるため、基本的には微生物の動きに慣性の法則は働きません。そのため、微生物の動きは予測不可能なギクシャクした動きになるとのこと。


続いて、体長2ナノメートルの分子サイズの世界を見てみます。


この世界では水滴が月のように見えます。


そして公園はほぼ太陽系に匹敵するサイズとなります。しかし、そこは真空ではなくさまざまな物質で満ちています。


どこを見ても無数の分子や原子があり、草の細胞の硬い壁からも振動やエネルギーが感じられます。


1個の水滴に含まれる水分子はおよそ60億個に達し、水分子が1秒間に数百兆回も衝突する嵐のような世界になっているとのこと。


人間のスケールに換算すると、それぞれの水分子は時速2300kmを超えるスピードで移動していることになるそうです。


これら分子の動きは「熱」によるものとのこと。


熱は分子の動きや振動です。


熱を失うと分子の動きは遅くなり、衝突頻度も少なくなります。


熱を得ると分子はスピードを上げ、衝突頻度も高くなるとのこと。


また、水滴から空気中に飛び出すと……


空気を構成する分子がまばらに存在するだけで、それ以外はほとんど何もないことに気づきます。


分子の間には真空があるだけであり、分子が次の分子に衝突するまでに平均60ナノメートル、人間のスケールに換算してホッケー場ほどの距離を移動するとのこと。


仮に部屋の中で飛び回っているすべての分子と原子を圧縮すると、体積は部屋の0.1%にも及びません。


つまり、人間の周囲は99.9%が真空であるとも言えるのです。


さらに縮んで身長2ピコメートルのサイズになると……


通常の人間は20億kmほどのサイズ感となり、太陽から土星まで手が届くスケールとなります。


それでも、原子の質量の99.7%を占める原子核は指先にのせた砂粒程度の大きさですが……


原子核を回る電子はエッフェル塔ほどの範囲を漂っているとのこと。


原子核は振動したり膨らんだりしてじっと静止していません。


ここからさらに1000分の1サイズに縮小すると、もはやこれ以上小さな世界は観測できないプランク長に達します。これより小さな世界では、既存の宇宙モデルは意味をなさないとのこと。


この世界では粒子が泡だったり消えたりして、想像を絶するエネルギーの量子泡が生成されると考えられています。


見上げる夜空は信じられないほど広大で奇妙に思えます。


しかし、小さな世界もさらに奇妙だとKurzgesagtは述べました。


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