立憲民主党の辻元清美参院議員は27日、旧統一教会の関連団体が主催する勉強会に出席し、会費を支払っていたことをブログで公表した。辻元氏は勉強会の主催が旧統一教会の関連団体とは「認識していなかった」と釈明しているが、辻元氏はそういう方面についていえば、それほど脇の甘い人ではない。
とくに朝鮮半島に関連するさまざまな団体が、地元でどんな活動しているか本人もスタッフも熟知しているはずだから、にわかには信じられない。
一方、「日本の鳩山由紀夫元首相は24日、韓国南西部・全羅北道井邑市を訪れ、特別講演を行って、鳩山氏は講演で、両国関係の改善のためには何よりも「日本の態度が重要」とし、「日本が無限責任の姿勢を持てば両国の問題が解決可能だとの見解を示した」と聯合通信が伝えている。
鳩山氏は講演で、両国関係の改善のためには何よりも「日本の態度が重要」とし、日本が無限責任
また、鳩山氏はTwitterで「友人から聞いた。統一教会と自民党のロゴマークの図柄の意図が似ていると。2004年に出版された統一教会の久保木修己初代会長の遺稿集のタイトルが「美しい国 日本の使命」である。その2年後の安倍第一次政権は「美しい国」日本を謳っていた。ズブズブな関係を否定しようもない」などと述べている。
自分が、この2004年3月に国際勝共連合と世界平和連合が共催した「救国救世全国総決起大会」に民主党議員9人を引き連れて出席し、鳩山も挨拶に立ち、その中で両連合の会長でもあった統一教会の小山田秀生会長(当時)にエールを送って、まさに支持取り付けに猛チャージをかけたことはお忘れのようだのである(アエラ2004年5月3日)。
そのあたりの経緯は、「安倍さんはなぜリベラルに嫌われたか」でも紹介したし、アゴラでも「民主党が自民党から統一教会の支援を奪おうとした歴史」を書いた。
2003年9月に自由党と民主党が正式に合併し、菅直人代表(前年に鳩山氏から引き継ぎ。翌年には岡田克也に交代)のもとで政権を狙える党に成長していった時期だ。
さらに、鳩山政権では、その前の麻生政権のときには行っていた警察の介入も、文化庁のヒアリングも中止してしまっている。
1999年に小渕内閣のもとで、自公連立が成立して以来、民主党では保守系新興宗教に攻勢をかけたし、それは立正佼成会が野党支持に転じ、生長の家が非自民の姿勢をとることにつながった。
また、このころは、2002年の小泉訪朝ののち、安倍晋三官房副長官が北朝鮮への甘い姿勢に厳しく抵抗したことで、北朝鮮と蜜月だった旧統一教会との関係をもつことを非常に嫌っていた時代である。
この当時の政治状況を理解した上で、立憲民主党やそのシンパの人たちは、自民党や安倍氏に対し、「旧統一教会が民主党支持に転じて彼らの南北融和路線に沿って反自民で行動することを容認しなかった」ことを非難しているので、旧統一教会そのものを批判しているとはいえないのではないか。
もし、このころ、民主党が旧統一教会を反社会的な団体として糾弾し、それと接近しようという動きなど示していなかったのなら、自民党や安倍氏が関係を断絶しなかったことを批判する権利がある。
しかし、民主党は北朝鮮問題をめぐって自民党や安倍氏と旧統一教会のあいだに対立が目立っていた時期に、むしろ、取り込みを図っていたでは無いか。その状況のなかで、自民党が民主党の引き剥がし戦略を阻止しようとしたことがあったとしても、それについて少なくとも、立憲民主党などが批判することは許されまいし、当時の自民党を批判するなら、民主党やその系統に属する立憲民主党も同じかそれ以上に糾弾すべきだろう。
そして、それは今日的な問題でもある。私は、旧統一教会と日本の政治との間の最大の問題は、南北朝鮮の統一を北朝鮮が喜ぶようなかたちで進めようとすることを目標に世界各地で活動している旧統一教会が、日本で不明朗なかたちで政治のなかに入り込み、さらに、日本で集めた資金でアメリカの共和党や国連に入り込んでいることであると主張してきた。
安倍派の一部などが旧統一教会と接触したり、支援されたりしていたことが言語道断なら、外国の政治家や国連のような組織も同じように言語道断であるし、資金源の大きな部分が日本での集金であれば、日本人も日本政府も声を上げねばならない。
とくに問題なのは、潘基文前国連事務総長、フンセン・カンボジア首相、ブッシュ親子など米共和党主流派、ゴルバチョフ元大統領だろう。
文鮮明はレーガン政権を支える形で米国政治の舞台に登場した。それを引き継ぎ、講演で多額の報酬を手にし、守護神として絶賛したのは、リベラル陣営からも人気上々の父親のほうのブッシュ元大統領だ。キリスト教右派のペンス元副大統領も関係が深い。それに比べるとトランプ氏への関与は薄かった。
トランプと安倍氏の仲立ちを旧統一教会がしたなどというのは、あの団体が、明言を避けつつも自らの政治力を誇張しているのに協力する工作員の仕業だ。
潘基文氏については、まさに主たる広告塔というか、組織の一員に近い。安倍氏がメッセージを寄せたイベントの行うイベントの「共同よびかけ人」をフンセン氏とともにしているし、教団トップの韓鶴子氏が主宰する韓鶴賞を二人とも受賞して億単位の賞金を手にしているようだ。また、この団体は国連公認のNGOである。
振り返れば、西側陣営に属するはずの韓国出身の国連事務総長が唐突に誕生したときのアメリカ大統領がブッシュ(子)で、事務総長在任中に国連と旧統一教会の関係が深まったのだからいわずもがなだ。
フンセン氏の関与の深さも謎だ。東南アジアにおける中国のトロイの木馬として動いているフンセン氏と旧統一教会の深い関係はどう解釈すればいいのだろうか。
そして、ゴルバチョフ氏は世界の首脳で最初に文鮮明と会談したのを皮切りに、ソウルの文鮮明の自宅まで訪れ、旧統一教会がゴルバチョフ在団の主たる支援者だとwikipediaに書いているが、極めて控えめな接触をしたからといって安倍氏を罵倒する一方、ゴルバチョフを絶賛するのはおかしいではないか。
さらにEUでは元委員長のバローゾ氏が旧統一教会の広告塔的な存在で、ヨーロッパでは危険なカルト集団として排除されているわけでない。
私は、旧統一教会のしていることの多くは健全で無いと思う。教団を抹消しろなどとは信教の自由だからいわないが、世界での政治的影響力を排除するべきだと思う。
また、それをしないと、日本で排除された旧統一教会は、反日教団として南北朝鮮のみならず、アメリカ政界や国連などでも反日ロビー活動にいそしむことになりかねないと思う。そして、自民党とくに安倍派と縁切りした旧統一教会の活動に対する批判を、野党や自称リベラルマスコミはしなくなるだろうし、いつのまにか、健全化されたとかいって野党は連携していくのではないか。
もともと鳩山氏の考え方と旧統一教会のそれと非常に親和性が高い。そういうことのないように、旧統一教会と対決するなら、世界の政治の舞台から排除しないと意味が無い以上に悪夢だと思うのだ。
また、世界からみてその排除が理不尽だと思われるようでは、それはそれで問題なのだ。旧統一教会は国連の人権委員会に日本における「宗教弾圧」や「人権侵害」を訴えるらしいが、なにしろ半島に甘い組織で、しかも、日本の自称リベラル勢力はいつもこの委員会を応援しているから心配する理由は十分にあるだろう。
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